『龍馬がゆく(第一巻~第八巻)』司馬遼太郎(著) 2016
5/25
水曜日

僕は坂本竜馬が何者で、何を成し遂げたのか、明細に知らなかった。時は19世紀半ば、泰平の江戸の世が二百数十年続いていたわけだが、アメリカを初め、通商を求め開国を迫ったことから端を発する「尊皇攘夷」論の嵐が諸藩で、とりわけ薩長土で色濃く勃発しかけた。攘夷尊皇思想であっても勤王派、佐幕派と趣を二分するのではあるが、ここはさておき。

竜馬は絶妙のタイミングでこの世に生を受け、後生に語り継ぐには有り余る働きをしたのだが、日本という国を作り直させる、救済するために神が地上に舞降りさせたのか、偶然にも結果を残したからこそ「坂本竜馬」がレジェントとして記憶されたのか、どうなのだろう。

彼は藩や幕府や個人の名誉欲で行動したことが一度もなかった。日本を生まれ変わらせるため、外国から侵略されないため、日本がどうあるべきか、そのために何をするのか。考えに考え、行動するに行動した。

さて、ちょっとここで、大仕事を成し遂げる人物は幾多の書物を読んで感じる共通項は、
 ・一人称で考える
 ・思ったら即行動する
 ・仕掛け人としてプロである
 ・相手を納得させるだけの力がある
 ・丁寧に根回しをする
 ・人を使える
 ・目先に振り回されることがない(たえずゴールを思い描く)
 ・素直である
 ・ユーモアがある
 ・誠意がある
 ・主義・主張が一貫している
 ・(小説的には)女性にモテる
 ・他人から慕われる
 ・(この人のためなら命をなげうってでもよいと自然に思わせる)カリスマ性がある。

いずれにしても魅惑に溢れている。
 

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105675
登録情報
文庫: 446ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/9/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105675
ISBN-13: 978-4167105679
発売日: 1998/9/10
竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105683
登録情報
文庫: 441ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/9/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105683
ISBN-13: 978-4167105686
発売日: 1998/9/10
竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105691
 登録情報
文庫: 430ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/9/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105691
ISBN-13: 978-4167105693
発売日: 1998/9/10
竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105705
登録情報
文庫: 425ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/9/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105705
ISBN-13: 978-4167105709
発売日: 1998/9/10
竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105713
登録情報
文庫: 430ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105713
ISBN-13: 978-4167105716
発売日: 1998/10/9
竜馬がゆく〈6〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105721
登録情報
文庫: 437ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105721
ISBN-13: 978-4167105723
発売日: 1998/10/9
竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
416710573X
登録情報
文庫: 426ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 416710573X
ISBN-13: 978-4167105730
発売日: 1998/10/9
竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
4167105748
登録情報
文庫: 441ページ
出版社: 文藝春秋; 新装版 (1998/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4167105748
ISBN-13: 978-4167105747
発売日: 1998/10/9

【第一巻】
内容(「BOOK」データベースより)
「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」と、勝海舟はいった。坂本竜馬は幕末維新史上の奇蹟といわれる。かれは土佐の郷士の次男坊にすぎず、しかも浪人の身でありながらこの大動乱期に卓抜した仕事をなしえた。竜馬の劇的な生涯を中心に、同じ時代をひたむきに生きた若者たちを描く長篇小説。

【第二巻】
黒船の出現以来、猛然と湧き上ってきた勤王・攘夷の勢力と、巻き返しを図る幕府との抗争は次第に激化してきた。先進の薩摩、長州に遅れまいと、固陋な土佐藩でクーデターを起し、藩ぐるみ勤王化して天下へ押し出そうとする武市半平太のやり方に、限界を感じた坂本竜馬は、さらに大きな飛躍を求めて、ついに脱藩を決意した。

【第三巻】
浪人となった竜馬は、幕府の要職にある勝海舟と運命的な出会いをする。勝との触れ合いによって、かれはどの勤王の志士ともちがう独自の道を歩き始めた。生麦事件など攘夷熱の高まる中で、竜馬は逆に日本は開国して、海外と交易しなければならない、とひそかに考える。そのためにこそ幕府を倒さなければならないのだ、とも。

【第四巻】
志士たちで船隊を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のための海軍にする―竜馬の志士活動の発想は奇異であり、ホラ吹きといわれた。世の中はそんな竜馬の迂遠さを嘲うように騒然としている。反動の時代―長州の没落、薩摩の保守化、土佐の勤王政権も瓦解した。が、竜馬はついに一隻の軍艦を手に入れたのであった。

【第五巻】
池田屋ノ変、蛤御門ノ変と血なまぐさい事件が続き、時勢は急速に緊迫する。しかし幕府の屋台骨はゆるんだようにも見えない。まだ時期が早すぎるのだ…次々死んでゆく同志を想い、竜馬は暗涙にむせんだ。竜馬も窮迫した。心血を注いだ神戸海軍塾が幕府の手で解散させられてしまい、かれの壮大な計画も無に帰してしまった。

【第六巻】
幕府を倒すには薩摩と長州が力を合せれば可能であろう。しかし互いに憎悪しあっているこの両藩が手を組むとは誰も考えなかった。奇蹟を、一人の浪人が現出した。竜馬の決死の奔走によって、慶応二年一月、幕府の厳重な監視下にある京で、密かに薩長の軍事同盟は成った。維新への道はこの時、大きく未来に開かれたのである。

【第七巻】
同盟した薩摩と長州は着々と討幕の態勢を整えてゆく。が、竜馬はこの薩長に土佐等を加えた軍事力を背景に、思い切った奇手を案出した。大政奉還―幕府のもつ政権をおだやかに朝廷に返させようというものである。これによって内乱を避け、外国に侵食する暇を与えず、京で一挙に新政府を樹立する―無血革命方式であった。

【第八巻】
慶応三年十月十三日、京は二条城の大広間で、十五代将軍徳川慶喜は大政を奉還すると表明した。ここに幕府の三百年近い政権は幕を閉じた。―時勢はこの後、坂を転げるように維新にたどりつく。しかし竜馬はそれを見とどけることもなく、歴史の扉を未来へ押しあけたまま、流星のように…。巻末に「あとがき集」を収む。





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