愛情への依存(2)

2012
1/24
火曜日

最近、『いやな気分よ、さようなら』から『愛情への依存』(1)に続き、
「喜びを予測する方法」をピックアップしてみたい。

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
デビッド・D.バーンズ 山岡 功一 夏苅 郁子
David D. Burns 佐藤 美奈子 林 建郎 小池 梨花

4791102061

内容(「BOOK」データベースより)
認知療法の気分改善効果は、驚くべきものである。うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の治療効果があると証明された初めての精神療法、それが認知療法である。本書は、人生を明るく生き、憂うつな気分をなくすための認知療法と呼ばれる最新の科学的方法を示す。抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールする方法を身につけるための最適の書。

「ひとりぼっちでいることは呪わしい」という信念をテストしてみよう。

以下に示す「満足-予定表」を作ってある。

                      「満足-予定表」

日付 満足する行動
(やりとげた感じ、
あるいは楽しみ)
誰と一緒に
行動したか
(自分一人なら
一人と書く)
予定される
満足度%
(行動する前に
書くこと)
実際の満足度%
(行動して後に
記録すること)

1月24日

25日

27日

31日

美術館に行く

ロックコンサートに行く

映画

デートする

一人

一人

太朗と

二郎と

20%

15%

85%

95%

65%

75%

80%

80%

2月1日

5日

7日

パーティ

小説を読む

スーパーへ買い物

たくさんの招待客

一人

60%

75%

40%

75%

85%

30%
(言い争い)

3月1日

5日

7日

試験勉強

運転免許を取りに行く

ジョギング

一人



一人

70%

40%

60%

65%

95%
(試験にパス)
80%




一人で、あるいは誰かと一緒にやった仕事とかレジャーに対して感じた満足度を予測し、それを記録するようになっている。
最初の欄に日付を、二番目の欄にやったことを書きこむ。
その中から達成感と喜びをもたらしたり、自分を成長させるような活動を選んでみよう。
三番目の欄に誰と一緒にやったかを書いてみよう。
もし一人でだったら「一人」と欄に書いてみよう。
四番目の欄に、この活動から得られると思われる満足度を0~100%の尺度で評価して予想を記入する。
この数字が高いほど、予想される満足度は大きくなる。
この欄は計画したことを行った後ではなく、行う前に記入しよう。
いったん欄に記入し終えたら、実際に行動してみよう。
それが終わったら最後の欄に同じ0~100%の尺度で実際の満足度を記録してみよう。

このような試みを一通り行ったら、集めたデータを解釈しよう。
色々なことがわかるだろう。
最初に予想された満足度(第4欄)と実際の満足度(第5欄)を比較することによって、自分の予測がどれだけ正確だったかがわかる。
そして人と一緒にやる活動が、必ずしも予測されたように満足のいくものでないことにも驚くだろう。
実際、一人の方が楽しめる場合も多いことに気が付くかも知れない。
一人の時の最高点が他の人と一緒に活動した時のものと同じ、もしくは高いということもあるはずだ。
また、仕事をしているときと、娯楽をしている時の満足度の比較により、仕事と遊びとの間の適当なバランスが取れるようになるだろう。

こんな疑問もあるかもしれない。
「私が何かしたとして、それが自分の予測したように満足できなかった場合、また、低めに予想したのがその通りになってしまった場合はどうなのでしょうか?」

この場合、自動的に浮かんでくる(自動思考)好ましくない思考に焦点を当てて、それを考え直してみよう。

何かを欲しいと思っていることと、必要としていることの間には違いがある。


酸素は”必要”だが、愛情は”欲求”である。

繰り返すが、
「愛情は大人が必要とするものではない。」
確かに愛する人と幸福な関係を持つことは素晴らしいこと。

けれど、他人からの称賛、愛情、注目を生きるためや最高レベルの幸せを味わう
ために「必要」としてはいけない。


■態度の変化

愛情と同様に、交際、そして結婚は幸せや高い自己評価のための必要十分条件ではない。
 (証拠に何百万もの男女が結婚しているのに幸せでなかったりする。
 もし愛情がうつ病の特効薬なら精神科医は廃業となる。
 現に自殺者の多くは実際に配偶者、子ども、両親や友人から非常に心をこめて愛されていた)

