1960 MINI 850 VAN 2012
10/6
土曜日

今回から、1960年代にMINIをベースにして、バリエーションとして作られたモデルを追ってみよう。

そもそもイシゴニス(設計者)が考えた前輪駆動のメリットは、高い操縦安定性と居住空間の確保だけでなかかった。走行に必要な装置を車体の前半に集中させれば、後部のレイアウトが自由に出来る。バリエーションを増やすのにFR(フロントエンジン、リア駆動)やRR(リヤエンジン、リア駆動)ほどコストがかからない点にあった。

今回は、MINIのデビューから約4ヶ月後の1960年1月に登場したミニ・バンを採り上げる。
イシゴニスのFFにかける思いが具現化されたモデルだった。

◆特徴
 ・顔は全くミニのまま
 ・ドア以降のボディを伸ばして荷室に
 ・ホイールベースで110mm
 ・全長で250mm長くなったスタイル

 延長したボディサイドがすべてスティールパネルで覆われていたことから、ドライバーにとっては斜め後方の視界が奪われることになる。しかし、こうした方法を採ると商業者と見なされ、購入税がかからないという恩恵があった。

 この時期、英国では税金が非常に高かった。例えばスタンダードグレードのミニを買うと、車両本体価格£350の他に約42%に達する£146.2もの購入税が課せられた。

 ところが商用車には購入税は一切不要という法律があったので、画期的なエンジニアリングがサルーンより安く手に入ることを知った人々がミニ・バンに飛びついた。本来なら法人関係から注文が集まりそうだが、ミニの商用車は個人オーナーによく売れた。

こうして、ミニ・バンの人気は冷え切ってしまいそうだったミニの工場を活気づけるのにも貢献することになった。

(出典):ミニ・フリークの日々(田村一七男著)  :MINI THE COMPLETE ILLUSTRATIONS(尾崎豪著)


(これからも時折続く)

(2012/10/06 17:23)


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