『人間椅子』江戸川乱歩、他短編 2009
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火曜日
こどもの日

 いやにドンヨリ曇った日で、空気がまるで深い海の底の様に、重々しく沈んで・・・

 これは江戸川乱歩著の短編、「鏡地獄」の冒頭の書き出し。○○○さんが読んでみたいと言っていた。午前中、読み終えた江戸川乱歩ベストセレクション①に編集された一篇。まさに、こんな天気にはお誂え向きの本だね。彼の推理小説は、小学生の高学年に1、2冊読んだ程度だけれど、これは奥深いし、今の時代でも遜色なく冴え渡っているね。怪奇小説というより、ちょっと恐怖だけれどホノボノといい味をだしてますよ。

 本文庫本には八篇の短編が収録されている。
①人間椅子(『苦楽』1925年10月)
②目羅博士の不思議な犯罪『文芸倶楽部』1931年(昭和6年)
③断崖(『報知新聞』1950年3月~)
④妻に失恋した男(『産経時事』1957年10月~11月)
⑤お勢登場(『大衆文芸』1926年7月)
⑥二癈人 (『新青年』1924年6月)
⑦鏡地獄(『大衆文芸』1926年10月)
⑧押絵と旅する男『新青年』1929年(昭和4年)

 戦前作品の①②⑤⑥⑦⑧は文体的に多少古風だけれど、こりゃ時代が移ってもすごい威圧感と吸い込まれるばかりの筆跡でグイグイ吸い寄せられること間違いなし。(2009/05/05 13:36)

文庫: 213ページ
出版社: 角川グループパブリッシング (2008/5/24)

内容(「BOOK」データベースより)
 貧しい椅子職人は、世にも醜い容貌のせいで、常に孤独だった。惨めな日々の中で思いつめた男は、納品前の大きな肘掛椅子の中に身を潜める。その椅子は、若く美しい夫人の住む立派な屋敷に運び込まれ…。椅子の皮一枚を隔てた、女体の感触に溺れる男の偏執的な愛を描く表題作ほか、乱歩自身が代表作と認める怪奇浪漫文学の作品「押絵と旅する男」など、傑作中の傑作を収録するベストセレクション第1弾

(追記)もし、僕に合った「人間椅子」を作ってくれるのなら、置き場所としては、女性専科のヌーディストクラブにでも置いて欲しいものだね。そしたら、一生、その中に閉じ込められてもいいぞ。「あら、この椅子ったら、何かしら、モゾモゾするわね、あっ、気持ちいい・・・」ってなるな。当然、ババ抜きだぞ。(19:40)

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