『大聖堂(上中下巻)』ケン・フォレット(著) 2016
6/24
金曜日

一二世紀の歴史的史実を踏まえながら、キングズブリッジを中心として波瀾万丈のお話である。(地名はあるが本書では創作の街として登場する) キリスト教にまつわる本書もそこそこ読んではいるが、中世の物語ではキリスト教抜きで語られることがないし、罪なき村人を襲う権力者の残虐行為の血生臭さもまた抜きにして語ることができない。権力で威圧する側VS貧困・飢饉の構図で展開される。その「悪」は何度も「善」を揺さぶりいじめ抜く。「これでもか」「そこまでするか」と読者のはらわたは煮えくりかえり、この屈辱をいつ晴らそうぞ、とムードの高まりと共に読むことを一時停止するのが困難極まりなくなる。『ものがたり』として『読み応えのある』膨大・壮大な超長編(約1,800頁)となっている。

さて、本書を読むまで「大聖堂」については知識もなかったのだが、このゴシック調建造物の構造や建築技法もふんだんに織り交ぜられている。「大聖堂建造」は一旦、心の平静を取り戻すための一躍を担っていると僕は感じている。本書を読んでいれば、3年近く前に訪れたイギリス南東の「カンタペリー大聖堂」も違った視点で感動したのだろう。些と悔しい心延えを禁じ得ない。以下はカンタペリー大聖堂を撮影した私の写真である。

大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット 矢野 浩三郎
4797332565
登録情報
文庫: 600ページ
出版社: ソフトバンク クリエイティブ (2005/12/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4797332565
ISBN-13: 978-4797332568
発売日: 2005/12/17登録情報
文庫: 600ページ
大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット 矢野 浩三郎
4797332573
登録情報
文庫: 592ページ
出版社: ソフトバンク クリエイティブ (2005/12/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4797332573
ISBN-13: 978-4797332575
発売日: 2005/12/17
大聖堂 (下) (ソフトバンク文庫)
ケン・フォレット 矢野 浩三郎
4797332581
登録情報
文庫: 600ページ
出版社: ソフトバンク クリエイティブ (2005/12/17)
言語: 日本語
ISBN-10: 4797332565
ISBN-13: 978-4797332568
発売日: 2005/12/17
◆出版社からのコメント
スパイ小説「針の眼」など、スパイ・冒険小説で知られるベストセラー作家フォレットですが、この長大な大ロマンである「大聖堂」は彼が10年以上の構想を練って世に送り出した、もうひとつの代表作です。
約50年かけて大聖堂の修復にあたる職人トムやその息子をはじめ、幾多の魅力的な人物が織り成す壮大な物語に、あたかも目の前に壮麗な大聖堂が出来上がっていくような気がするでしょう。

◆ケンフォレット(下巻収録「原著者からのメッセージより」)

ヨーロッパ中世の大聖堂は、世界でも壮麗なる建造物である。それが、何百年、どうかすると一千年もの昔に建築された。

それは、なぜか?

私は十年間、大聖堂めぐりをつづけ、これらの驚嘆すべき建造物の意味を理解しようとした。
大聖堂への私の学習そのものは、この小説の主眼ではありえない。これは、愛と憎しみ、野望と貧欲と復讐とのヒューマン・ストーリーである。
人びとの心情と情熱は今日と同じだが、かれらの生きた環境条件はまったく違う。 この相違と類似の二面性が、作者には興味の焦点でもあった。
読者のみなさんも、おそらく同感であろうと推察している。

◆<本書に寄せられた賛辞>

《パブリッシャーズ・ウィークリー》
フォレットはこの作品にすべてを賭け、そして勝利者となった。
面白さ、時代の雰囲気、しっかりした人物造形・・・・・・
圧倒的なボリュームで読者を楽しませ、導き、満足感を与える。

《コスモポリタン》
時代を超え、まるで目の前にいるような登場人物たちが作品を彩る。
愛と憎しみ、忠誠と裏切り、希望と絶望・・・・・・彼らは血が通った人間なのだ。
自分の目で確かめて欲しい。『大聖堂』は、心の底から夢中になる小説だ。

《サンフランシスコ・クロニクル》
フォレットは、また大きく前進した。


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