クラウス・フォアマンと聞いて、ザ・ビートルズの「リボルバー」のジャケットをデザインをした人、と即答出来る方は、そこそこのビートルズ通。
本書は、”クラウス・フォアマンが日本のファンのために、僕も高校生の時から定期購読していた”ビートルズ・シネ・クラブ(現ザ・ビートルズ・クラブ))に定期的に寄稿していたものの集大成となっている。
クラウス・フォアマンはビートルズのデビュー前のドイツ・ハンブルグ時代に元恋人アストリット・キルヒヘルと共に、その時代を分かち合った友人だった。スチュワート・サトクリフとの出来事もふんだんに書かれている。(スチュワートが何ものなのか、詳細割愛)
クラウスはドイツ人で、マンフレッド・マンというバンドのベーシストでもあったし、そこそこのヒットも残した。ビートルズ解散後も、ジョン、ジョージ、リンゴのアルバム製作にベーシストとして、時にはライブ活動へも参加している。ジョンのイマジンのベースを弾いているのも彼である。
さてさて、興味の無い方には、『なんのこっちゃ』でしょうが、ビートルズの伝記小説は腐るほどあるけれど、かなりの数は読んだけれど、真に、ほんとうに身近な人の言葉は、よりリアリティーが氷山の如く、際立っている。
では、ビートルズの身近な人を挙げるとすれば、僕が読んだ本では、ジョンの元妻のシンシア・レノン、ビートルズにファッションスタイルで影響を与えたアストリット・キルヒア、リンゴがメンバーに加わる前のドラマーだったピート・ベスト、プロデューサーのジョージ・マーティン、エンジニアのジェフ・エメリック、彼らの自書はストレートで粉飾がないからオススメできる。
話しを戻して、本書はクラウスの温厚で、どちらかといえば控えめながら、思いやりのある言葉で溢れているのだ。
しかし、綺麗事ばかりではないショー・ビジネスの世界。
彼は、嫌な闇の部分もたくさん体験してきたのも事実。
それらを総合して、、ジョンの心の叫び、リンゴのおっとりして穏やかな人柄、ショーマンとしてのポール、今まで僕が知り得なかった素朴で思いやりのある温かい心の持ち主だったジョージ、やはりヨーコは変人だとか、あれやこれやとクラウスが熱く語っている。
そしてたくさんの挿絵はクラウス自身のデッサン、彼のスケッチ画が訴えるパワーに圧倒される。
ジョンやジョージの死の直前まで友好を深め続けた人、それがクラウド・フォアマンという人物である。
嗜好的偏向性の強い本書であるので、ビートルズファン以外の人には何も影響しないでしょう。
あしからず。
(2012/06/21 22:40)
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