『菜の花の沖<四>』司馬 遼太郎(著) 2018
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火曜日

司馬遼太郎氏の全六巻の第四巻。司馬氏、ストーリーの展開の派生としてしばしば話が横道に逸れますが、それは本筋をより深く理解するために重要な事項だと誰しも思われることでしょう。バイクで北海道ツーリングをしたことが何度もありますが、知床・納沙布から国後・択捉を望遠したことがあります。本書を読んで、この感慨を以て1800年(江戸は寛政12年)前後に想いを馳せるのも情緒があるかもしれないです。国後と択捉は地理的に分断されていること、行き来がなかったことから文化的にも両島別世界でした。ロシア(赤蝦夷)の南下も幕府の脅威であったのです。さ、次の巻を。

菜の花の沖 (4) (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105551
登録情報
単行本: 341ページ
出版社: 文藝春秋 (1982/09)
ASIN: B000J7LG02
発売日: 1982/09
菜の花の沖〈3〉 (1982年)
司馬 遼太郎
B000J7M5Q6
登録情報
単行本: 362ページ
出版社: 文藝春秋 (1982/08)
ASIN: B000J7M5Q6
発売日: 1982/08
菜の花の沖〈2〉 (1982年)
司馬 遼太郎
B000J7MPHU
登録情報
単行本: 366ページ
出版社: 文藝春秋 (1982/07)
ASIN: B000J7MPHU
発売日: 1982/07
菜の花の沖〈1〉 (1982年)
司馬 遼太郎
B000J7I2JU
登録情報
単行本: 342ページ
出版社: 文藝春秋 (1982/06)
ASIN: B000J7I2JU
発売日: 1982/0

内容(「BOOK」データベースより)
江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。

【第二巻】海産物の宝庫である蝦夷地からの商品の需要はかぎりなくあった。そこへは千石積の巨船が日本海の荒波を蹴立てて往き来している。海運の花形であるこの北前船には莫大な金がかかり、船頭にすぎぬ嘉兵衛の手の届くものではない。が、彼はようやく一艘の船を得た。永年の夢をとげるには、あまりに小さく、古船でありすぎたが……。

【第三巻】蝦夷地の主・松前藩は、アイヌの人びとを酷使して豊富な海産物を独占していたが、この内実をほかに知られるのを恐れ、北辺にせまる大国ロシアの足音を聞きながら、それを隠し続けた。ようやく嘉兵衛が巨船を作り上げ、憧れのかの地を踏んだ頃から、情勢は意外な展開を見せ始めた。幕府が東蝦夷地の経営に乗り出したのだ。

【第四巻】エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛にゆだねた。彼の成功は蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすだろう。しかしすでに、ロシアがすぐ隣のウルップ島まで来ていた。




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