アナログからアナログ

2012
1/26
木曜日

ここ数日、厳しく冷え込みます。
おかわりございませんか?

今は、リワーク⇔家の往復で毎日が過ぎています。
このような寒い季節は部屋を温かくし、家に閉じこもるのが一番です。

数日前に収納ボックスを買ってきまして、押入の片付けをしました。
押入を占拠していました日曜大工類やらペンキの缶やら、パソコンのケーブルなどを
断捨離の言葉どおり、一刀両断に不要品を切り捨てました。

スカッとしました。

片付けついでに、中古で手に入れたレコードプレイヤーもクリーニングしました。
レコード針を専用クリーナーでやさしく手入れする自分がとても素敵(と思ったんだな・・)です。

すると無性にLPレコードが聞きたくなってきました。
33年前の高校生時分に買ったビートルズのLPボックスを引っ張り出しました。
レコードは黴びることなく、コンディションはとてもよろしいです。
33年ぶりに開けたとは思えません。

そっと針を落としました。

とその前に・・・

オーディオ談義になりそうです。
少しばかり話しを逸らさせていただきますが、”レコードを聴く”というのはとても奥行きが深く、神聖な行為なのです。
CDをトレイに入れ、プレイボタンを押すと何も考えることなく音が出るのとは訳が違うのです。

厳格な事前準備作業が必要となります。

ひとつひとつの営みを丹念に確実にすると心が落ち着きます。
他の高級プレイヤーのことは判りませんが、私のレコードプレイヤーのVictor QL-Y7は定価96,000もしますが、数千円で入手しました。(20代の頃はひとつ下のQL-Y5を使っていました)
今はアナログ市場は値崩れどころか崩壊状態ですから、よほどマニアックな方か、私のような偏狂的・変態的嗜好者以外は手を出しません。

それでは、レコードプレイヤーに閉じたオーディオ・ウンチクを語ります。

【前提】部屋はクリーンにしましょう。(レコードに埃は大敵です)

セットアップはこのようなものがあります。(QL-Y7の場合)

1.

トーンアームの始点からカートリッジの長さに合わせてカートリッジをヘッドシェルに取り付けます

2.

ターンテーブルにレコードを載せ、トーンアームがレコードと水平になるよう高さを調整します

3.

トーンアームがレコードと水平になるようにバランスウェイトでゼロバランス調整を行います

4.

ANTI-SKATINGツマミでトーンアームが内側に引かれる力を打ち消し、針先のすべりやレコードの内周溝に加わる力を防止するために丸針、楕円針の違いを意識した針圧にセットします
 (針圧はカートリッジモデルにより決まっています、要はレコードにかける針の重さです)

5.

Q-DAMPINGツマミで、トーンアームの水平、垂直方向の動きを制御し、共振点ピークを下げるため、針圧にセットします 
※(トーンアームの低域共振点は約5Hz~10Hz近辺、共振点のピークが高すぎると外部からの受ける振動や音圧により、トーンアームそのものがそれらの周波数で振動し、レコードの反りや偏芯の影響を容易に受けるため、音溝を忠実にトレースできなくなってしまいます)
これを調整することの効果は、
 (1)トレース能力、および本質の向上
 (2)ハウリングへの対処強化
 (3)S/N比、ワウ・フラッターの構造
となります

6.

TRACING FORCEツマミで、カートリッジの針圧にセットします(電気的に所定の針圧が加わります)


レコード針はDENONのDL-301というムービングコイル型と呼ばれる針を使っています。
同様にDENONのDL-103というNHKとDENONが共同開発し、放送業界のデファクトスタンダートとしたカートリッジも持っています。オルトフォンのMM型も上述プレイヤーを入手した折に付いてきました。


”火入れ”という、ある程度オーディオ機器の素子が安定し、モーターが暖まるまで事前に電源を入れ、ターンテーブルを回しておくこともよく行います。

これら一連の設定を終えてから、初めてレコードを聞くことが出来るのです。


このような所作が気分が落ち着いてきたこともあって、とても心地よいのです。

アナログの音はとても円やかです。
ギザギザしません。
そして、回るものが死ぬほど好きな私は、これまた、オープンテープデッキにアナログ録音しました。

レコードプレイヤーとオープンデッキと二つが同時に回るのを眺めることは、
誰にもご理解いただけないでしょうが、『極楽の極み』なのです。





DL-301の主な仕様 DL-103の主な仕様

形式:ムービングコイル形
出力電圧:0.3mV(1kHz 5cm/s 水平方向)
再生周波数範囲:20Hz~60kHz
出カインピーダンス:40Ω
適合負荷:100Ω以上(トランス40Ω)
チャンネルセパレーション:28dB以上(1kHz)
チャンネルバランス:1dB以内(1kHz)
スタティック・コンプライアンス:35×10-6cm/dyne
ダイナミック・コンプライアンス:13×10-6cm/dyne(100Hz レコード測定)
針先(チップ):0.14×0.07ミリ角ソリッドダイヤ 特殊楕円針
適正針圧:1.4g±0.2g
自重:約4.7g

発電方式 ムービング・コイル形
出力電圧 0.3mV(1000Hz 50mm/sec水平方向)
左右感度差 1dB以内
左右分離度 25dB以上(1kHz)
電気インピーダンス 40Ω±20%(1kHz)
負荷抵抗 100Ω以上(トランス使用の場合は別)
コンプライアンス 5×10-6cm/dyne(レコードで測定)
針先半径 16.5ミクロン(0.65ミル)
針圧 2~2.5gr



参考にさせていただいたサイト≦(._.)≧ →http://denon.jp/jp/museum/products/dl103_2.html

【DL-103の開発経緯】
(1965年9月「ラジオ技術」誌より抜粋)
 NHKでは、昭和38年以来FMステレオの実験放送を行なっていますが、放送時間や番組の種類の増加にともなって、市販のステレオ・レコードもプログラム・ソースとして用いる機会が多くなったために、さらに高忠実度なステレオ・ピックアップが要望されてきました。

 この要望に基いて、NHKでは内外のステレオ・ピックアップを調査の上、昭和39年春以来、DENONと協同で、放送用として好ましい性能をもったステレオ・ピックアップの開発を進めてきました。そして1965年始め、ほぼ所期の性能のものが得られたので実用試験に移行し、毎年春に行なわれる恒例のNHK技研公開日に一般公開されました。また、同モデル(DL-103)を発売するにあたり、このステレオ・ピックアップの設計方針と構造の概略、さらに得られた性能についてご紹介してみたいと思います。

■放送用ステレオ・ピックアップに要求される性能

 (1)再生帯域が広く、出力電圧周波数特性が平坦なこと
 (2)左右の分離度がよいこと
 (3)左右の感度差が小さいこと
 (4)針先からみた機械インピーダンスが小さいこと
 (5)ステレオ・レコードおよびモノーラル・レコードを共通のカートリッジで再生できること

■製品化したDL-103カートリッジ
 発電方式として高性能にしやすい動電形にしましたが、この場合空心コイルのみでは感度が低いので、最終的に電磁形の動作も含む鉄心入りのムービング・コイル形とし、DL-103が完成しました。



.
(2012/01/26 20:14)

Copyright (C) 2012 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.