『やんごとなき読者』アラン・ベネット(著) 2018
11/04
日曜日

本書は、The Uncommon Reader, Alan Bennett(2007)。ストーリーはシンプルで、エリザベス女王が読書に夢中になる過程で、今まで見えなかったコトに気付き、また学んでいくコト、読書が引き起こす周囲との軋轢、現実にも起こりそうである。本書の中で作家がさり気なく登場し、読みたいリストが増えたのも収穫のひとつだろう。本好きの核心を突いた言葉があり、気に入ったので備忘としてピックアップしてみよう。
「本を読むことは引きこもることです。人に会うのを拒むことです。帰って気が楽になるのではないでしょうか、・・・」p57
「幸福の秘訣は自分には資格があるという意識をいっさいもたないことである」p93
「読書によって人生が豊かになったかと訊かれれば、間違いなくそのとおりだと答えなければなるまいが・・」p129
「本に向かうのは自分の核心を裏付けるためです。本はいわばけりをつけてくれるのです」 p146


 (ガーディアン必読1000冊:コメディー 84作品読了/1,000)

【読んでもいいかもしれないリスト:ガーディアン1000読から抜粋】
※本書ではここまで細かく掲載されていない。作家と突合した情報である。
コメディ:『モロイ』 サミュエル・ベケット /?安堂 信也訳
コメディ:『ブリジット・ジョーンズの日記』 ヘレン・フィールディング /?亀井 よし子訳?(Kindle版あり)
コメディ:『ジョウゼフ・アンドルーズ?(上・下)』 ヘンリー・フィールディング /?朱牟田 夏雄訳
コメディ:『ポートノイの不満』 フィリップ・ロス
コメディ:『トリストラム・シャンディ』 ローレンス・スターン
コメディ:『バリー・リンドン』 ウィリアム・メイクピース・サッカレー
犯罪系:『密偵』 ジョセフ・コンラッド
犯罪系:『西欧の眼の下に』 ジョセフ・コンラッド
犯罪系:『愛の続き』 イアン・マキューアン
家族・私小説:『ウージェニー・グランデ』 オノレ・ド・バルザック
家族・私小説:『ゴリオ爺さん』 オノレ・ド・バルザック
家族・私小説:『マロウンは死ぬ』 サミュエル・ベケット
家族・私小説:『大使たち』 ヘンリー・ジェイムズ
家族・私小説:『ワシントン・スクエア』 ヘンリー・ジェイムズ
家族・私小説:『失われた時を求めて』 マルセル・プルースト
家族・私小説:未訳 ヴィクラム・セス
ロマンス:『ノーサンガー・アベイ』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『分別と多感』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『高慢と偏見』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『マンスフィールド・パーク』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『エマ』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『説きふせられて』 ジェーン・オースティン
ロマンス:『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ
ロマンス:『ヴィレット』 シャーロット・ブロンテ
ロマンス:『嵐が丘』 エミリー・ブロンテ
ロマンス:『アダム・ビード』 ジョージ・エリオット
ロマンス:『ダニエル・デロンダ』 ジョージ・エリオット
ロマンス:『フロス川の水車小屋』 ジョージ・エリオット
ロマンス:『ある婦人の肖像』 ヘンリー・ジェイムズ
ロマンス:『鳩の翼』 ヘンリー・ジェイムズ
ロマンス:『時間のなかの子供』 イアン・マキューアン
ロマンス:『愛の追跡』 ナンシー・ミットフォード
社会派系:『人間喜劇』 オノレ・ド・バルザック
社会派系:『シャーリー』 シャーロット・ブロンテ
社会派系:『二都物語』 チャールズ・ディケンズ
社会派系:『ミドルマーチ』 ジョージ・エリオット
社会派系:『サイラス・マーナー』 ジョージ・エリオット
社会派系:『ヒューマン・ステイン』 フィリップ・ロス
社会派系:『虚栄の市』 ウィリアム・メイクピース・サッカレー
戦争旅行記:『闇の奥』 ジョセフ・コンラッド
戦争旅行記:『ロード・ジム』 ジョセフ・コンラッド
戦争旅行記:『ノストローモ』 ジョセフ・コンラッド
戦争旅行記:『センチメンタル・ジャーニー』 ローレンス・スターン

登録情報
単行本: 169ページ
出版社: 白水社 (2009/3/11)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560092257
ISBN-13: 978-4560092255
発売日: 2009/3/11

内容紹介
【出版社重版中・6月3日出来!】飼い犬が縁で、読書に目覚めた女王エリザベス二世。読書は彼女に喜びと、ひとつの疑問をもたらした。女王ではない、「わたし」の人生とは、何……? 英国ベストセラー小説、各紙誌書評絶賛!

出版社からのコメント
「本は想像力の起爆装置」
イギリスの人気劇作家・脚本家によるベストセラー小説。
主人公は現女王エリザベス二世。それまで本にはほとんど興味がなかったのに、ある日飼い犬が縁で、すっかり読書の面白さにはまってしまう。カンニングする学生のように公務中に本を読みふけるわ、誰彼かまわず「最近どんな本を読んでいますか」と聞いてはお薦め本を押しつけるわで、側近も閣僚も大慌て。
読書によって想像力が豊かになった女王は、初めて他人の気持ちを思いやるようになるものの、周囲には理解されず、逆に読書に対してさまざまな妨害工作をされてしまう。孤独の中で女王は、公人としてではなくひとりの人間としての、己が人生の意味について考えるようになっていたのだが、王宮中に、「陛下はアルツハイマーかもしれない」という噂が広まっていき......。
本好きなら、読むことと書くことの本質を鋭く考察した台詞や思索の数々にうなずかされる部分も多い。実在の女王が主人公という大胆な設定で、ひとりの人間が読書によって成長し、ついには80歳にして新たな生き甲斐を発見していく姿を描いた、感動の一冊。







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