『運命の日(上下巻)』デニス・ルヘイン著 2015
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日曜日

ミスティック・リバー、シャッター・アイランド、私立探偵パトリック&アンジーもの数冊とデニス・ルヘインは読んだ。映画化された作品も多い。今回もいい。

さて、本編、歴史小説とも言えるが、時代はアメリカの
 1918.09 インフルエンザ大流行
 1918.11 第一次世界大戦終結
 1919.01 ボストンで米国産業アルコール社の糖蜜タンク爆発
 1919.04 郵便爆弾を用いた要人暗殺未遂事件
 1919.05 メーデー騒乱
 1919.06 パーマー司法長官宅爆破事件
 1919.09 ボストン市警ストライキ
 1920.01 禁酒法(ヴェルステッド法)全国で施工

出来事を緻密になぞりながら、黒人差別、アリルランド移民、アナキズム(無政府状態思想)、テロリズム、ヴァンタリズム(文化破壊運動)が渦巻き、労働者に至っては長時間・低賃金・不衛生なコンディションに漬け込まれながら働く寒々とした時代。弾圧された労働者は団結し、組合が結成され、ストライキを蜂起するが、抑圧もされる。

これら様々な人々(野球のベーブ・ルースも話に絡んでくる)が縦・横に織り合わさって、濃く、深く、愛しく、痛ましく出来事が紡がれていく。

ルヘイン、作家として超一流。お勧めしたい本書である。

運命の日 上 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
デニス・ルヘイン 加賀山 卓朗
4152089482
登録情報
単行本: 330ページ
出版社: 早川書房 (2008/8/22)
ISBN-10: 4152089482
ISBN-13: 978-4152089489
発売日: 2008/8/22
運命の日 下 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
デニス・ルヘイン 加賀山 卓朗
4152089490
文庫: 409ページ
出版社: 講談社 (1989/11/1)
言語: 日本語, 英語
ISBN-10: 4061965158
ISBN-13: 978-4061965157
発売日: 1989/11/1

■上巻
内容(「BOOK」データベースより)
第一次大戦末期の1918年。ロシア革命の影響を受けて、アメリカ国内では社会主義者、共産主義者、アナーキストなどがさかんに活動し、組合活動が活発になる一方で、テロも頻発していた。そんな折り、有能な警部を父に持つボストン市警の巡査ダニー・コグリンは、インフルエンザが猛威をふるう中、特別な任務を受ける。それは、市警の組合の母体となる組織や急進派グループに潜入して、その動きを探ることだった。だが彼は、捜査を進めるうちにしだいに、困窮にあえぐ警官たちの待遇を改善しようと考えるようになる。一方、オクラホマ州タルサでは、ホテルに勤めていた黒人の若者ルーサー・ローレンスがトラブルに巻き込まれてギャングを殺し、追われる身となっていた。ボストンにたどり着いたルーサーはコグリン家の使用人になり、ダニーと意気投合する。ある日、ダニーは爆弾テロの情報を得て、現地に急行する。その犯人は意外な人物だった…。大反響を巻き起こした『ミスティック・リバー』『シャッター・アイランド』の著者が、満を持して放つ画期的大作。

■下巻
内容(「BOOK」データベースより)
第一次大戦は終結した。だがボストンでは、警官の待遇改善に意欲的だった市警本部長が急死し、ダニーの運命は大きく変化する。強硬派の後任の本部長によって、彼はスト破りの部署に異動させられたのだ。1919年のメーデーの集会の後、ダニーは暴行を受け、大怪我を負ってしまう。苦難の中で彼は、コグリン家の使用人だった女性を心から愛していたことを知った。二人は結婚し、ルーサーを含めた固い絆ができあがる。だが、ダニーの名付け親で黒人を憎むマッケンナ警部補が、ルーサーの過去を暴き出していた。マッケンナはルーサーを脅して、黒人の地位向上をめざす組織に壊滅的な打撃を与えようとする。さらに、市警の警官たちのあいだではスト敢行の機運が高まり、大きなうねりとなっていった。そしてついに警官たちはストライキを決行、ボストンは大混乱に陥る。しかも、その騒乱の先には、ダニーとルーサーにさらなる試練が待ち受けていた!動乱の時代のボストンを舞台に、壮大なスケールで描く家族と愛と友情のドラマ。







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