2008年2月12日(火)
オープンリール・テープデッキの紹介 
 今日は時間外もなく、定時退社をした。時間的にゆとりがあったので、久々にオープンテープデッキのメンテナンスとして、ヘッド周辺のクリーニングをした。オープンテープデッキが好きで、ゆっくり・ゆったりした動きと穏やかな音がいい。CDやDATのデジタルギザギザな音もアナログになれば円やかになる。所詮、人の耳には周波数特性やダイナミックレンジもレコード盤レベルで十分な訳であるしね。 

【1台目】
 Technics U38(RS1500U)、言わずとしれた2トラ、サンパチ、名機。「さんぱち」なんて言われても今の世代の方は知らないので説明すると、秒速38cmのスピードでテープをヘッドに擦りつけ録再するんですね、相対的には録音するテープの面積が音の豊かさに繋がるからね。それも2トラック2チャンネルだから4トラック2チャンネルに較べ、2倍テープ面積があるってことでね、この大胆不敵さっていうのか、扇風機のように回る(ちょっと大げさ)猛烈な回転速度は感激するな。この時代のオーディオ製品は元気があったから、メーカもいい物を作るっていう技術者・職人魂を感じるしね。

 テクニクス独自の「アイソレートループ」方式を採用していて、テープの引っかけ方が独特でしょ。ヘッドブロックの上側の丸いのがキャプスタンで、モータの軸に直結(ダイレクトドライブって言い方をします)され、2つのピンチローラが挟むクローズドループ方式を採用していてね、一般の良くあるデュアルキャプスタン方式とは違うユニークな方式なのですね。これの回転精度がテープのムラ(ワウ・フラッタ)にモロ影響するのですけど、普通の耳にはまずフラッタは聴覚判別不能なレベルまで引き上げられていますね。発売当時は高校生、24万もするデッキなんか買えるはずもなく気長にヤフオクでウォッチしてゲットしました。焦って動作保証もされていない物に飛びつかないこと、ジャンク品でもちゃんと修理してあげる覚悟がないとね、辛い。これもね、ほぼ競合なく安くゲットした。手堅いのはオーディオマニアか、何台もオープンを持っていて手狭になったから出品しているって方が一番信用できます、普通の中古電気品販売業者には手を出さない方が無難、絶対にね、製品に対して全くの無知だからね。でも、普通これだけ程度がいいと平気で10万以上の値で出品しているものもあるからね。これは後期モデルなのでクランバ(テープの真ん中の黒いところ)へのテープのセットが簡単となっていますね。

(簡単解説)テクニクスが1976年に発売したオープンリールデッキ。「アイソレートループ方式」という独自の走行系を開発,搭載し,その安定した走行性能が高い評価を得て,ロングランを続け,シリーズを広げていった優れたオープンリールデッキ。RS-1500Uの最大の特徴は,上記の「アイソレートループ方式」という独自の走行系。従来のダブルキャプスタン方式に対して,テープを直線的にではなくU字型に走行させることで,シングルキャプスタン、ダブルピンチローラーという独自の走行系を実現した。


早送り/巻き戻しすると竜巻が起こる

 テープ種別に応じてイコライザー/バイアスをセレクトする、このマニュアル感がたまらない。
 VUメータってアナログチックでいいでしょ。このまったり、と思ったら瞬時に振り切る針がオープンならではのダイナミックレンジの広さを物語るんですよ。多少、オーバーレベルで録音しても音は歪まない。許容量が違うのだよね。+3dB位かけても全然平気、瞬時なら針が振り切っても平気。逆に0デシベルを超えない録音なんかオープンの特性を生かし切れない。ガンガン、レベルを上げてやれ、で丁度いいんですよ。
「アイソレートループ」方式

