『スケアクロウ(上下巻)』マイクル・コナリー(著) 2015
2/27
金曜日

「ハリー・ボッシュ」シリーズではないマイクル・コナリーの小説。今回は、新聞記者と女性FBI捜査官、そして世間的には優秀天才でありながら、心の捻れた連続殺人犯との挑み合う展開に自然と引き摺り込まれてしまった。世界的に新聞業界はネット上のリアリティある記事に押され、発行部数は軒並み低迷し続けている事実にも目が配られている。IT時代に自社の情報をホスティングすることでセキュリティ確保と個人情報保護と維持にかかるコスト削減が今の潮流で、自前で設備を打つ企業は減少傾向であろう。データセンタのサーバの構築・維持、入室セキュリティ、防災など、本書ではかなり詳しく述べられているが、仕事柄経験則もあり楽しく読めた。また、インターネットに罠をしかけ獲物を捕獲するやり口は今のネット世界・時代に追従しているであろう。

しかしながら、何でもそうであるが、情報を操作し、コントロールし、マネージメントするのは人である。仕事は優秀であっても心理的に健全でなければならない。性的倒錯は子供時代の育ち方、経験に根差していることは確実である。だから、子供を愛情をもって躾をしていくことは大事なのであるが、その親もその親の育てられ方を踏襲していることの確率大である。連鎖はどこで断ち切るのだろう。

スケアクロウ(上) (講談社文庫)
マイクル・コナリー 古沢 嘉通
4062774658
登録情報
ペーパーバック: 368ページ
出版社: 講談社 (2013/2/15)
言語: 日本語, 日本語, 日本語
ISBN-10: 4062774658
ISBN-13: 978-4062774659
発売日: 2013/2/15
スケアクロウ(下) (講談社文庫)
マイクル・コナリー 古沢 嘉通
4062774666
登録情報
ペーパーバック: 384ページ
出版社: 講談社 (2013/2/15)
言語: 日本語, 日本語, 日本語
ISBN-10: 4062774666
ISBN-13: 978-4062774666
発売日: 2013/2/15
しょうごさんの読書メーター

内容紹介
《上巻》 犯人の名は、案山子(スケアクロウ)。
情報の番人で、細い脚の女を嗜虐する男。
「邪悪な者たちの遊び場(インターネット)」で彼女たちは狩られた。
コナリー・ミステリー史上、もっとも不気味な殺人犯!

人員整理のため二週間後に解雇されることになったLAタイムズの記者マカヴォイは、ロス南部の貧困地区で起こった「ストリッパートランク詰め殺人」で逮捕された少年が冤罪である可能性に気づく。スクープを予感し取材する彼を「農場(ファーム)」から監視するのは案山子。コナリー史上もっとも不気味な殺人犯登場!

《下巻》 追いかけるのは、新聞記者。
解雇目前で、一発逆転の大スクープを狙う男。
「ビロードの棺桶(LAタイムズ)」の内実までも暴かれていく。
コナリーならではの犯罪小説、ここに極まる!

有能な犯罪心理分析者レイチェルが導き出した案山子(スケアクロウ)の人物像は、女性の下肢装具に性的興奮を覚える倒錯者(アベイショフィリア)。マカヴォイは、情報強者の案山子が張り巡らした幾重もの危険な罠をどうやってかいくぐるのか? 大スクープのゆくえは? 巧妙なストーリー展開で、読む者を一瞬も飽きさせない究極の犯罪小説!






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