双極性障害と似た症状の疾患

2012
1/15
日曜日

「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ
の本から、今回もトピックスとなるものをピックアップしていこう。(♪本シリーズは続くよ、どこまでも♪)

「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ


ジム・フェルプス 荒井 秀樹
4791107624

■内容紹介
うつ病と診断される人が増えている中、「落ち込んでいる」とか「意欲がわかない」といった抑うつ状態が長期間にわたり持続したり繰り返したりする人たちを、すべて同じうつ病と診断していて間違いはないのか? 本書は、長引く抑うつ状態に苦しんでいる人に対して、双極II型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示している。また気分障害をスペクトラムとしてとらえる考え方を学ぶ。

■内容(「BOOK」データベースより)
うつが長いこと持続したり、繰り返したり、より悪くなる、などということはありませんか。抗うつ薬をのんでも効果がないとかより悪くなるということはありませんか。もしかすると、うつ病ではないのかもしれません。繰り返すうつの波は、「軽微な」双極性障害のせいかもしれません。本書は、気分障害スペクトラムの概念を詳説し、すぐに実践できる対処法を紹介する。



あるときイライラ、興奮や不眠症があって、また別の時期には極度の気力低下、意欲の低下があり、普段楽しんでいたことを楽しめなくなるとしよう。
脳腫瘍は、極めてまれなケースだがこれらの症状を引き起こすことがある。腫瘍が極めて稀なのに対し、気分障害が原因であることは多いので、気分の病気がこの症状の原因である可能性は(脳腫瘍に比べて)何百倍も高い。よって、もし同じような症状を持っていたら、家系などの要素を考えなくとも、それぞれの診断(うつ病、双極性障害、脳腫瘍、自己免疫疾患)がどれだけ頻繁におこるかによって自分に起こる病気の可能性を判断できる。


「うつ病」を引き起こす可能性がある病状の一覧を考える場合、それらが極めて稀に双極性障害に似た症状を引き起こすものであることを考慮に入れる必要がある。
次の三つは主な例外となる。

1.甲状腺疾患
二つの理由から自分の甲状腺の状態について知っていたほうがよい。
 (1)甲状腺疾患は気分障害の症状を引き起こすことがあるから。
 (2)正常な甲状腺ホルモン濃度でも、抗うつ薬や気分調整薬といった気分障害スペクトラム上の病気の治療への反応に影響が出る場合があるから。

2.女性の生殖ホルモン
生殖ホルモンと気分との関係について触れなければならないのには次のような理由がある。
 (1)生殖ホルモンと気分との間に関係があることは誰でも知っている。
 (2)その関係はいずれもよく見られるものである。
 ※月経前症候群(PMS)の治療に関するものを除いて、直接ホルモンに関連していると
  考えられる気分障害の治療についての研究はほとんどない。

3.うつ病と関連性のある病気
うつ病と関係のある病気の一覧は、膨大すぎるのでほとんど役に立たない。
心臓病、脳卒中、糖尿病や癌など思いつくようなよく知られた病気はたいてい全部含まれる。
よって(甲状腺以外で)気分障害スペクトラムと特に関連性のあるいくつかの病気について焦点を当てよう。

睡眠時無呼吸
  ・うつ症状の一覧にはそれほど出現しないが、大幅に体重が増加した人によく起こるため深刻化している問題。
  ・体重が増加する一因としてストレスも大きな原因かもしれない。
  ・さらに体重増加の副作用がある薬がある。ほとんどの抗うつ薬では体重増加を引き起こす可能性がある。
  ・一番体重が増えやすいのは気分調整薬である。
  ・睡眠時無呼吸はうつ病を悪化させ、気分障害スペクトラムの症状を治療医をより困難にする。

糖尿病
  ・糖尿病が気分障害スペクトラムとどのような関係があるのか?
  ・実際のところ、肥満が気分を悪化させる証拠も僅かながらある。
  ・自分自身への思いや肉体的な行動の限界を感じて間接的に落ち込むだけでなく、
   直接に肥満が気分を悪化させるようである。ここまではうつ病に関してのこと。

似た症状があるのに双極性障害ではない症状
 どうしたらわかるのか? ⇒ 主治医の医師に任せた方がいい。

○医師がそれを探す手掛かりとしては、
  ・意識レベルの変化といった説明がつかない症状
  ・一般的なスクリーニングテストにおける臨床検査の異常
  ・身体検査での異常所見

○もう一つの単純な手掛かりは、
  ・双極性障害の特徴が他に見られない
  (例)
   出産後の気分変動がない
  ・おそらく一番重要な)気分障害や不安障害やアルコール問題を持つ家系がないなど。

これらに挙げたような特徴が複数あるなら、双極性障害の診断が最もよく当てはなる可能性が高くなる。








(2012/01/15 9:35)

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