『蒼穹の昴』浅田次郎著 2012
10/19
金曜日

上下巻、段組で800頁近くボリュームがある長篇、「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」。

実に、読み応えがあった。
歴史小説家だけのことはあって浅田次郎さんは、読ませるぞ、泣かせるぞ、感動させるぞ、と。
善悪・貧富・愚直の対比・明暗がありながらも、ファジーな心情領域もある。話の進展に山谷の起伏だけではなく、なだらかさ、滑らかさもあるといえばいいか。エベレストありーの、芝生の丘ありーのって感じ。
悪玉とよばれる登場人物にも、全身全霊を込めてまで憎めないのは、またその人達にも心に葛藤を抱いて生きているからだろう。
大志、野心、野望、希望、大望、目標を持って大清国を支えようとする光諸十三年の状元、染文秀、糞拾いだった貧しい季春雲(春児)は自分のチンチンを自分で切り落とし、宦官の大総監大監まで登り詰める。西太后(帝)を初め、多数の登場人物の表情までが浮かんでくる。そして、時代が進むにつれ、人が交わるにつれ、織りなす人間模様がドラマとなる。

ブックオフで上下巻200円で買ったのが、申し訳ないほどの「読ませ本、泣かせ本、勇気本」だった。

蒼穹の昴(上)
浅田 次郎
4062074974

単行本: 352ページ
出版社: 講談社 (1996/4/17)
言語 日本語
ISBN-10: 4062074974
ISBN-13: 978-4062074971
発売日: 1996/4/17

蒼穹の昴(下)
浅田 次郎
4062080397

単行本: 414ページ
出版社: 講談社 (1996/4/17)
言語 日本語
ISBN-10: 4062080397
ISBN-13: 978-4062080392
発売日: 1996/4/17

【上巻】出版社/著者からの内容紹介
新生面をひらく特別書下ろし超大作!
この物語を書くために私は作家になった。――浅田次郎

汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう──。
中国清朝末期、貧しい農民の少年・春児(チュンル)は占い師の予言を信じて宦官になろうと決心した。

【下巻】出版社/著者からの内容紹介
愛と権力のドラマ、頂点に。魂をうつ歴史超大作!

落日の清朝には領土を分割せんと狙う列強の牙が迫っていた。
科挙進士の友とも別れ、西太后の側近となった宦官の春児(チュンル)は、野望渦巻く紫禁城で権力をつかんでいった。



(2012/10/19 22:17)

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