『燃えよ剣(上下巻)』司馬遼太郎(著) 2016
11/12
土曜日

「翔ぶが如く」(10巻)を読んだ後の「燃えよ剣」はとても読みやすいと感じるのではないだろうか? 十中八九そうだろう。何故か? それは「燃えよ剣」が小説の様相を呈しているからである。土方歳三を中心に据え、新撰組結成までの流れと、その後の活動が共振点・共鳴点を許多埋め込まれ、人間ドラマとして成立し、近藤、土方、沖田の心の葛藤が感動点となるからだろう。司馬遼太郎の作品は作品間のオーバーラップ部分、ベン図部分が少なくて、他作も併せて読むことでパズルのピースが合致し、時代背景の理解が進むとも感じる。

喧嘩師、喧嘩家としての土方歳三は、最後まで自分の信念がぶれることなく戦い抜いた。また、部下を犬死にさせぬためにとった彼の振る舞い。最期は自分の死に場所を決め、最後の最期まで新撰組、土方歳三であろうとした生き様が美しい。脚色分も多々あろうが誰しも歳三のファンになってしまうのではないだろうか。

燃えよ剣(上)
司馬遼太郎
B00L1WDWLU
登録情報
単行本: 427ページ
出版社: 文藝春秋 (1973/2/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163605703
ISBN-13: 978-4163605708
発売日: 1973/2/1
燃えよ剣(下)
司馬遼太郎
B00L1WO3GI
登録情報
単行本: 428ページ
出版社: 文藝春秋 (1973/3/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163605800
ISBN-13: 978-4163605807
発売日: 1973/3/1

内容(「BOOK」データベースより)
【上巻】
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。

【下巻】
元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。





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