 一番下の丸いのが「リバーシングローラー」って言いますが,オープンリールデッキで初のストロボ装置が装着され,クォーツ制御により得た正確な周波数で点滅するLEDの発光部により,秒単位の速度偏差がチェックできるようになっているのです。
形式 アイソレートループD.D方式ステレオテープデッキ
トランスポート アイソレートループ方式
トラック形式 2トラック2チャンネル(録音・再生)
4トラック2チャンネル(再生)
ヘッド 録音:高硬度パーマロイ
再生:高硬度パーマロイ×2
消去:ダブルギャップフェライト
駆動部 キャプスタン用:クォーツロック電子整流子方式・ダイレクトドライブ駆動方式
リール用:電子整流子方式・ダイレクトドライブ駆動方式×2
録音バイアス方式 交流バイアス方式
消去方式 交流消去方式
テープ速度 38cm/sec,19cm/sec,9.5cm/sec
周波数特性 38cm/sec:30〜30,000Hz±3dB
19cm/sec:30〜25,000Hz±3dB
総合S/N 60dB(JIS)
ワウ・フラッタ 38cm/sec:0.018%WRMS
19cm/sec:0.04%WRMS
歪率 0.8%
チャンネルセパレーション 50dB
テープ速度偏差 ±0.10%以下
テープ速度変動幅 0.05%以下
使用リール径 最大26形(10号)
早巻き時間 26形(10号)100%テープにて約2分30秒
消費電力 55W
タイムカウンタ精度 ±1%以下(38cm/sec再生)
入力 MIC:最大入力感度 0.25mV(−72dB)
    適合MICインピーダンス 400Ω〜20kΩ
LINE IN:最大入力感度 60mV(−24dB)
出力 LINE OUT:基準出力レベル 420mV(−7.5dB)
         負荷インピーダンス 22kΩ以上
HEAD PHONES:8Ω 60mV(基準出力レベル時)
THROUGH OUT:LINE INと同じ
電源 AC100V 50/60Hz,DC24V
使用半導体 トランジスタ248石,FET6石,IC 10石,ダイオード75石,
発光ダイオード1石
重量 23kg
外形寸法 456W×443H×257Dmm


【2台目】
 同じくテクニクスの1500U、両サイドがむき出しのジャンク品だったので、過去何度も修理をお願いしたプロのオープン専門修理店<川島オーディオサービス>で1年修理待ちをしてからのデビューとなった。当時の製品は修理が出来る、ってことで今の時代の使い捨てなんてないからね、コンデンサでも抵抗でもトランジスタでも細々同じ物、もしくは同じ特性の部品は売ってるしね、このデッキはカウンタベルト、ブレーキフェルト、メカ消耗部品交換、コントロール基盤パターン修正、コンデンサ交換、ベアリング・テンション調整、録再のアジャストをして貰った。修理完了後、自作で両サイドはねじ穴をデリケートに測定してパイン集積材を付けた。いい感じでしょう。家具っぽくなった。暖かみが増したよね。(そう思っているのは自分だけ、それでいいのだ)


 これは初期モデルですね、でも程度がすごぶるいい、まだまだ艶々ですしね。

 一番下の丸いのが「リバーシングローラー」って言いますが,オープンリールデッキで初のストロボ装置が装着され,クォーツ制御により得た正確な周波数で点滅するLEDの発光部により,秒単位の速度偏差がチェックできるようになっているのです。
 
 これはヘッドブロック、オプション販売されていたもので、RP-2422(当時定価38,000円)、センタが3本のネジで超簡単に取替ができるようになっていて、4トラック2チャンネル用の録音・再生・消去ヘッドが付いている、これを付け替えると何が違うか、っていうとね、4TR-2CHの録再ができるから、テープが2倍使えるってことになる、当然録音面積は2TR-38に較べ相対的に半分になるので、音質は落ちますよ。ダイキャストの材質で精悍なマスクでしょ、これも旋盤技術が優れている日本製品の器用さが良く出てますね。

