『闇に浮かぶ絵(上下巻)』ロバート ゴダード著 2014
10/28
火曜日

僕が1800年代を舞台に著された古典本を読んだものとしては、
 ・『白鯨』ハーマン・メルヴィル著(1851年)
 ・『モンテクリスト伯』アレクサンドル・デュマ著(1844年-1846年)
がある。

もっと遡り古代ギリシャの時代の、
 ・『オデッセイア』ホメーロス著
は難解で、感情移入が出来ず、挫折してしまった。(途中放棄はしたのは二度目なのであるが)

未読本としては、
 ・『アンナ・カレーニナ』トルストイ著(1877年)
が積読本となっているが、これは追々どこかで読もう。


今回の作品は1989に書かれた歴史小説であるが、19世紀の時代の空気をふんだんに吸わせている。いずれも当時の香りもさながら、発言、思考回路、情景描写、貴族の行動パターンも常套であって歴史小説然の雰囲気を呈している。大げさな妬みと、恩着せがましさと、荒くれ加減と、卑屈さがダークなオーラを仄々と拡散させているのだ。19世紀の世界観、まだ現代文明の便利さを享受していない泥臭さも背景のリアリティさをより浮かびあがせもしている。

上下巻で900ページを超える長編となっている。上巻は少し読みにくく退屈な感じを受けた。下巻は裁判の模様、真相を暴いていく過程が緊迫と緊張を増していくのだが、最後の種明かしが一気呵成すぎている印象も受けた。しかし、十分読み応えのあるゴダード作品、他の作品を読んでみたい、これも読書の醍醐味である。

闇に浮かぶ絵〈上〉 (文春文庫)
ロバート ゴダード Robert Goddard
4167527510
登録情報
文庫: 352ページ
出版社: 講談社 (2003/7/15)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062737930
ISBN-13: 978-4062737937
発売日: 2003/7/15
闇に浮かぶ絵〈下〉 (文春文庫)
ロバート ゴダード Robert Goddard
4167527529
登録情報
文庫: 460ページ
出版社: 文藝春秋 (1998/02)
ISBN-10: 4167527529
ISBN-13: 978-4167527525
発売日: 1998/02

◆上巻
内容(「BOOK」データベースより)
19世紀のロンドン。ひとりの男が11年の時を経て戻ってきた。男の名はジェイムズ・ダヴェノール。自殺する旨の手紙を残して消息を絶った准男爵家の跡継ぎだった。元婚約者の出現に心乱れる人妻、憎悪に燃えるその夫。頑として彼を認めようとしない母と弟。それぞれの思いがやがてダヴェノール家の忌まわしき歴史の扉を開ける。

◆下巻
内容(「BOOK」データベースより)
周囲の動揺をよそに、あくまで紳士的なジェイムズ。その記憶は本人であることの揺るぎない証拠と思われたが、不可解な“事故”が続くうち、人々の疑惑は膨らんでいった。彼はいったい何者なのか?ダヴェノール家の恐ろしい血の呪縛は消えたのか?ゴダードの卓越したストーリー・テリングがさえるゴシック・ミステリーの傑作。







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