ビッグデータビジネスの「ゆりかご」としてのクラウド 2012
3/22
木曜日

シリーズブログ。

野村総合研究所の鈴木良介氏の著書『ビッグデータビジネスの時代』から、なるほどと感銘した部分をピックアップしてみたい。あくまで、本内容は以下の著書からであり、興味のある方は本を手にとってご覧いただけますよう。

ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略
鈴木 良介
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内容紹介
「ビッグデータビジネス」は、産業界全般で進むクラウド利用と併せて、2010年代の情報・通信分野における注力すべきテーマの1つになることが予想されています。
本書では、海外を中心とした「ビッグデータ」の活用企業および、活用を支援しようとするIT事業者の最新動向や戦略、ビッグデータビジネスを検討する視点を詳細に解説します。
また、Hadoop、DWH、CEPなどのビッグデータ活用を支える技術やその周辺技術の動向を紹介するとともに、ビッグデータ活用のための課題や利用サイド事業者/支援サイド事業者双方における今後のビッグデータビジネスの将来像などについて広範に解説します。

・ビッグデータビジネスとは何か?
・ビッグデータビジネスの効用と活用事例
・主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術
・ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因
・ビッグデータビジネスの将来予測

内容(「BOOK」データベースより)
国内&海外のビッグデータ活用事例、Hadoop/DWH/CEPなどビッグデータ活用を支える技術の解説から主要IT事業者の戦略と商材、将来予測までビッグデータビジネスを徹底網羅。ビッグデータビジネスとクラウド以降のIT潮流を掴むための最適な1冊。

2000年代後半より注目を浴びている「クラウド」がビッグデータビジネスの「ゆりかご」として、どのような役割を担うのか、
(1)ビッグデータビジネスの「ゆりかご」としてのクラウド
(2)クラウドの「のぼり」利用の進展により情報がおのずと蓄積される
これら2つの点から著書より解説する。

まずは、(1)ビッグデータビジネスの「ゆりかご」としてのクラウドから。

クラウドは多量のデータを蓄積・処理するための環境を、初期投資や環境セットアップの手間をかけずに利用することにを可能とした。この容易さがビッグデータの利用を後押ししている場合も多い。

特に、スタートアップ事業者に対する効用は非常に大きい。分析対象データと分析に向けた意欲はあるものの、そのための計算資源をはじめとした設備投資予算に乏しいいことが多いためだ。

スタートアップ事業者においても気軽に大量データの処理・分析を行うことができるようになってきた。

具体的事例では、
・アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供するAmazon Elastic MapReduceがある。これはEC2(仮想サーバ)やS3(ストレージ)サービスに加えて、分散処理を行うための基盤を提供しており、MapReduce機能(hadoopと同等)の利用可能。

・グーグルが提供するPrediction APIは、ビッグデータから知見を導出し、そこから傾向や法則を見出すこを実現するための技術・手法である機械学習についてもクラウドサービスとして提供されている。

事業者にとって有用な知見を導出するためには、「試行錯誤」のプロセスが不可欠となる。試行錯誤を行うための障壁が高ければ、当然にして思考の総数が増えず、有用な知見が導出される可能性も限定的となる。障壁を越えるためには、
 「多量のデータを蓄積するための経済的なストレージ」
 「処理するための経済的な計算資源」
 「気軽に使える並列分散処理環境」
 「安価に試せる機会学習基盤」などを用意することが必要となってくる。

クラウドサービスの活用により、費用的・作業負荷的な障壁が下がり、それにより「思考の総数」が増大すれば、有用な知見が導出される可能性は高くなるといえる。

次回は(2)「クラウドの「のぼり」利用の進展により情報がおのずと蓄積される」について解説する。






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