【3台目】
 TEAC X-10R、これは一番古く付き合ってるデッキで、1981年から25年以上の付き合いとなる。19cm/sで10号リール、オートリバースで3時間、9.5cm/sなら6時間のPLAY/RECORDが出来ます。一時は倉庫にぶち込んだり、売りさばこうとしたり、冷たくしたけれど、手元にずっと置いて良かったと思ってる。当時、19歳の時、新聞配達して稼いだお金で大阪/日本橋で購入。定価186,000円だったと記憶している。筐体を囲むウッド(木型)をオプションで後から購入して付けている。それでね、こういった電気製品にも心があって、ちゃんと使ってやるといつまでも愛おしく働いてくれますね。粗末に扱うと必ずいじけますからね。これもいい顔してますでしょ。
トラック形式 4トラック・2チャンネル・ステレオホニック方式
ヘッド 6ヘッド(消去、録音および再生/リバース再生、録音、消去)
リール 26形(10号)および17形(7号)
テープ速度 19、9.5センチ(±0.5%)
モータ キャプスタン:DCブラシ付きFGサーボ・ボーター×1
リール:DCスロットレス・モーター×2
ワウ・フラッタ 19センチ;0.03%(WRMS)
9.5センチ;0.04%(WRMS)
周波数特性(総合) 19センチ;30〜28,000Hz(40〜20,000Hz±3dB、-10VU)
9.5センチ;30〜20,000Hz(40〜16,000Hz±3dB、-20VU)
SN比(総合) 63dB(3%ひずみレベル、聴感補正)
ひずみ率(総合) 0.8%(基準レベル)
ステレオ・チャンネルセパレーション 50dB(1,000Hz)
早巻時間 100秒(550mテープ)
入力 マイク;0.25mV/-72dB(適合インピーダンス200Ω以上)
ライン:60mV(入力インピーダンス 50kΩ)
出力 ライン:0.45V(負荷インピーダンス10kΩ以上)
ヘッドフォン:8Ω
電源 100V AC、50/60Hz、70W
外形寸法 432(幅)×452(高さ)×262(奥行)mm
重量 20kg

 「今日は何を書くか?」の主題はクリーニングだったのです。こういった製品はメンテナンスフリーなんて無いのでテープが擦れる走行系は時折、お掃除してあげる必要があります、そう、手間がかかるのです、でもそれが人間らしくて僕は好きなんですね、オートマチックは車でも嫌い、マニュアルですよね、楽じゃないのがいい、やっぱり僕は変態・偏屈者だなあ。

 さて、クリーニングするために用意するもの。
  1. クリーニング液:ヘッド用(金属部分用です)
  2. クリーニング液:ラバー用(ピンチローラーなどのゴムの部分用です)
  3. 綿棒
  4. 消磁器
  5. ちっこい鏡
 ヘッドもずっと使っていると帯磁してくるので、それを蹴散らしてやる、磁気を帯びた状態では宜しくないので、その磁気を消すので消磁っていう営みが必要となってくるんですね、これはTDK製で、昔の消磁器はヘッドからゆっくり離していくように扱う必要があったのですけど、これは瞬時に消磁ができるようになっているんです。高校生の時から使っている、でも壊れずに未だに動作してますね。エライ。

<TDK HEAD ERASER AH-301 Head demagnetizing DC:3V(G-13 x2)>
     
  これもあると便利、歯の裏を見るような鏡ですけど、あればヘッドの表面をチェックできるからね。   これで、ヘッドの表面が鏡のように、気持ち的には自分の顔がヘッド映り込む位に磨いてあげます、でもそっとですね、愛情込めてね、強く擦らないね。  【テープ保管のワンポイント】
  • 縦置きにすること。(寝かすと良くない)
  • PLAYで巻き取った状態で保管すること。(早送り/巻き戻しの状態だとテープ側面が波打っていて、そのまま放置するとテープのエッジ部分がわかめ状態となって、後で後悔する羽目になる)

 また、だれも全く興味の無いことを書いてしまった。なのでね、僕のブログは「自慰的ブログ」ってことです、自己満足でもって、自虐的かもね。
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