『糞袋』藤田 雅矢著 2014
3/2
日曜日

 ♪富士の高嶺に降る雪も
  京都先斗(ぽんと)町(丁)に降る雪も
  雪に変わりはないじゃなし 溶けて流れりゃみな同じ♪

 幼稚園の頃、よく聴いた懐かしの「お座敷小唄」である。”きょうとぽんとちょう”はどこの場所やら知る由もなく、”ぽんと”のイントネーション、独特の響きが面白くて、されどメロディーは哀愁が漂うギャップに、幼心に安堵感を覚えた強度の思い出がある。親戚が集まる法事などでお酒が入ると「お座敷小唄」で盛り上がっていた。母も上手だった。さて、この本はその「ぽんと丁」も舞台の一幕となっている。書のタイトル、まさか、”くそぶくろ”とは、如何なものか。恥を知れ、恥を!!

まさに『糞』も大きな枠割を役割を果たしているのである。いやいや、主人公イチの準主役級が『糞:』なのである。同位だろう。まあ、痛快なので、読んでみなされ。

「そんなに糞を恨むではない。誰もみな、糞の詰まった糞袋よ」

人生の縮図。実に言いえて妙なり。

糞袋
藤田 雅矢
4104092010
登録情報
単行本: 233ページ
出版社: 新潮社 (1995/12)
ISBN-10: 4104092010
ISBN-13: 978-4104092017
発売日: 1995/12

内容(「MARC」データベースより)
「人間なんぞみな、糞袋よ」 時は江戸、舞台は京都。ひょんなことから花街の糞尿配達屋を営み、あれやこれやと出世をとげた男の天晴れな人生。第7回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。







(2014/03/02 13:21)


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