省吾のプログ
ブログトップ 2008年1月25日(金)
■歌謡曲の思い出■

 僕は1962(S37)生まれ、ごく一般の家庭と同じく歌謡曲を聴いて育った。中学でTHE BEATLESにノックアウトされてもそれはそれ。歌謡曲はいつも側にあったように思う。

 小四で我が家に初めてカセットテープレコーダが登場した。SHARPの小さなやつだった。5つ上の兄がテレビの歌番組やラジオのトップテンをよく録音していた。最初は付属のチープなマイクロフォンをテレビの前にセッティングし家族全員に、「喋るな!」の戒厳令が敷かれ、押し黙った魔の数分が始まる。すると我が家の一員である飼い猫が頃合いを見て、「ミャーン」と甘えてくる。「あーーーーっ。」である。その後、レコーディング技術は進歩を遂げ、イヤホンジャックからダイレクト録音に進歩を遂げたのである。(どこが技術革新か、でもこれは凄く進歩なのだ、録音中に喋っていいのだからね) 1971年当時の話である。

 3つ上の姉は<郷ひろみ>と<浅丘めぐみ>の大ファンであった。浅丘めぐみは小学生の僕にも心地よく、♪芽生え、♪私の彼は左きき、♪アルプスの少女・・・は当時の思い出と共にある。ところが、だ。郷ひろみの新譜のレコードがリリースされる度に姉は12km離れたレコード屋(ミヤコ)にバスで出かけてはドーナツ盤を仕入れてくる。ガラス戸一枚隔てた隣の自分の部屋で同じ曲を日に十数回聴かされることになる。ハモったり歌ったりもする。「下手くそ、脳が溶ける。」と当時は思った。郷ひろみのあの甘ったるいアヘアヘ声はなんじゃ、歌手じゃないと信じていた。

 【青春歌年鑑】のCDのシリーズがあり、年度毎にベスト30曲(2枚組)がカヴァーされて巷では思わぬヒット商品となったようだ。(下段写真参照)TUTAYAのCDレンタルコーナーにもある。(僕の近所には)iPodが離せない僕は、「そうだ、そうだ。懐かしの好きな曲を入れておこう。」と思い立ち、1967〜1978年迄を一気にレンタルした。当時のテレビやラジオで主に聴いていたが、ステレオと呼ぶには厚かましい蓄音機ライクの再生機器では気付かなかったベースの音がちゃんと聴き取れるのだ。

 当時の歌謡曲のアレンジはすばらしく光る楽曲が多くある。その一つが、脳が溶けそうだったあの甘ったるい声の持ち主、郷ひろみの<♪男の子、女の子>、彼のデビュー曲でもあるが”目から鱗”だった。出だしから圧巻するアレンジだ。ステレオの効果を最大限に生かし切っているし、「おーーーっ。」なのだ。今聴くと全然彼は下手くそじゃない。むしろうまい。ベースの粒も一音一音はっきり聴き取れる。感傷的に「ウキウキ」した気分になるから不思議だ。当時の歌謡曲のアレンジ全般としてリードギターやリズムギター、ホーン、ブラス(ラッパ系)が片チャネルに片寄せされていて、ベースとドラム、ヴォーカルがセンタにパンポット固定、そしてヴォーカルは深くエコーがかかり、お決まりの女性コーラスというアレンジが多い。日本版ポップスとして日本の歌謡曲のレコーディング技術やアレンジセンスは当時では世界のトップクラスに有ると僕は個人的に感じている。
 ということで、僕の思い入れがある曲はたーーくさんあるのだけど、アレンジがすばらしいと感じている独断と偏見のベスト10を紹介したい。

■「独断と偏見」のベストテン■
 NO. 曲名  歌手  発売年 感想 
 1 真夏の出来事 平山三紀  1971   ベースのリズムとテンポがいい、何よりも彼女のハスキーなヴォーカルが最高。
 2 ベッツ&クリス  1970  アコースティックな楽曲。さわやかなデュオの澄み切った声と詩がすばらしい。 
 3 男の子女の子 / 郷ひろみ 郷ひろみ  1972  アレンジがすばらしい。合いの手で入るサックスやギターと女声コーラスが超歌謡曲アレンジだが、センスのいい編成。 
 4 FINGER5 KOINODAIARU6700 フィンガーファイブ  1974  8ビートのベースがロック調ぽいアレンジとなっていてTHE BEATLESのGET BACK風のベースアレンジがシンプルだがツボを押さえている。 
 5 ポケットいっぱいの秘密 アグネス・チャン アグネス・チャン  1974  アグネスは歌はうまい。彼女は数オクターブ歌えるだろう。これもベースが曲をうまくリードしている。実にいい。 
 6 私は忘れない〜「小さな恋のものがたり」より 岡崎友紀 岡崎友紀  1974 '奥様は18才'ヒロインだった彼女、あのキュートな笑顔とは裏腹に歌唱力はすばらしい。この哀愁あるメロディーと歌詞に涙が止まらない。 
 7 麻丘めぐみ - 芽ばえ 浅丘めぐみ  1972  彼女のデビュー曲。当時の歌謡曲はサラウンド的にかなり音の広がりがある。清楚でピュアな曲。今、こんな歌詞はないのが残念。 
 8 友達よ泣くんじゃない 森田健作  1972  メロディーがいいのとバイオリン系のアレンジがすばらしい。片チャネル寄せのリズムギターと間奏のベースプレイも聞き堪えあり。 
 9 中之島ブルース 内山田洋とクールファイブ  1975  演歌で括るにはちょっと無理があるがこのサックスの音色と前川清のボーカルを聴くに付け「日本人だなあ・・」としみじみ感じる名曲。 
 10 空に太陽がある限り にしきのあきら  1971  このベースプレイ、意外に冴えていると思う。初々しい。 

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