2008年6月2日(月) 
<失敗の本質>どんな計画にも・・・・

 『どんな計画にも理論がなければならない。理論と思想にもとづかない作戦は、女性のヒステリー声と同じく、多少の空気の振動以外には、効果を与えることができない。』
(米第三艦隊参謀長 ロバート・B・カーニー少将)

 少し前に読んだ「失敗の本質」に少しだけ触れたいと思う。色々書きたいことはあるのだけれど、日々、違うことを思いついてはマスターベーションに耽るブログだな。今日も同PJのTはし君が、「岩佐さん、そろそろブログの自慰的って言い方考え直したらどうです?」なんてアドバイスをくれたのだけれど、自己満足・独りよがりは誰が読んでも、「こいつ、変態」と思うだろうし、事実、そうだもんね。まあ、いい、ずっとマスターベーションし続けよう、煙が出るまで(やっぱお前、変人)

 で、今日は「失敗の本質」から、琴線触れのキーワードをヘッドラインに書いてみた。

 「戦略」と「戦術」って考え方が好きで、「匠の会」の親分、元上司、今も僕の陰の司令塔、浜田ボスがこういった考え方を僕たちの当時のチームに浸透させてくれたんですね。

 つまりビジネスやプロジェクトで考えると、トップや経営層が長期展望的な、どのようにビジネスを展開するか、っていう「戦略」がある。まずね。大義名分だね。誰からみても世の中に役立つ、会社の理念や経営方針沿う、環境に優しい、世の中の流れ逆らわない等・・・Etc。で、それ配下のリアルなマネージメントするミッションがそれを成功裏に目的・大義名分を果たすためにゴールに向かう「戦術」を練って、担当者・実務者がそれを遂行していく、ってことでしょう、シンプルに言うとね。

『戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術で補うことはできない』
と本(p205)に書いてある。

 つまり、玉突きですよね、オリジナル・草案・コンセプト・ビジョンがしっかりしていて、誰に聞いても、「そうだ、そうだ、そのとおり」があって、じゃ、どうするか、どう攻めようか、戦闘中であれば、「死ぬ気でいけ、玉砕するための戦法を考えよ」だったり、「今回は命を温存せよ、逃げて逃げて逃げまくる戦法を考えよ」で隊長の命令は全然違うでしょ。
 仮に玉砕するんだって戦術を例にするけど、一兵が考えたとき、「戦略」を一兵隊が知る必要はないのだけれど大義名分が全体に浸透していること、且つチームや小隊が信頼しきっていれば、迷い無く目的遂行するため強烈な戦闘員となるわけですよね。要は末端の兵隊まで隈無く「なぜやるんだ」が明確に伝わっているってことね。こんな部隊と戦闘すれば怖いね。

 プロジェクトで考えても目的がシンプルなほどいい、システム運用上のオペレーションも手順が、この場合はこうせよ、この時はこの手順をやれ、って複雑怪奇に入り組んでいればいるほどオペミスを誘発するでしょ。'Simple is Best."も僕の好きな言葉だけど。目的に複数を絡ませちゃイケナイ、いつもゴールは一つでないと。

 本の話題に戻すと、『あらゆる状況に適合する戦略上の公理は存在しないはず、である。戦略は進化すべきもの、である。』

 それと戦略にはオプションって考え方があって、第二次世界大戦で日本海軍は「艦隊決戦主義」の亡霊に囚われ続けたけれど、唯一の戦略オプションだったのですよね、制空権を制したものが優位になる時代にですよ、まだ大砲で決着を付けようとしていた、山本五十六はこれに声高に警鐘を鳴らすんだけどね。当時は”海戦要務令”っていう日本海軍伝統の呪縛から逃れなかったのかもしれない。

 で、戦略オプションが狭いということは、ひとつの作戦計画の重要な前提が成り立たなかったり、変化した場合の対応計画(コンティンジェンシー・プラン)に切替ていかなければならない時にも、日本軍は軽視しましたね、敵の戦力を過小評価し、自軍のそれを過大評価する、その場しのぎでね。視野の狭視化・想像力の貧困化・思考の硬直化が蔓延・支配して「勇気ある撤退」することもなかった。
 「貴様、それでも軍人か」で切り捨てるんでしょうね。臆病者のレッテルを貼られちゃう。左遷ですよね、こういったちゃんと考えられる人はいっぱいいたのにね。残念ですね。

 病理現象が進行→戦略進化の阻害→戦略オプションの幅と深みを著しく制約していくとも書かれていますね。

 ヘッドラインに書いた女性のヒステリック、ロバートさんは上手いこと言いますね、神業ですね、女性から敵視されちゃいますけど、女性って生き物はある限界点(スレッシュホールド)を超えると、悲しくても、嬉しくても涙腺が緩むでしょう、感情が一定レベルを超えるとね。ヒステリー状態では論理的思考なんて死んでもできない。で、これを「女の武器」にしちゃう。これに男は弱いんだよね。


 いつもの定石、期待通り、変人の話は発散しまくりましたけど、この本には、いろんな角度の切り口から組織論としても考察が掘り下げられているので、機会があれば、また話題にしますね。

 じゃ。


失敗の本質
―日本軍の組織論的研究
出版社/著者からの内容紹介
敗戦の原因は何か? 今次の日本軍の戦略、組織面の研究に新しい光をあて、日本の企業組織に貴重な示唆を与える一冊。
単行本: 290ページ
出版社: ダイヤモンド社 (1984/05)
ISBN-10: 4478370133
ISBN-13: 978-4478370131
発売日: 1984/05


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