吉村昭著、遺作『死顔』を読んで。 2009
8/8
土曜日

 昨日の帰りの電車と、今日の行き帰りの電車の中で、吉村昭著で遺作となった『死顔』を読み終えた。 自分の身近な、「死」を題材にしているが、死生観は、ひとそれぞれだが、この作家に限っては、まったく迷いがない。 彼の体験が大きく死生観に作用していることがわかる。 僕も自分の死に対して、考えはあるし、万が一、死んだ場合、どのように扱って欲しいか、決めている。 そういう意味では僕の死生観も明確だ。 今回は触れずにおこう。 例えば、自分が病気になって煩った場合は、死までの期間に遺書も整理できるだろうが、事故の場合は準備できないもだから、遺言を書いておいても悪くはない考えだ。 この短編に納められた「死顔」は、吉村昭氏が最後の入院する直前まで推敲に取り組んでおり、人柄と仕事熱心さを偲ばせ、丁寧な仕上げを志す彼らしいスタイルだと感じた。 改めてご冥福をお祈りします。

内容(「BOOK」データベースより)
生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた―「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿―「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。



文庫: 157ページ
出版社: 新潮社
(2009/6/27)
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