『社会リズム療法』とは?(3) 2012
3/12
月曜日

数回に渡り、「社会リズム」をピックアップしていこう。
本内容は、以下の著書からの要約であり、リワークプログラムの中でも教わった内容となる。
きちんと確認したい方は、本書を手に取ることをお勧めする。

対人関係療法でなおす 双極性障害
水島広子
4422114638

内容紹介
《対人関係療法でなおすシリーズ》の3冊目。「双極性障害」(=「躁うつ病」)とは、気分の高揚とうつ状態とが繰り返し訪れる病気である。単極性のうつ病と誤診されたためにうつがなかなか治らなかったり、病気ではなく性格の問題だとされて、きちんとした治療を受けられずに何年も過ごしている患者さんも多い。また、きちんと診断されても、これまでは薬物療法しか有効な治療法がなかった。本書では、「対人関係」と「社会リズム」という、この病気を発症させる二つの大きな要因に焦点を当てて、薬物療法以外に、自分自身でコントロール可能な方法を日本で初めて紹介する。

<目次>
はじめに
第I部 双極性障害を患うということ  
第1章 双極性障害という病  
第2章 双極性障害と社会リズム
第II部 対人関係・社会リズム療法(IPSRT)の進め方  
第3章 対人関係・社会リズム療法とは  
第4章 社会リズム療法  第5章 対人関係療法  
第6章 双極性障害対策チームを作る
本書の内容の理解を深めるための参考文献
あとがき


双極性障害を患っている人にとって、生活リズムを含めた「社会リズム」を整えることは大事なこと。私も学んだ認知行動療法は、その場、その場のスナップショット的に、自分の考えを柔軟で楽な考えにしていくものであるが、「社会リズム」は自分の生活を俯瞰視・客観視して、自分の生活にプラスのフィードバックしていくものであると僕なりに解釈している。よって「社会リズム療法」は「認知行動療法」に比して双極性障害者に対しての予防効果があると主治医ドクターが話をしていた。

私も復帰後、就寝・起床時間を毎日記録し、決まった時間に寝て、決まった時刻に起きる(土日も含めて)ように努めている。


ここから本題。
◆「社会リズム療法」とは-SRMに記録する-

「対人関係・社会リズム療法(IPSRT)のうち、「社会リズム療法(SRT)」の部分は、基本的に、「SRM(ソーシャル・リズム・メトリック)」という表を用いて進めていく。

双極性障害の治療において用いられているものは,SRM-Ⅱという第二版。SRM-Ⅱには、17項目のフルバージョンと、5項目の簡易版がある。それぞれでチェックしていくポイントを表1.1、表1.2に示す。

表1.1 SRM 5項目版のチェックポイント

・起床した時刻
・人と初めて接触した時刻
・仕事・学校・課時・ボランティアなどを始めた時刻  
・夕食をとった時刻
・就寝した時刻


表1.2 SRM 17項目版のチェックポイント

・起床した時刻
・人と初めて接触した時刻
・朝の飲み物を飲んだ時刻
・朝食をとった時刻
・はじめえて外出した時刻
・初めて外出した時刻
・仕事・学校・家事・ボランティアなどを始めた時刻
・昼食をとった時刻
・夕食をとった時刻
・運動をした時刻
・夜食・飲み物をとった時刻
・夜のテレビのニュース番組を見た時刻
・別のテレビ番組を見た時刻
・活動A、B、Cをした時刻(自分にあった活動を書く)
・就寝した時刻

それぞれの項目を参考にしなあら、自分で省略するものと追加するものを作り、自分にぴったりなSRMを作るのがよいだろう。

チェックしていくのは、それが実際に行われた「時刻」と「人の刺激」。
「人」という欄には、その活動をしたときに、
 自分一人だけだったら「0」
 他人がただそこにいたというのであれば「1」
 他人が積極的に関わっていれば「2」
 他人がとても刺激的であれば「3」
  と書く。

例えば、朝食のときに、一人で食べれば「0」、家族が同じ部屋にいたけれども別のところで新聞を読んでいた、というのであれば「1」、家族が一緒に食べていれば「2」、家族がとてもおもしろいはなしをして大笑いをした、というのであれば「3」、ということになる。

「0」や「1」が多ければ刺激度は低いということになり、「3」が多いようなら、かなり刺激的な生活であることがわかる。

表の最後の「気分」の覧には、
 ・「非常にうつ」を[-5]
 ・「非常に高揚」を[+5]
として、その日の気分がどのあたりだったかを書く。これで、社会リズムと気分の関係を見ることができる。

5項目版だけでも習慣にすることが大切。5項目を書くのも無理だと思ったら、せめて「起床」「就寝」「気分」だけは書くところから始めるのもかなりの意味がある。それに、社会リズムがわかりやすいポイントを追加していくとよいだろう。

「SRMの記録は、一生の習慣にする」くらいの気持ちでいるとよいだろう。
慣れてくれば簡単にできるようになるし、ある意味では日記以上に自分の人生の記録になるだろう。


次回は、「社会リズム療法」から「社会リズムを安定させる」を要約する。


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(2012/03/12 20:03)


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