『帰ってきた二式大艇』読了 2009
10/12
月曜日

 帰りの電車の中で、ヘッドラインの本を読み終えた。数年前、僕たちの会社が借りていたお台場の一駅手前の「船の科学館」に二式大型飛行艇が飾られていた。アメリカでは女性名のコードネーム『エミリー』と呼ばれていた。零戦オタクの僕は、繁々と間近に迫り来る、こんなでかい飛行艇を作ったんだ、と見上げたし(2003.1.13)、それまで、本では何度か読んでいたので、二式大艇は全世界の飛行艇の上に君臨する王者だったし、戦後、アメリカもその能力に驚嘆し、技術力を素直に認めたし、日本人の誇りとしての技術力と、絶え間ない熱血漢溢れる開発側の切磋琢磨が実を結んだんだよね。これを当時の川西航空機が作った。その後、川西航空機は、明和興業→新明和工業となっていくのだけれど、その飛行艇を作った技術者魂で、長らく苦しい戦後の時代を食いつないだ後、待ちに待った海上自衛隊の潜水艦哨戒機を作っていくんだね。また、救助艇として小笠原諸島の救済や、海上での救難にも活躍をしていくんだ。

 この新飛行艇は、波高3メートルまでの海面で離着水が可能で、台風のような特別の荒天でもない限り、太平洋、大西洋を通じて全世界の約80パーセントの海面で使用が可能と研究段階で結果が出たし、実際の長期の試験で、そのことも証明されたんだ。波消し(飛沫を沈めるため艇の底に施された)のために、どれだけ改善と水槽実験を繰り返したか、感動するね。以下、戦中の九七式大艇、二式大艇、戦後作られたPS-1/US-1の性能緒元と性能比較をしてみたい。(誰も興味ないぞ、って言うなよ、おっ)(2009/10/12 22:36)

九七式大艇 二式大艇 PS-1/US-1
初飛行(年) 1936 1940 1967
最大重量(トン) 23.0 32.5 45.0
翼面積(㎡) 200 160 135
エンジン 三菱[金星]53型 三菱[火星]12型 GE:T64-10E
馬力(HP) 1,200x4 1,680x4 3,400x4
馬力荷重(Kg/㎡) 4.8 6.0 3.7
巡航速度(ノット) 140 160 160
航続距離(カイリ) 2,050 3,850 2,400
離水時間(秒) 60 72 49-53
実用最大揚力計数(CL) 1.6 2.0 6.0
※参考図書:「零からの誕生」、「奇蹟の飛行艇
内容(「MARC」データベースより)
戦闘用から人命救助へ…。かつて九七式大艇、二式大艇、戦闘機紫電改を生み出した航空技術陣が、戦後の空白を越えて挑戦し続けた新たなる傑作機誕生までの日々。夢を実現した男たちの足跡を辿る感動の物語。
  • 単行本: 373ページ
  • 出版社: 光人社 (2004/01)
  • ISBN-10: 4769811705
  • ISBN-13: 978-4769811701
  • 発売日: 2004/01

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