『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン(著) 2016
9/7
水曜日

「翔ぶが如く」(第六巻)を中座し、「ベストストーリーズⅠ」も切れのよいところ(短篇なのでどこでも区切りがよい)で本書を読む。「ベストストーリーズⅠ」の「世界が闇に包まれたとき(シャーリイ・ジャクスン)」の冒頭解説でスティーヴン・キングの激賞したミステリーと解説されている。寄り道をした。本というのは読み時、旬というものがある。それをみすみす逃す手はない。無性に読みたいと思って熱望して買った本も、今の本を読み終えてから、と段取りをしている間に、読みたい衝動が薄れてしまった、なんてことが時おりないですか?

本書、不思議な内容で、人間心理に潜むといえばそれまでだが、主役級といってよいメアリ・キャサリン(メリキャット)のご都合主義、また姉のコンスタンスもいい歳をして何ですか、その優柔不断さ、甲斐甲斐しさだけではプラスポイントならず。それらが相互に混じり合って、ストーリーへの没頭感を削いでしまうのだ。女性作家にこの傾向が強い。女性作家に対する偏見か、はたまた先入観で、そうだと類推しているわけではないつもりだが。[○○だから○○でいいのだ]解釈が自分の中ではむず痒くてしかたない。

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)
シャーリィ ジャクスン Shirley Jackson
4488583024
登録情報
文庫: 254ページ
出版社: 東京創元社 (2007/08)
言語: 日本語
ISBN-10: 4488583024
ISBN-13: 978-4488583026
発売日: 2007/08

内容(「BOOK」データベースより)
あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている…。悪意に満ちた外界に背を向け、空想が彩る閉じた世界で過ごす幸せな日々。しかし従兄チャールズの来訪が、美しく病んだ世界に大きな変化をもたらそうとしていた。“魔女”と呼ばれた女流作家が、超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作。






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