このワークブックは以下のことを行うための方法を伝えることが全体的な大きな目標
●うつ病、躁病の再発を防止する
●症状がぶり返しているとときに自覚する
●症状がうつ病と躁病の本格的なエピソードとなる前に、症状をコントロールするための行動をとる
●疾患によって引き起こされる思考の停止、行動の変化、および感情の混乱を修正、コントロールする
随時紹介されている介入部分は次の4点
1.症状の出現に気づく
2.予防措置を講じる
3.症状を軽くする
4.進行状態を把握する
について役立つことが目的
■進捗を確認する
自分の目標と計画について具体的にし、うつ病と躁病の症状をコントロールするための方法を読んできた
これらの目的を達成するために、自分が既にやってみたステップ、これからやってみたいステップをワークシート11.2にメモしてみよう
ワークシート11.2 私の双極性障害計画 |
私が自分の弱さ、長所、および症状をよりよく知るようになった方法、そして、自分自身と自分の疾患についてもっと学ぶための計画
このワークブックで説明されてきた、自分の疾患を管理するためのスキルを実行し、強化する方法についての自分の考え
次回に備えて気を付けるべきことを学ぶために、疾患の各エピソードからどのようにして学ぶか
前に向かって踏み出し、好ましい状態を維持するためにできることは全て行い、自分の生活を営むために、双極性障害であるということの受け入れに関して取り組む必要のあること
再発の危険を避けるために自分ができるとわかっていること
私が従っていけるくらい無理のない投薬計画をどのようにして見つけるか
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このワークブック全体を通じて強調される目標は、以下の通り
●自分自身、自分の長所、自分の症状をよく知る
●このワークブックで説明されてきた、自分の疾患を管理するための技能を実行、強化する
●次回の備えて何に用心したらいいかを知るために、自分が経験する疾患の各エピソードから学ぶ
●前進し、好調な状態を維持するために自分ができることをし、自分の生活を続けていけるよう、
双極性障害であることの受け入れに取り組む
●再発のリスクを避ける
●無理なく従えると思える投薬計画を見つける
■自分の気分をモニターする
・うつ病と躁病の症状を認識し、毎日の気分の変化をモニターするための第4章で学んだ方法は、自分の進捗を確認するうえでも役立つ
・気分グラフ(ワークシート11.3)で定期的に自分を評価してきた人にとって、その目で確認したいと望むことは、時間の経過に伴った自分の着実な進捗と気分の安定性の向上だろう
・つまり、毎日、自分の気分を評価してグラフ上の点を結んだときに、ほんとうに-1と+1の間で揺れ動く中央を通る線が見えてくる、ということ
・気分がうつ病方向へ落ち込んだときや、躁病へ抜かって上昇したとき、それらの変化が2、3日以内に正常の状態に戻るのを確かめたいと思うだろう
・そしてワークブックで学んだ新しいツールをできるだけ頻繁に活用すれば、評価が+2より上、もしくは-2より下となる日はますます少なくなるはず
ワークシート11.3 気分グラフ |
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年 月/第 週
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(記入のポイント)
・毎日、自分の気分を最もよく表している評価の点を○で囲む
・(気分の変動を確かめるために)週末に、それらの点を線で結ぶ
・下段枠に、気分の変化と関連があると思われる状況をどんなことでも記録する
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↑重度の躁病(+1~+5)
良いとも悪いとも言えない(0)
↓重度のうつ病(-1~-5)
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計 画
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月
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火
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水
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木
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金
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土
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日
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↑躁病
+5
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眠っていない
精神病的
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病院に行く
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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+4
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躁病
判断力の低下
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-
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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+3
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軽躁病
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医師に連絡
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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+2
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興奮しやすい
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行動をとる
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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+1
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幸せ
気分の高揚
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注意深く観察
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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0
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正常
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-
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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-1
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元気がない
憂うつ
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注意深く観察
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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-2
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悲しい
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行動をとる
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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-3
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塞ぎ込む
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医師に連絡
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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-4
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動けない
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-
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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-5
↓うつ病
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自殺の恐れ
がある
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病院に行く
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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●
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気分の変化を起こした原因は?
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・気分グラフを毎日はつけない、と決めた場合でも、自分の状態を確認するために定期的にグラフを活用することができる
・例えば、自分は冬にうつ病になり、春の間は躁病になる傾向がある、とわかっているならそれらの季節の直前に記録をつけ始めてもいい
・その症状が増加傾向にあることがグラフに認められたら、その症状の進捗を止めるために学んだ方法を用いてみよう
・それでも毎日の評価が改善しない、症状がますます自分の手では扱いにくいものになっていることが認められたら、医師に連絡しよう
■適応と受容
今日、どの段階にいるか認識できるか否かを確かめるために、適応の各段階(ワークシート11.4)に関連する思考と行動を再度、検証してみよう
その回答をワークシート7.1デジ分が回答した内容と比較してみよう
ワークシート11.4 双極性障害への適応の諸段階 |
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段階
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自動思考 |
行動 |
否認
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・私は双極性障害ではない。医師が間違ったのだ。
・私がお酒を飲み過ぎていたことから、そんな診断をされたに違いない。
・その診断は間違っている。
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・セカンドオピニオンを受ける。
・症状に対するほかの説明を探す。
・知立OUの勧めを無視する。
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怒り
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・私がこんな疾患になるなんて不公平だ。
・今はこれに対処してなどいられない。
・どうして私なのか。いったい私が何をしたというのか。
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・アドバイスに耳を傾けようとしない。
・疾患について話し合おうとしない。
・医療関係者、薬局、誰だろうと治療に関係するほかの人に対して、癇癪を起こす。
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取引
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・行動を自粛する。
・お酒を飲むのを止め、時間通りに起きるようにする。運動を始め、もっと良い仕事を見つける。そうすれば大丈夫だろう。
・自然療法を試してみよう.私にはそれほど薬は必要ない。
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・自分で薬の用量を調整する。
・薬を飲む時間を変更する。
・作用力のある薬を「自然療法」に切り替える。
・睡眠薬を服用するのを避けるために遅くまで寝ないで起きている。
・不安を和らげるためにアルコールを飲む。
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抑うつ
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・私は普通の生活を送ることはないだろう。
・誰も私のことなど求めないだろう。
・私は自分が大嫌いだ。
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・事故は快適な行動をとる。
・医師、雑誌記事、ほかの何であろうと、疾患を思い出させるものを避ける。
・ほかの人から引きこもる。
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受容
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・私はこれに耐えて進んでいくことができる。
・何もこれが世界の終わりではない。
・薬を飲まなくてはならないからといって、何もかも諦めなくてはならないというわけではない。
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・治療に忠実に従う。
・薬を止めてしまう前に、医師と治療の選択肢について話し合う機会をもつようにする。
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