『ペスト』カミュ(著) 2017
11/9
木曜日

原作はLA PEST(1947年)、アルベール・カミュが1941年から1946年末に執筆した小説の第2作目である。以前、『黒死病』ノーマン・F・カンター(著)を読んだことがある。これは史実として1347年~1350年にヨーロッパを襲った疫病で、2000万人の人が死んだペストについて書かれている。興味のある方はどうぞ。

本書、枠組みはナイジェリアの港町オランに発生したペストが蔓延する兆候、猛威を奮う絶頂、終焉を迎えていく過程を閉鎖された中で、庶民が非道・暴虐に苦悶し、思考や行動があからさまに時の推移と共に愛・死に対峙する方向性・指向性が逆転し、扇動に寄らず市民心理・行動が変化していく様が興味深い。町全体が「われわれはみんなペストの中にいるのだ」であって身分・収入の差異に相関なくペストは食らい付く。その描写だけクローズアップしてはなく、心の動き、葛藤が登場人物個々の相互に錯綜する。『気を緩めてはならない』そして『希望なくして心の平和はない』ということを伝えたいのだと僕は理解した。

ガーディアン必読死ぬまでに読むべき1000冊:社会系 (36作品読了/1000作品中)

ペスト (新潮文庫)
カミュ 宮崎 嶺雄
4102114033
登録情報
ペーパーバック: 476ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1969/10/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4102114033
ISBN-13: 978-4102114032
発売日: 1969/10/30

内容紹介
アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。






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