原書は、Animal Farm(1944)の作品。「動物農場」「象を撃つ」「絞首刑」「貧しい者の最期」の四編が輯録されている。本書を十代、二十代の時に読んでいれば、僕はただの寓話としてさらっと読み終えたかも知れない。加齢によって知識の量が増え、経験を深めてはいるだろう、多少は。そのことは「動物農場」の受容レベルに差異が生じる。文面から読み取る理解力、著者が云わんと、または伝えたいことの酵素分解力には雲泥の差が生じることになる。ロシア革命をモチーフというか、そのものを動物に喩えて物語は展開する。ファシズムの台頭する経緯、メカニズムといえばいいか、上層部の権力拡大に伴い影響力を持ち、資金潤沢になるにつれ活動が大規模になっていく中で、初心・理念がねじ曲げられ、すり替えられていく。洗脳と処刑による見せしめが加速・徹底される。低階層庶民は、思考・決断する脳の部位は溶解し、貧乏でこき使われ一生を終えていく。造詣が深い。★五つ。「一九八四」も続けて読む予定。
(ガーディアン必読1000冊:社会派:46作品読了/1,000)
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