『硫黄島』菊村 到(著) 2017
9/2
土曜日

集録されている短篇は、
 ・硫黄島
 ・しかばね衛兵
 ・奴隷たち
 ・きれいな手
 ・ある戦いの手記
 ・不法所持
終戦を迎えた後も、戦中の出来事に呪縛・金縛りで完全包囲され、その包囲網を突破・脱出したいが、しようとするが、知らぬ間に「戦争体験という蛸壺」に納められ、更に外堀に金網で包囲されてしまう人がいる。戦争というものがなければ、平常心で穏やかに日常生活を過ごすことが出来ただろうに。「戦争=非日常」が彼らを蝕み、メンタル的に回復しようのないダメージを与えてしまった人達も実存する。そこに焦点を照射した本作品群は、文学的に秀悦で、僕としても考えさせられるものがある。じゃ、どう考えたのかとあなたが問うと、切り口が様々にあるので、ああ考えたり、こう思ったり、一つの考えに収斂しない。でも、一つの答えにならないほうが人間らしいとも感じている。

硫黄島 (角川文庫)
菊村 到(きくむら とおる)

4043800010

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登録情報
文庫: 316ページ
出版社: 角川書店 (2005/9/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4043800010
ISBN-13: 978-4043800018
発売日: 2005/9/22

受賞歴
第37回(昭和32年度上半期) 芥川賞受賞

内容紹介
昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学
新聞記者の主人公のもとに一人の青年が訪ねる。投降前に硫黄島の洞窟に埋めた日記をとりにいきたいから、記事にしてほしいという。米軍当局の許可を得、島に渡るが、どういうわけか現地で自殺してししまう。






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