『赤猫異聞』浅田次郎著 2012
10/25
木曜日

浅田次郎氏の本に嵌っているわけではないが、相変わらず、痒いところに手が届く孫の手作家だ。

だらだら書評は止めておこう。
文中に書かれた、ある文言が、凛と姿勢を正させた。
濁りきった僕の盆暗な心が、滝に打たれる修行僧のような澄み切った心になったように感じるのだから、不思議なものだ。(神妙な気持ちは、長くは持たなかったが・・・)

『嘘をつかずに実(まこと)を貫かんとすれば、それはそれで苦労な人生となりましょう。だが、それでよいのです。この世は百千万の嘘に充ち満ちているが、事実はひとつきりにございますゆえ。百千万の方便に頭を悩ますよりは、ひとつの真実で苦労をしたほうがずっと楽でございますよ。』


うーん、唸りまする。感服でござりまする。

赤猫異聞
浅田 次郎
4104394041

単行本: 281ページ
出版社: 新潮社 (2012/8/30)
言語 日本語
ISBN-10: 4104394041
ISBN-13: 978-4104394043
発売日: 2012/8/30

○内容説明
鎮火後、三人共に戻れば無罪、一人でも逃げれば全員死罪。「江戸最後の大火」は天佑か、それとも――。火事と解き放ちは江戸の華! 江戸から明治へ、混乱の世を襲った大火事。火の手が迫る小伝馬町牢屋敷から、曰くつきの三人の囚人が解放された。千載一遇の自由を得て、命がけの意趣返しに向かった先で目にしたものは――。数奇な運命に翻弄されつつも、時代の濁流に抗う人間たち。激変の時をいかに生きるかを問う、傑作長編時代小説!
○内容(「BOOK」データベースより)
火勢が迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった曰くつきの重罪人―繁松・お仙・七之丞。鎮火までいっときの自由を得て、命がけの意趣返しに向かう三人。信じられない怪事が待ち受けているとは、知る由もなく。―幕末から明治へ。激変の時をいかに生きるかを問う、最新長編時代小説。



(2012/10/25 23:58)

Copyright (C) 2012 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.