双極性障害の診断の食い違いの結果

2012
1/14
水曜日

復職に向けたデイケア、ナイトケアに通所し始めて今日で4ヶ月が過ぎた。
連続通所80日となっている。自分なりによくやっていると褒めてあげよう。

「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ
の本から、今回もトピックスとなるものをピックアップしていこう。(本シリーズまだまだ続く)

「うつ」がいつまでも続くのは、なぜ?-双極Ⅱ型障害と軽微双極性障害を学ぶ


ジム・フェルプス 荒井 秀樹
4791107624

■内容紹介
うつ病と診断される人が増えている中、「落ち込んでいる」とか「意欲がわかない」といった抑うつ状態が長期間にわたり持続したり繰り返したりする人たちを、すべて同じうつ病と診断していて間違いはないのか? 本書は、長引く抑うつ状態に苦しんでいる人に対して、双極II型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示している。また気分障害をスペクトラムとしてとらえる考え方を学ぶ。

■内容(「BOOK」データベースより)
うつが長いこと持続したり、繰り返したり、より悪くなる、などということはありませんか。抗うつ薬をのんでも効果がないとかより悪くなるということはありませんか。もしかすると、うつ病ではないのかもしれません。繰り返すうつの波は、「軽微な」双極性障害のせいかもしれません。本書は、気分障害スペクトラムの概念を詳説し、すぐに実践できる対処法を紹介する。



自分の症状が明らかに気分障害スペクトラム上のどちらかの端に位置している場合は、これを読む必要はない。
この情報は、主に症状がスペクトラムの中間に位置する人を対象とする。

診断の食い違いには次の四つの可能性がある。
 1.実際に単極性障害で、単極性障害の治療を受けている。
 2.本当は単極性障害だが、双極性障害の治療を受けている。
 3.本当は双極性障害だが、単極性障害の治療を受けている。
 4.実際の双極性障害で、双極性障害の治療を受けている。

ここで2と3については問題となる。

表1.1 実際に自分が持っている症状と実際の診断

実際にあなたが持っている症状

単極性

双極性

あなたの診断

単極性

1 問題なし

3 問題あり

双極性

2.問題あり

4.問題なし


実際には双極性障害だが、単極性とみなされる

ここで表1.2に二つの主な診断の食い違いの結果を表す。

                表1.2 二つの主要な診断の食い違いの結果

実際にあなたが持っている症状

単極性

双極性

あなたの診断

単極性

問題なし

・軽躁の危険、混合状態、急速な気分交代

・短期間、場合によっては長期間、気分調整薬への反応が悪くなる

・人によっては自殺の危険性が高くなる

・効果的な治療に至るまでの期間が延びる

双極性

・双極性障害のレッテルを貼られる

問題なし

・薬物療法の危険が増す

・効果のない治療

・効果的な治療に至るまでの期間が延びる


単極性障害(DSMでは大うつ病)に関する治療の選択肢には、心理治療、運動療法、薬物療法がある。薬物療法を考えるとき、ほぼ確実に抗うつ薬が使われるだろう。

無視できないのは、
 ★双極性障害の中で抗うつ薬がたびたび引き起こす問題がある
 ★双極性障害で出現するうつの場合、抗うつ薬に対してとても深刻な有害反応を起こす人もいる。


次のような反応がある。
 -完全な躁エピソード
 -急速な気分交代
 -混合状態の症状(興奮とうつの組み合わせという最も危険な気分状態を含む)

抗うつ薬を服用する前に経験していたよりも多くの症状が起こり、抗うつ薬によって双極性障害の経過が変わってしまうこともある。
 (いまだにかなりの議論が残るところと著者は述べている)
・抗うつ薬によって自殺念慮や自殺企画が引き起こされるという実証もある。
 (双極性障害を持っている人によくみられる)
・もっと理論的に懸念されるのは、抗うつ薬はどういうわけか服用する前よりも躁の症状または軽病の症状を悪化させ、より早いペースで引き起こし、その後の治療も難しくなり、更なる投薬を必要とすること。
 (この理論は「キンドリング効果」と呼ばれている)


実際には単極性障害だが双極性障害とみなされる

双極性障害に片寄った見方をしている医師やセラピストに双極性障害と診断されているが、実際には単極性障害の場合は多くの危険性がある。

<第一に”不名誉”という要素>
・診断で「うつ」と言われるのは辛いが、「双極性障害」と言われたらどうだろうか?
 (精神疾患の領域ではまったく違ったレベルのものである)
・単極性障害(大うつ病)と双極性障害は、単に気分障害スペクトラムの位置の違いに過ぎないが、世間はそうは思ってくれない。
・ほとんどの人が「双極性障害」と聞くと驚く。
 ⇒上司、友達、学友などは、双極Ⅰ型障害と受け止める危険性がある。
 (双極Ⅰ型障害は、精神病状態のような完全な躁の症状を含む「躁うつ病」の最新の呼び方)
・「躁うつ病」という言葉は世間の人の頭に気分障害スペクトラムの症状パターンとはかけ離れたイメージを思い起こさせてしまう。だから誤解されやすく、偏見を持たれる心配もある。

<第二に薬物療法の危険性の問題>
・たいていの人は気分調整薬の副作用が、抗うつ薬の副作用より悪いとみなしているところ。
 (実際は比較ができるものではない)

<第三に間違いなく単極性障害であると、気分調整薬が簡単には効かない場合がある問題>
・一方、稀に効く人もいる。
・抗うつ薬の効果がない時、または足りない時、単極性うつ病の追加選択肢としてよくリチウムが勧められる。たとえ間違って他に使われても効果的な場合がある。

<最後に間違った診断は効果的な治療を遅らせる>
・抗うつ薬の効き目が表れ始めるまでの週週間に加えて、その前に気分調整薬(最初の気分調整が効かない場合、数種を試すかもしれない)を使う期間があると、それだけうつ症状のある期間が長引く。(これは双極性障害だが、単極性と診断された場合も同じように遅かれ問題になる)









(2012/01/14 18:58)

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