『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(著) 2017
12/29
金曜日

原題はFLOWERS FOR ALGERNON(1966)。正直、よい小説で感動した。精神薄弱者がチャーリーの知能を急激に上昇変化し、また同じ傾きで減衰していくサイエンスの力があったとして、ここはSFの世界としても大変身近で重要なことが本書のテーマとなっている。チャーリーの心の葛藤が精緻に描写されている。父・母・妹とチャーリーとの関係の表現が絶品。子供は愛されたい、守られたい、安心感で包まれたい、と感じるものだし、そうされる権利がある。そのような中で育まれ成長すると情緒豊かで、穏やかな思いやりのある大人になるだろう。されど、そうでなければ悲劇は勃発する。彼が精薄者でなければ、母親に愛されたであろうか。妹との和解は落涙。精薄者はすべて観ている、行動と発言が伴えないだけで、人としてきちんと向き合ってあげられるのなら。それには自分サイドの器量が試されるだろう。

る。
英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊:SFファンタジー 42作品読了/1,000

アルジャーノンに花束を
ダニエル キイス 小尾 芙佐

4152033932

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登録情報
単行本: 325ページ
出版社: 早川書房; 新装改訂版 (1989/4/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4152033932
ISBN-13: 978-4152033932
発売日: 1989/4/1
内容(「BOOK」データベースより)
32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の毎日。そんなある日、彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が、頭をよくしてくれるというのだ。願ってもないこの申し出に飛びついたチャーリイを待っていた連日の苛酷な検査。検査の競争相手は、アルジャーノンと呼ばれる白ネズミだ。脳外科手術で超知能をもつようになったアルジャーノンに、チャーリイは奇妙な親近感を抱きはじめる。やがて、脳外科手術を受けたチャーリイに新しい世界が開かれた。だが、その世界は、何も知らなかった以前の状態より決してすばらしいとは言えなかった。今や超知能をもつ天才に変貌したチャーリイにも解決しがたいさまざまな問題が待ちうけていたのだ。友情と愛情、悲しみと憎しみ、性、科学とヒューマニズム、人生の哀歓を、繊細な感性で描きだす感動の1966年度ネビュラ賞長篇部門受賞作。



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