愛情は効力のある抗うつ剤ではない。

本文で紹介されている女性で、自分を憐れむ気持と憤りをは直すために反論のリストを書いた。

        「一人でいることは呪わしい」の反論、すなわち一人でいることの長所


1.一人でいると、その人が実際に考え、感じ、知っていることを深める機会が与えられる。
2.一人でいることは、家族や配偶者に縛られていれば試すのも難しいような様々な種類の
 新しいことを試すチャンスがある。
3.一人でいることは、自分の人間的な強さを発達させる。
4.一人でいることで、言い訳をせず、自分自身で責任がとれる。
5.一人でいる女性の方が、合わない男性の伴侶を持った女性よりもましである。
 同じことは男性にもいえる。
6.一人でいる女性は、男性の付属品ではなく完全な人間として成長していく機会をもつことができる。
7.一人でいる女性は、別の難しい状況に直面している女性の問題をよく理解できる。
 その結果他の女性を支持することができ、もっと意味のある関係を育てていく助けになる。
 男性についても、様々な男性問題を理解する上で同じことがいえる。
8.一人でいたことのある女性は、後に男性と暮らした場合、夫が去ったり、死ぬことを常に
 恐れる必要がないということを体験を通して知っている。また一人で生きることを知っており、
 自分の内に幸せになる力を持っている。そして、そんな二人の関係はお互いに依存や要求し
 合うよりも互いに高めあえるような関係になる。


ダブルカラム法というものを利用して、本文では自立の邪魔になるようなマイナスの思考パターンを克服するのに役立つと紹介されている。


ここでも本文中に登場する一人の子どものいる離婚女性が、恋人(既婚男性)に捨てられ自殺を試みた。
彼女の日記には次のように書かれていた。

「私の隣のベットの空きスペースが静かに私をあざけ笑っている。
 私は一人だと。
 ひとりでいることは私が一番怖いと思うこと、一番恐れおののく運命、そして今の現実なのだ。
 私は孤独な女であり、気持の上で、それは私は何の意味もないということだから。」



(1)もし私が好ましくて魅力的ならば、今私のそばに男性がいるだろう。
(2)私のそばに男性はいない。
(3)それゆえ、私は好ましくもなく、魅力もないんだ。
(4)それゆえに、生きている場所がない。

彼女は日記の中で自問を続けた。
「どうして私には男性が必要なのかしら。男性は私の問題をすべて解決してくれるかしら。私の面倒を見てくれるから? 私の人生の方向を決め、最も重要なことは、毎朝全てを忘れて眠っていたようなときにベットから起きるきっかけを与えてくれるからです」

ここで彼女は、自分の歪んだ考えを直すためにダブルカラム表を用いた。

                     自分自身との対話

「依存的な私の非難」 「自立した私の反論」

1.私は男性が必要だ

2.なぜなら私は自分一人でやっていけない

3.そうね、けれど私は寂しいの


4.そうよ、でも子どもや友人はこの際別よ


5.けれど、男性は誰も私を望まないってみんな思ってるわ


6.男性なしでは私は何にもならないと思うの


7.実際にはあまりないわね。大切なものはすべて自分自身でやっているもの

8.たぶん男性が必要じゃないのね、男性が欲しいだけよ

1.どうして男性が必要なの

2.これまでやってきたじゃない

3.そう。きえれどあなたには子どももいて友人もいて、とても楽しくやっているじゃない

4.子どもや友人と楽しくやっていることを意識していないだけじゃない

5.人は好きなようにしか思わない。大切なことはあなたが何を考えるかでしょう。気分に影響するのh結局自分の考えだけじゃない

6.自分でできなくって、男性にしかできないことってどんなもの?

7.じゃ、どうしてあなたは男性が必要なの


8.物を欲するのはいいことね。けど男性はそれなしでは人生の意味を失ってしまうほど大切とは思えない




欲求と必要との間には大きな違いがあることをおわかりいただけたか?

あっ、そう。
むずかしい。
わからないと。

自分自身ともっと現実的な内なる対話を続けていってほしいし、自分自身の中の声や考えを聴き、読みながら、自分で対処していける自信感がゆっくり育つといいですね。

難しいですか。

きちんと理解したいのなら、「いやな気分よ、さようなら」を買ってみるのも一案です。




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