お米が届いた<都賀> 2009
9/29
水曜日

 千葉県若葉区原町の田圃で、5/9<田植え>、そして9/6<稲刈り>、そして9/13<脱穀>と参加させていただいた。今日は、オーナーのOさんから収穫した新米の裾分け分が届けられた。

 どうもありがとう。早々に無農薬で育てた「冬期湛水不耕起移植栽培」の、お米を食べてみようと思う。

 Oさん、来年も行きますので、よろしくお願いします。(2009/09/29 18:49)

冬期湛水不耕起移植栽培米(完全無農薬無肥料米)への挑戦 オーナーのOさんから(掲載承認【済】)

 お米は千葉県千葉市若葉区原町・・番地で収穫しました。田圃は低い山に挟まれた谷筋にあり、所謂「谷津田」と言われている田圃です。周りの山は落葉広葉樹に覆われており、地面は落ち葉が堆積しています。長い年月堆積した樹木の葉は自然の堆肥となっている事でしょう。その山に降った雨水は地面にしみこみ谷筋の田圃へと染み出てきます。この谷津田の中でも比較的下流に位置する当田圃は天水が溜まり易く稲の生育にはとても適しています。土質は河川流域の平場の田圃にありがちな砂地とは異なり、粘土質を沢山含んでいます。粘土質の土壌は美味しいお米を作る条件にあたります。この谷津田の下流は南西方向に向いて広がっており、午後の日差しを長時間受け、千葉方面の東京湾から吹く風と成田方面の内陸側から吹く風がいつも風通しの良い環境を作っています。
 無農薬の田圃なので田植えした直後にイネミズゾウムシの被害に遭いましす。成長して穂が出る頃から穂が出た後あたりではニカメチュウに茎をやられて枯れた穂が出ます。穂が出た後はカメムシやスズメの食害にも遭います。当田圃の害虫退治はクモと蛙とカマキリがします。たまに見かける黒い点が付いたお米はカメムシがストローでお米の養分を吸い取った時に出来た傷の跡で、その多くは籾摺りをした時点で機械にはじかれるのですが、ごく僅かセンサーを通りぬけます。見た目は気になるかもしれませんが健康や食味には全く問題ありません。収量に多少影響しますが、安全と環境の事を考えれば農薬は使えません。
 また、機械化農業で無くてはならないものに除草剤があります。慣行農法の稲作では指定一回は除草剤を田圃に振りまきます。当田圃ではこの除草剤を含めた一切の農薬を使用しておりません。
 今年は生物資源型の米作り2年目という事もあり米糠の他に窒素成分の硫安を最小限使いました。私が教わった稲作は「冬期湛水不耕起移植栽培」生物資源型農業と言って、農薬も化学肥料も一切使わずにお米を作る農法なのですが、今年は結城肥料も使用しないこともあり最小限の窒素肥料を分げつ期に使いました。その結果、田植え後の前半に成長が悪かった苗も後半には平年並みの草丈となり、穂もりっぱに実りました。ただ、6月の天候不順の日照不足は影響したようで、収穫量は前年が13.5俵だったのに対して今年は9俵と大幅な減収となりました。当田圃では無肥料で十分な収穫を出せる程の物資源環境が整っていなかったものと思われますので、来年に向けて土壌づくりを早い時期から始めるつもりです。
 そもそも、私が稲作を始めたきっかけは木造住宅の材木を国産材でまかないたいと森林間伐のボランティアや講演に参加していた折、中山間地が限界集落化している現状と農地の放棄に関心が及んだことにあります。長野県飯山市にある田圃で耕さずに作る稲作を体験し、蛍などの生物が共生できる環境と共に安全なお米を自分も作って見たくなり、千葉県の香取郡神崎町にある「日本不耕起栽培普及会」の講習を1年間受講しました。戦後、効率優先で進めてきた稲作は化学薬品の農薬や肥料とで成り立っており、お米の安全と美味しさ、そして環境の保全は二の次にされてきました。石油産出量は既にピークに達していることから、これからは減少し続けることになり、現在円高等で石油価格が一時下落してはきましたが、いずれ産出量の減少とともに再び上昇するものと思われます。また、化成肥料の成分であるリン鉱石の枯渇問題もあります。人口増加と消費拡大が続くインド中国に続き南アメリカ、アフリカなどの発展途上国の消費増加を考えれば、無農薬無肥料の稲作農法は今後ますます注目されると思います。
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