『光のない海』白石 一文(著) 2016
4/30
土曜日

著者の他作品は「ほかならぬ人へ」に続き二作目となった。

登場人物の相関関係は省くとして、思い浮かべることができる登場人物は25名位?で多くもないのだが、出来事を列挙してみると『失踪、駆け落ち、蒸発、猥褻行為、リストカット、自殺未遂、癌、交通事故、事後発覚する他男の子、非行、離婚、不倫、師弟関係の情事、不義、密通、殺人、粉飾決算、合併統合、・・』と未曾有の出来事が持ち上がる。物語を紡ぐには諸般の「非日常」を投入せざるを得ない。ハッピーだけでは物語が進行することはない。その「非日常」と「日常」の背景や描写は緻密であるが、要所々々で浮上する「非現実」な幻想をミックスさせることで「天色」との「紺青」の絵の具を混ぜ合わせ「鉄紺色」の色相を醸し出しているような印象を持った。

天色(あまいろ) 紺青(こんじょう) 鉄紺(てつこん)


光のない海
白石 一文
4087716392
登録情報
単行本: 336ページ
出版社: 集英社 (2015/12/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087716392
ISBN-13: 978-4087716399
発売日: 2015/12/4

内容(「BOOK」データベースより)
社長、僕は一体いつまであの会社に縛られ続けるのですか? 建材会社の社長・高梨修一郎は、取引先の紛飾決算による経営危機に翻弄され、事態の収拾を図ると共に引退を考えはじめる。彼の脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶。先代の女社長と彼の間には、誰にも言えない愛憎関係があった―。個人と社会の狭間にある「孤独」を緻密に描き出す、傑作長編。






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