2008年5月4日(日)

◆「南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで
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特殊用途愛玩人形の戦後史/高月 靖著」
◆「失敗学のすすめ/畑村洋太郎著」を読んで。

 GW後半2日目、2冊本を読んだ。午前一冊、午後一冊、間にBassちょっと練習したりね。

◆「南極1号伝説」、B級グルメの時、金沢で目に飛び込んで衝動買いをした。こういった商品開発がどのようにして開発されるのか、純粋な探求心からだ。(怪しいぞ?)

 ダッチワイフ(Dutch wife)は読んで字の如く、「オランダ人の妻」、英語じゃオランダを蔑んだ、貶める表現が多いそうだけど、例えば、Dutchは「ケチな」「質が悪い」の接頭語、Dutch Concert=「音が合わない音楽会」なんか。でね、オランダがインドネシア植民地時代、熱帯夜を過ごすため竹婦人(竹製の抱き枕)を使ってたのだそうだけど、イギリス人がそれを揶揄を込めて「オランダの女房」と呼び始めたのが由来らしいね。

 今は、発展系として、『ラブドール』と言うのが一般的。チープな空気式→ラテックス→ソフビ→シリコンと発展を遂げてきた。将来の期待素材、熱可塑性エラストマーへ続くのか? シリコンの比重は水が1とすると、1.1、まんまシリコンで作ると重くなるので内部の構造物として、「中子(なかこ)」が入る。老舗のオリエンタル工業を筆頭にメーカー4社が紹介されている。(下段リンク参照)

 実用重視か、鑑賞重視か、ポージングは?、顔の表情は?、肉感的か、あどけない少女か、掘り下げるべきものは深いねえ。それとね、身体障害者の方々、妻に先立たれた高齢者、妻がSEXに興味を失ったため、など寂しい男の独身男性諸氏、おたく・変態マニアだけのものという誤解は払拭されると思うのね、これを読むと。

 各社コンセプト、ターゲットがあり、信念がある。いずれも取材内容が紹介されている。この世界、とても技術的革新に満ち溢れ、地道な商売・ビジネスを展開している。起業家として、最初からうまくいった訳じゃなく、ひたすら研究開発・失敗の繰り返しだったのだね。儲けだけを、売り切りだけを考える者は淘汰されるしね。ユーザ・リピータも多いのだって。つまり利用者との信頼関係かな。

 さて、タイトルにある「南極1号・・」というのは、敗戦の色濃い日本が南極探検に際し、日本の威信をかけて望んだのだけれど、南極でのセックス処理問題に真摯に取り組んで、実際、銀座デパートの和服マネキンを原型に用いて、改造し、南極にダッチワイフ専用の部屋まで建設したのだそうだ。『日本通報439号』は、「南極妻処女で帰る」だ。笑うね。ほんと。「あのイグルー(北極圏の先住民族、イヌイットが作る氷の簡易住居)の寒さの中で頑張ってみるほど、昂じている人はいなかったようだ」とのことらしい。1958年の話である。

 トップメーカの下段リンクを徘徊すると判るけれど、シリコンの精巧なモデル、じゃなくてむしゅめさんは一体、60万を超えるんだ。すっげえ。

 で、これ、エロ本じゃなく、雑学としても為になるから、ラブドール持って無くても十分楽しめるから、一読してみては、それだけの価値はある。

 ユーザのラブドールに人格を与え、自分のなかのさまざまなイメージを投影する気持ちも判らなくもないな、なんて思いましたね。

 でもって、『誰か、一度”ラブドール”貸してくれ・・・』  (真に受けるなよ・・)
【開発者】
創業30余年のトップブランド オリエンタル工業
安価なエントリーモデル市場を確立 ハルミデザインズ
ラブドールの「高級スポーツカー」を目指す 4woods
造形のプロが手がける高級ラブドール Project LEVEL−D
【ユーザー】たぁー坊の着せ替え資料室

  • ハードカバー: 205ページ
  • 出版社: バジリコ (2008/4/5)
  • ISBN-10: 486238093X
  • ISBN-13: 978-4862380937
  • 発売日: 2008/4/5
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.6 cm


◆先般読んだ、「失敗の本質」にも関連するけれど、「失敗は成功のもと」、「失敗は成功の母」の名言どおり、失敗をひた隠しにする日本風土にありながら、「失敗」の特徴・特質を掘り下げて、「失敗学」まで押し上げてみちゃった本なのね。

 元東大教授、機械工学専門の著者は、失敗を定義付け、種類と特徴を記し、失敗情報の伝わり方まで言及し、失敗こそが創造を生む、としている。「仮装演習」と説明しているが、脈略を関連付けて、研ぎ澄ましていく過程・コンセプトが妙に気に入った。使える。

 読みやすいので、一読して損無し。
 昨日みたく、メモを添付しますね。(↓)

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 講談社 (2005/04)
  • ISBN-10: 4062747596
  • ISBN-13: 978-4062747592
  • 発売日: 2005/04
  • 商品の寸法: 15 x 11 x 1.5 cm

【オマケ】
 ラブドール・マニアの用語を紹介しておこう。笑っちゃうね。独特のコミュニティが完成しているから。
ドーラ−→お察しの通りラブドルユーザ
里親→オークション等に出品し、次の受け入れ先を探し、次のオーナーをさす
里子→オークションなどで出品されるラブドールのこと
親バレ→ラブドールを所持していることが親にばれること
お迎え→購入して家に迎えること
むしゅめ→ラブドールのことを愛情込めて言う。
ユミザー→ラブドールに湯水のようにお金を使ってしまった人。
ミーモする→モミモミする意味。
などなど。ユミザーなんか、一般社会でも使えそうでしょ。



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