『不思議な少年』マーク・トウェイン(著) 2017
11/7
月曜日

原書はTHE MYSTERIOUS STRANGER,A ROMANCE(1916)、マーク・ツウェイン没後、6年後の出版となっている。文末に解説されているが、本書は3バージョン存在し、著者が脱稿したわけではなく、仕上がっていなかった。未完作品だった。そこは誰だどのようにどうしたかは、本書の文末を読まれたし。

さて、登場する美少年サタンと称する天使、これがまた人間の本心・習性を腑から歯磨き粉を絞り出す、ミキサーで捏ねくり回すような発言や行動をする。善悪を区別する良心とは人間だけに存在することの良し悪し、本心とは裏腹な大衆心理・行動に傾いてしまうのは、自分が責め苦に遭遇しないための回避行動、隠れ蓑的な挙動、すべては欺瞞やるせない人間だけがもつものではないか。とサタンの口を借りて著者は言わしめている。時は1590年、場所はオーストリア、時代的にも魔女狩りが行われていた時代、大概の人は貧困であえぎ苦しんでいたわけだ。それでも、僕はサタンに賛同するね、直球発言・行動に一票、投票したい。
ガーディアン必読死ぬまでに読むべき1000冊:コメディ部門 (30/1000作品)

不思議な少年 (岩波文庫)
マーク トウェイン Mark Twain
4003231112
登録情報
文庫: 251ページ
出版社: 岩波書店; 改版 (1999/12/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4003231112
ISBN-13: 978-4003231111
発売日: 1999/12/16
16世紀のオーストリアの小村に,ある日忽然と美少年が現れた.名をサタンといった.村の3人の少年は,彼の巧みな語り口にのせられて不思議な世界へ入りこむ…作者は,アメリカの楽天主義を代表する作家だといわれるが,この作品は彼の全く別の一面-人間不信とペシミズムに彩られ,奇妙に人を惹きつける.(解説=亀井俊介)(改版)



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