『ファインダーズ・キーパーズ(上下巻)』スティーヴン・キング(著) 2017
10/5
木曜日

【上巻】キング愛読者にとってリアルタイムで新刊を読むことができるのは至極な喜びとなる。今更ながらキングは文章が上手い。ほどよく力の抜けた比喩加減がツボを攻め、微に入り細に入り彫刻の如く仕上げた人物設定に歓心し、さり気ない日用品の挿入に親密感を湧き上がらせる。されど底流にベースラインとなるストーリーテラーの精緻さがあるからキング依存の様相も呈してしまう。だから、前作からのミステリー作品も、ハラハラドキドキ、結末に雪崩れ込むようなスリリングさを堪能させてくれつつも、キングならではの安心感に包まれているのである。
【下巻】キングは上手いのだけれど、クライマックスに向けた人物の設定と挙動が、少しばかり雑で、ご都合主義に偏重していると感じたのは僕たけじゃないだろう。ピーターの行動は褒めるべきことだろうか?その両親も○○を許容・受託してしまっていたことは、大人のとるべき態度ではなかろう、と。今回は僕はキングに対して辛口だからね。プロットも楽な方向に流されすぎではないだろうか?とはいえ読んでみたい本が数冊ピックアップできたし、次作シリーズの伏線も張ったし、それはそれで大変楽しみなのである。

ファインダーズ・キーパーズ 上
スティーヴン・キング 白石 朗
4163907114
登録情報
単行本: 320ページ
出版社: 文藝春秋 (2017/9/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163907114
ISBN-13: 978-4163907116
発売日: 2017/9/29
ファインダーズ・キーパーズ 下
スティーヴン・キング 白石 朗
4163907122
登録情報
単行本: 320ページ
出版社: 文藝春秋 (2017/9/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163907122
ISBN-13: 978-4163907123
発売日: 2017/9/29

内容紹介
多額の現金と幻の原稿を拾った貧しい少年。それは出所したばかりの強盗の盗んだものだった。少年を守るため元刑事たちが立ち上がる。






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