昭和が平成になった1989年、各著名人が「昭和」を省みて、「昭和」という切り口で回想録として、昭和を振り返り、総括し、疑問を投げかけている23名の著名人による寄稿本である。昭和は戦前・戦中・戦後のエピソードで区切ってみると、この期間は平時にはない予測不可能な出来事が再三再四と勃発したわけであるから、これらの人々の原体験は計り知れないものが全身隈なく擦り込まれてしまっていて、そのオーラが戦後生まれの私にも伝わってきた。
原体験はトラウマとなっていつまでも心の襞に澱のようにへばりついているのかもしれない。
例えば、戦中・戦後の物資が枯渇していた時代、ほぼほぼ庶民は腹を空かせていた。それが普通だった。毎日、生きるために食うために、必死であった。今の世代で、いくら貧乏といわれようとひもじい思いをする人は皆無ではなかろうか。そういった観点で、高度成長後の世代生まれには「辛抱する」「辛抱できる」閾値が下がっているのは誰もが疑うことのない事実だろう。
登録情報
文庫:167ページ
出版社: 新潮社 (1990.1.15)
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【執筆者一覧】
北 杜夫
遠藤周作
入江泰吉
澤地久枝
飯沢 匡
芹沢光治良
河合隼雄
伊藤桂一
石原慎太郎
田村隆一
沢村貞子
河盛好蔵
林 京子
西澤潤一
辻井 喬
大城立裕
後藤明生
江藤 淳
野坂昭如
小林信彦
清家 清
岸 恵子
大江健三郎
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(2013/04/09 22:19)
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