|
今週は通勤電車時間枠で、星真一の「未来いそっぷ」を読んだ。
|
新潮社 318ページ |
この小説、短編、ショートショートよ呼ばれる星真一さんの神髄が33編、鏤められていて、昭和46年(1971)発刊されているのだけれどね、今となっては当たり前、当然なことも未来的な予兆と共に時代を先取りした書きっぷりがいいですね。
冒頭の短編では、「いそっぷ村の繁栄」ってタイトルで語り継がれている寓話の連作集(「アリとキリギリス」「北風と太陽」「キツネとツル」「カラスとキツネ」「ウサギとカメ」「オオカミがきた」「ライオンとネズミ」)がユーモア交えて、笑うね、笑う、肚からね。。ニタニタと笑うな。コミカルでもあってね。 |
|
「オフィスの妖精」、仕事場にこんな機械の妖精がいれば、確かに仕事は捗るだろうね。これも超おもしろい。
「クリスマス・イブの物語」はサンタクロースが恵まれない子供にプレゼントに行くのだけれど、「私よりももっと気の毒な人のために・・・」って、それぞれ自分を見つめ直して、サンタクロースは次へと紹介されていくのだけれど、この短編もほのぼの、ほんわかにさせてくれるのね。
家族旅行に出かけるのに、家の屋根にプロペラが付いていて、そのままどこへでも飛んでいける、海中へも潜れるって短編もあるけど、これ、いいね、こんな家があればどこでも我が家気分で旅行が楽しめる、発想がいいじゃない。ね。
彼の作品は、端的で一般人が見逃すような鋭い視点と構成力で、短い言葉の中にエキスが滲み出ていて、平易な言葉で書かれているから、みんな、僕も、私も書けそう、って思わせるのだろうけれど、そりゃ実際書いてみると、こんな短編書けないでしょうね。
ユーモアがあってシニカルで、多少斜に構えたクールな部分もあるのだけれど、何故か、暖かかくて少しだけ小さなシアワセを与えてくれるんだよね。
気分転換にもってこいだと思うね。
今日は僕もショート・ショートで。
じゃ。 |
|