井上ひさしさんの『ふふふ(講談社文庫)』のエッセイ、「経営方針」から、なるほど、ってのをひとつ。
東京都は大田区に構えるお弁当の「玉子屋」、『失敗するコツ十二条』を紹介してみよう。失敗するコツだからね、真逆にしないといけないよ。
一 |
旧来の方法が一番よいと信じていること。 |
二 |
餅は餅屋だと自惚れていること。 |
三 |
ヒマがないといって本を読まぬこと。 |
四 |
どうにかなると考えていること。 |
五 |
稼ぐに追いつく貧乏なしと、むやみやたらに骨をおること。 |
六 |
良いものは黙っていても売れる、と安心していること。 |
七 |
高い給料は出せないといって人を安く使うこと。 |
八 |
支払いは延ばす方が得だと、なるべく支払わぬ工夫をすること。 |
九 |
機械は高いといって、人を使うこと。 |
十 |
お客はわがままだと考えること。 |
十一 |
商売人に人情は禁物だと考えること。 |
十二 |
そんなことは出来ないといって、改善しないこと。 |
僕が務めるビルへも「玉子屋」さんは、配達でお弁当を配っている。時折、配達のお姉さんにすれ違う。挨拶を交わすことがよくある。「こんにちは」「おはようございます」と元気いっぱい、大きな声で、いつも明るく屈託がない。重いお弁当箱のケースを何段も積み重ねて動き回っている。時々、ドアを開けるのを補助してあげると、「ありがとうございます。いつもすみません」と満面の笑顔で微笑み返す。
玉子屋の社長の社員採用の基準は独特?だと何かの雑誌で読んだことがある。(細かなことは省略) 僕の会社は、お勉強のよく出来る人、有名大学を卒業した人は多いのかもしれないし、事実そうだ。でも、ちょっと待てよ。玉子屋のお姉さんほど元気な社員はとても少ないぞ。
僕は時々考えるのだよね。会社は社員ひとりひとりで構成されているし、社員は大事な”虎の子”でもあるわけだから、導く経営陣や上司や先輩の影響を受ける。なので、僕たち中堅社員以上が、もっと元気よく、誰にでも声をかけてあげる、そんな初歩的なことからやらなきゃ、会社は変わらないと思うのだよね。苦虫を噛み潰したような表情をした、上司諸君(例外も結構いるにはいるけれど) 、鏡を見たまえ、毎朝、鏡に向かって笑顔のトレーニングをしなさい、にー、とか、あーとか、顔のあらゆる筋肉を動かして顔面筋トレをしなさい、と言いたい。(12:25)