2008年6月3日(火) 
<失敗の本質>空気が支配する・・・・

 『空気が支配する場所では、あらゆる議論は最後には、空気によって決定される』

 昨日に続き、「失敗の本質」にもうに少しだけ触れたいと思う。

 大東亜戦争(第二次世界大戦)の日本軍のタタカイカタの特徴を挙げるなら、
 ・短期一過性戦法
 ・長期的な展望を欠く戦略展開
 ・戦力(兵力)の逐次投入
 ・防御・情報・諜報に対する関心の低さ
 ・兵力補充・補給(燃料・弾薬・人的資源)の軽視
 ・母艦へのダメージコントロールの不備
などが言えると思う。

 日米の戦略策定の違いとして、
◆日本軍=帰納的(経験した事実の中からある一般的法則を見つけること)
◆米軍=演繹的(ある既知の一般的法則によって個々の問題を解くこと)
と言われているね。

 その上で、戦略策定には、両方法(帰納的+演繹的)の絶えざる循環が必要ってことになる。

 日本軍は、多分に情緒や空気が支配する傾向にあったね。

 「日本軍は精神力や駆け引き的運用の効果を過度に重視し、科学的検討に欠けるところ”大”」(八原高級参謀)
 戦艦大和だってね、大和以下の艦が直衛機を持たないで、敵の完全な制空権下で直撃しても、沖縄まで到着することは、誰が考えても絶対不可能でしょ、言い換えると『壮大な自滅作戦』であったわけで、もはや作戦と呼べるものではないですよね。

 ポイントとして、”グランド・デザイン”、”原理”がないから、場当たり的対応から結果を積み上げていく思考法だったと言えるね。

 前述したけれど、情報軽視があらゆる場面で見逃したり、無視したり、結局、消耗戦で徐々に体から出血して行き倒れっていった感じですね。

 少し掘り下げて、「失敗の本質」から引用させてもらうと、「欠陥」体質って言えると思うけれど、

・日本軍のエリートは、概念の創造とその操作化ができたものはほとんどいなかった。

 ・事実を正確、且つ冷静に直視する【躾(しつけ)】を持たなかった。

 ・作戦計画が仮に誤っていた場合に、これを直ちに立て直す心構えがまったくなかった。

 ・日本軍の最大の特徴は、「言葉を奪ったことである」

 ・戦略策定を誤った場合でも、その修正行動は、作戦中止・撤退が局面を迎えるまではできなかった。

 もうひとつ、特徴として言えることとして、[狭くて進化のない戦略オプション]で、一気に勝利を収める奇襲戦法を日本軍は好んだ戦闘をしましたね。持久戦より、「いざ、勝負せん」って武道の精神主義も強いですよね。
 但しね、日本軍にも、当然優れた部分は多分にあったわけでね、戦略概念は極めて狭義だったけれど、”先制”と”集中攻撃”を具体化した小手先戦術には優れていたし、猛訓練による兵員の練度の極限までの追求、これは他国の追従を許さないほど訓練されていたですよね。

 でもやっぱり、「必勝の信念という精神主義」が闊歩して、武士道とも言えるかもしれないけれど、精神論だけじゃ勝てませんものね、それが軍事技術の軽視に繋がっていたと著書では触れている部分もあるね。

 あまり、面白い話じゃなかったかな、僕の零戦ページで今まで読んだ本を統括してくれる感じでしたね。

 じゃ。


失敗の本質
―日本軍の組織論的研究
出版社/著者からの内容紹介
敗戦の原因は何か? 今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光をあて、日本の企業組織に貴重な示唆を与える一冊。
単行本: 290ページ
出版社: ダイヤモンド社 (1984/05)
ISBN-10: 4478370133
ISBN-13: 978-4478370131
発売日: 1984/05


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