SONY TC-K80 2022
5/25
水曜日

 
修理が完了致しましたのでご報告申し上げます。
1.リール駆動回路のOffset、Gain調整を行いました後に
  リール駆動トルクを測定しました結果、FF時 130g-cm、REW時 120g-cm、 PLAY時 45g-cm
  と正常な範囲の値が有られるようになりました。
 
2.ランプ専用電源回路の修理を行いました結果、輝度変動は治りました。
 
3.Level Meter 低音量時変動の原因調査に苦戦し、お手上げ状態となっていたため
  大変お待たせ致しまして申し訳御座いませんでした。
 
  再生回路の各ブロックを切り離して原因箇所の特定調査を行いましたところ
  初段アンプを切り離すとノイズが低下することから
  初段の電解コンデンサー等を交換しながら症状改善の有無を調査しておりましたが
  ・初段アンプ自体に問題が無いこと、
  ・(磁界、電解ノイズを拾う)ヘッドを切り離してもノイズは変わらないこと
  ・オーディオ回路の電源ラインにもノイズが乗っていないこと
  が判り、
  残る原因はリールモーターやキャプスタンモーターから再生初段回路への
  空中飛び込みノイズがと考え、モーターに回転高負荷を掛けたり等を行いながら
  ノイズの変化を観察致しました結果、
  原因はキャプスタンモーター制御回路の半固定抵抗(SFR)5個の不良のため
  駆動電圧波形(正常時SIN波)に異常が発生して
  高周期の不規則な駆動波形となっていることが主原因と判りましたので
  SFR 5個の交換とServo Gain、Offset、Pulse Dutyの調整を行いました。
 
  また、モーター駆動回路用電源回路の+/-電源電圧、および、
  オーディオ回路用電源回路の+/-電源電圧のリップルが
  大きくなっておりましたので、整流直後の平滑用大型電解コンデンサーを
  各々キャパシティーが2倍のオーディオ用電解コンデンサーに交換を行いました。
  これらの結果、
  モーター駆動電圧は正常なSIN波形で駆動出来るようになり、電源のリップルも低下したため、
  テープ無し再生時のMeter Levelは -35dB以下に収まるようになりました。
 
  また、REC PAUSE時のLevel Meter低音量時変動の原因は
  録再切替リレーの接点の接触不良が原因と判りましたので
  接点に接点復活を塗布致しました結果、治りました。
 
  以上の修理内容に付きましての修理費用は事後ご報告となりますが
  修理費用20,000円を頂戴致します。
 
4.キャプスタンモーター制御回路の回転数検出用FGヘッドとキャプスタンホイール間の隙間が狭過ぎるため
  長時間のテストを行っていると不定期に接触摺動音が発生することが判りましたので
  FGヘッドの取付位置調整を行いました結果、接触音は治りました。
 
5.Level Meter L-Chの -6dB, -10dB, -13dB の3箇所のdotが不点灯であることが判りましたので
  Level Meter ICの半田UP、および、液晶パネルシートの固定不良の修理を行いました結果、
  治りました。
 
6.再生テスト時にTape巻き終わり付近で大きなTape Speed変動が発生することが判りましたので
  原因調査を行いました結果、
  ピンチローラーの劣化によるグリップ低下が原因と判りましたので
  ピンチローラーの交換を行いました結果、治りました。
  交換前後のキャプスタン軸とピンチローラーによるテープ駆動トルクを測定致しました結果、
  交換前: 75g-cm から、交換後:135g-cm に上がりました。
  本修理は通常でしたら5,000円頂戴したいところですが、
  納期大幅遅延につき、サービスとさせて頂きます。
 
7.Azimuth調整を行いました結果、10KHz基準信号の再生Levelは正常な範囲の値が得られるようになりました。
 
8.再生Level調整を行い、400Hz dolby基準テープの再生におきまして、Output Volume = 7.5/10(MAX)位置にて
  L,R共に 1.36Vpp に合わせ込みました。
 
9.録音Level調整、および、BIAS調整をNormal LH Tapeにて合わせ込みを行いました結果、
  CrO2 Tapeでの400Hz、および、10KHz録再Levelは
  400Hz: L-Chは 1.5dB 低く、R-Chは 0.7dB 低い状態になりました。
  10KHz: L-Chは 7/8 と若干低く、R-Chは 9.5/8 と大きい状態になりました。
   (400Hz基準信号の録再Levelのズレ分を補正計算した値)
 
Normal TapeのTape種に付きまして(ご参考迄)
ご存知のこととは思いますが、同梱頂きましたTape種はLLH規格品でしたので
念のためご案内致します。
現在市販されているNormal Tape(LLH規格)とご愛用機の当時の調整基準Normal Tape(LH規格)では
最適BIAS値と録音感度が異なっております。
ご愛用機の録音系の調整用基準テープは当時の音楽用テープの規格であるLH規格品が指定されておりますので
当店では、当時のLH規格のNormal Tapeにて測定・合わせ込みを行っております。
録音時のフロントパネルのBIAS SelectスイッチはMID、EQはTYPE Iにて録音系の調整を行いました。
 
現在製造・市販されているMaxell UR、Nagaoka、磁気研究所 製等の
全ての現行Normal TapeはLH規格とは異なるLLH規格品となっておりますので
LH規格Tapeで合わせ込みを行ったデッキでLLH規格Tapeに録音を行いますと
録音感度やBIAS値が異なるため、ヘッドの特性やBIAS回路との相性によっては
録音Levelは左右毎にズレて3~4dB低下したり、高音域特性の低下生じる場合が御座います。

LLH Tapeでの録再測定・調整は行っておりませんが、
おそらくBIAS Selectスイッチ=LOWが適していると思います。
 
Normal Tapeの規格の詳細に付きましては下記リンク先等をご高覧願います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
 
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〒267-0066
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ハイファイオーディオ
代表 藤田 淳一
090-5526-6082
hi-fi_audio@xqb.biglobe.ne.jp
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型式 カセットデッキ
ヘッド 消去:1
録再:1
モーター BSLグリーンモーターx2
SN比 60dB(ドルビーoff、ピークレベル、デュアドカセット)
周波数特性 30Hz~18kHz ±3dB(デュアドカセット)
ワウ・フラッター 0.03%wrms
歪率 0.9%(デュアドカセット)
消費電力 27W
外形寸法 幅430x高さ160x奥行295mm
重量 8.3kg
別売 ワイヤードリモコン RM-50(¥5,000)
 ※修理伝票
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