『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」 帝国陸軍戦法マニュアルのすべて』一ノ瀬俊也(著) 2018
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水曜日

満州事変、支那事変(日中戦争)、太平洋戦争に掛けて、日本軍が仕掛け爆弾(手榴弾、地雷、爆弾)を工夫を凝らした模様が参考文献を紐解きながら詳らかにされている。書籍名にもあるように米陸軍が兵士向けに作成された対日戦マニュアル"THE PUNCH BELOW THE BELT(1945.8)"が風刺的である。笑い事ではなく米軍に旋律を与えたともいえるだろう。日本軍の根本的プリンシプルは「皇軍独特の崇高な大和魂」「・・・皇軍独断場の夜襲思想」が蔓延っており、最期の一兵卒まで戦うのが一般的な見方であるが、事実、現場(戦地)ではそんなことはあまりない。本書は、兵器が米軍に比べ劣り、物量的にも逼迫していた中で一発逆転の決戦兵器と変化していった。ただ南島の激戦地では工夫した仕掛け爆弾も湿気・多雨のため不発となることがほとんどであった。唯一米国に対等に競えるのが員数であった。(文中P194より)「当時の日本で唯一豊富に使えた人命という資源の乱費を前提としていたのであった」が核心を突いている。

The_Punch_Below_The_Belt.pdf

米軍が恐れた「卑怯な日本軍」―帝国陸軍戦法マニュアルのすべて
一ノ瀬 俊也
4163754806
登録情報
文庫: 366ページ
出版社: 文藝春秋 (2015/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167904748
ISBN-13: 978-4167904746
発売日: 2015/10/9

内容(「BOOK」データベースより) 知られざる戦略マニュアルを大検証

沖縄戦直後に作成された米兵向け小冊子「卑怯な日本軍」。そこに描かれる帝国陸軍の虚実から、「あの戦争」の本質が見えてくる。
降伏するふりをする、死傷したふりをする、わが軍の一員のふりをする、 友好的な民間人のふりをする……、そして、われわれが油断した隙に襲う日本軍の手榴弾!
ショッキングなアメリカ軍の「日本軍の卑怯な戦法マニュアル」を とば口にして、劣勢な日本軍が物量を圧倒するアメリカ軍を相手に どのように戦おうとしたかを解明する。1971年福岡県生まれ。九州大学大学院後期博士課程中退。博士(比較社会文化)。国立歴史民俗博物館助教を経て、埼玉大学教養学部教授。




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