『関ヶ原(上中下巻)』司馬遼太郎(著) 2016
3/16
水曜日

城塞」、「国盗り物語」「新史 太閤記」に続く戦国小説。すっかり司馬遼太郎浸りであるが、他作品も目白押しである。疼く。

さて、本書。ご存じのとおり天下分け目の合戦として徳川家康VS石田三成、東軍VS西軍として、豊臣秀吉亡き後の動乱、身の振り方は如何に処すべきか? 天下を狙うのは誰か? どちらに手を貸せば有利なのか。すべて駆け引きなのである。西軍の小大名で嫌われ者であった石田三成は「儀」のため、家康を成敗したいとの狙いであったのだが、如何せん人気がなかった。上に立つ者、カリスマ性は必要条件なのである。

戦をせずに調略、謀略による諸藩を見方に付けようとする工作活動。天下を狙うまでの力や器量のない諸大名は、自国の保身を天秤に賭け、どちらに付けば未来は安泰か、それしかないのである。(そればかりでもなく豊臣家への恩義で働く藩もあるのだが) 戦途中でも寝返る大名も出てくるわけである。この当たりの駆け引きが抜け目ないというか、戦史としてはとてつもなく腹黒いながら興味をソソルわけなのである。小説の題材としては抜群ではないか。(ほぼ史実に裏付けされてはいるから尚更のこと)

名将といえども温々と育った嫡男、世継ぎは大概のところは使い物にならず、また戦上手であった武将も戦国の世は下克上、いつ何時、浪人に身を貶めるかもしれず、実に生活する上で、自国を治めていく上で不安定極まりない時世だったのである。なるほど、なるほど。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
4101152128
登録情報
文庫: 539ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1974/6/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101152128
ISBN-13: 978-4101152127
発売日: 1974/6/24
関ヶ原〈中〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
4101152136
登録情報
文庫: 538ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1974/6/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101152136
ISBN-13: 978-4101152134
発売日: 1974/6/27
関ヶ原〈下〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
4101152144
登録情報
文庫: 500ページ
出版社: 新潮社; 改版 (1974/7/2)
言語: 日本語
ISBN-10: 4101152144
ISBN-13: 978-4101152141
発売日: 1974/7/2

内容(「BOOK」データベースより)
【上巻】東西両軍の兵力じつに十数万、日本国内における古今最大の戦闘となったこの天下分け目の決戦の起因から終結までを克明に描きながら、己れとその一族の生き方を求めて苦闘した著名な戦国諸雄の人間像を浮彫りにする壮大な歴史絵巻。秀吉の死によって傾きはじめた豊臣政権を簒奪するために家康はいかなる謀略をめぐらし、豊家安泰を守ろうとする石田三成はいかに戦ったのか。

【中巻】秀吉の死後、天下は騒然となった。太閤の最信任を獲得した能吏三成は主君の遺命をひたすら堅守したが、加藤清正、福島正則ら戦場一途の武将たちは三成を憎んで追放せんとする。周到な謀略によって豊家乗っ取りにかかった家康は、次々と反三成派を篭絡しつつ、上杉景勝討伐の途上、野州小山の軍議において、秀頼の命を奉ずる諸将を、一挙に徳川家の私兵へと転換させてしまう。

【下巻】天下取りの見果てぬ夢を追い求めて関ヶ原盆地に群れ集った10数万の戦国将兵たち…。老獪、緻密な家康の策謀は、三成の率いる西軍の陣営をどのように崩壊させたか?両雄の権謀の渦の中で、戦国将兵たちはいかにして明日の天下に命運をつなぎ、また亡び去ったのか?戦闘俯瞰図とも言うべき雄大な描写の中に、決戦に臨む武将たちの人間像とその盛衰を描く、波瀾の完結編。





Copyright (C) 2016 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.