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8万時間・・・

2012
2/16
木曜日


この時間は何を示しているでしょう?
一昨日、某世界最大のコンピュータ・ソフトウェア会社の営業の某氏の方とお話していると、
「岩佐さん、退職までの勤務時間と退職後の自由になる時間はほぼ同じで8万時間あるんですよ、
 だから、退職して80歳まで生きたとしても人生まだ半分あるんですよ、どう思います?」

と。
8万時間を20年365日で割ると、一日11時間となる。
そうか、退職しても40年仕事に捧げた時間と同じだけ自由になる時間があるというのだ。

ネットでググルとこのような記事があった。


今週の本棚:伊東光晴・評 『定年後--豊かに生きるための知恵』=加藤仁・著(岩波新書・777円)
 ◇「自己本位」に修正を重ねながら団塊の世代の定年が近づいている。時宜を得た良書である。

20歳から60歳まで、働いた時間の合計は平均40年間で約8万時間だという。
問題はそれ以後である。

著者によれば、定年後の自由な時間は80歳までで合計8万3千時間となる。
8万時間と8万時間。
第二の8万時間をどう生きるのか。
今までにくらべ時間タップリ。ただしお金はボチボチ。

著者は定年後の人、三千人余りに会って調べたという。その事例がつぎつぎに出てくる。一ページに数人という場合もある。一口に言って千差万別で、何が参考になるかわからない。著者が漱石の生き方から借りた「自己本位」以外ない。

今までの技能を生かし、第二の職場で働くことができればそれにこしたことはない。多くの事例がこのことを示している。だがそれは、定年を一時延長するだけのことで、やがて本当の定年がくる。その時どうするのか。

考えてみれば、もう気兼ねする会社もない。社会についてであれ政治についてであれ言いたいことが言える。はじめて個人として自由になった。だが組織の中で役立った能力はほとんど役に立たない。一生懸命会社のために働いたことも、一夜明ければその多くが無意味になっている。そこに残るのは「むなしさ」だったという人も多い。自由は同時に孤独である。無聊(ぶりょう)と索漠でもある。

著者は、老後についてもいくつものアドバイスをしている。子供の時憧(あこが)れたことを思い出し、それを求めるのもひとつだと。

多分、フランス映画の中だったように思うが、貧しい、しかし互いに優しい夫婦の話を思い出した。二人は幼馴染(なじみ)で、小学校で二人とも画が好きだった。しかし、生活におわれカンバスに向うことはなかった。定年を迎えた日、もう働かなくてもいい。年金がある。二人は喜んで絵筆を持ち表に出ていく。農家に生れ、子供の時手伝った畑仕事が忘れられず、菜園に生きがいを見出す元役人の話もそのひとつである。

老後のプランは修正して本物になる、というアドバイスも大切であろう。はじめの八万時間、大都市での生活は、農村への憧れとなり、定年後の農村移住を考える人も多い。しかし、農業労働はきつい。体は大丈夫なのか。軌道修正して都会の今の家からマイカーを走らせて一時間の所に小さな畑を借りたという人もいる。賢明である。こうした人が多いのであろう。そのための本もかなりある。

加齢とともに修正を余儀なくされる例も多く出ている。海外移住はその最たるもの。また神奈川県下のマンションから宮崎県の海の見える丘の上の分譲地の家に移った人も、年をとると坂道がきつくなる。「不確かな終(つい)の住処(すみか)」と著者が言うゆえんである。老後は計画を変える必要が生れるのだから、それが可能な金銭上の余裕を残しておくことが大切、と付け加えたい。

何か一つ、目標を作り追求すること。それがあると無いのとでは大違いである。子供からの独立、健康のための努力もそのひとつである。

本書を読んで気になることは、サラリーマンをやめ自営業に転じて生きがいを見出した人が多く紹介されているが、失敗し、元手も失った人も多いのである。それは自宅を売って老人ホームに移るのと同じく、その多くが背水の陣で、よほどの慎重さが必要である。若い時と違い老人はやりなおしがきかない。
(毎日新聞 2007年3月25日 東京朝刊)


どうでしょう、私も退職まで10年。
こういったことも視野に入れ、後悔のない(今でも後悔はないが)人生を・・・・・

この「人生」という単語は曲者である。

たいそうに考えず、お気楽に、贅沢をせず、のんびりと暮らせられればいいのじゃないか。
あれやこれやと考えを巡らすのはいいだろうが、僕は「欲がない」のである。

健康管理だけは十分に気を配ろうとは思う。
そして死んでいくときは一人静かに来世に旅立っていく。

それでいいんじゃないかな。
そんなに格好つけることもない。
老後の自由な8万時間で何かをやり遂げなければ、などとサラサラ思ってはいない。








(2012/02/16 21:37)

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