今一度知る双極性障害の『改善に向けた変化』

2011
12/28
水曜日


「バイポーラ-(双極性障害)ワークブック」から第11章「改善に向けた変化」の要点をピックアップしたい。

【参考文献】
chapter 1:疾患をコントロールする
chapter 2:双極性障害の実際
chapter 3:自分の経緯を図式化する
chapter 4:早期予防システムを発動させる
chapter 5:自分自身を強化する
chapter 6:薬物療法の効果を最大限に得る
chapter 7:「否認」の壁の克服
chapter 8:思考の誤りの認識と把握
chapter 9:感情的な思考をコントロールする
chapter10:精神的メルトダウンを反転させる
chapter11:改善へ向けた変化

バイポーラー(双極性障害)ワークブック―気分の変動をコントロールする方法
モニカ・ラミレツ・バスコ 野村 総一郎
479110630X

双極性障害(バイポーラーディスオーダー)による「気持ちの揺らぎ」を抑制する具体的対処法を、認知療法的な手法を用いて、分かりやすく解説。ガイドライン(治療指針)は患者さんへの指導書として治療者が使用でき、障害を持つ患者さん自身が使う自習書としても最適な治療読本。



本章では、
○このワークブックの目的を再検証する
○自分の進捗を確認する
○改善を持続させていくための目標を設定する
○治療目標の達成を妨げる共通の障害について学ぶ

- ★改善に向けた変化
ワークシート11.1 双極性障害についての知識テスト
- ■全体像の再検証
- ステップ1:症状の出現に気づく
- ステップ2:予防措置を講じる
- ステップ3:症状を軽くする
- ステップ4:進行状態を把握する
ワークシート11.2 私の双極性障害計画
ワークシート11.3 気分グラフ
ワークシート11.4 双極性障害への適応の諸段階
- ■ひとりで行う必要はない
■目標達成に向けた計画づくり
ワークシート11.5 改善を妨げる障害を克服する




★改善に向けた変化



このワークブックで最初に採り上げたテストを再度行い(ワークシート11.1)、双極性障害に関する知識が向上したかどうか確かめてみよう


ワークシート11.1 双極性障害についての知識テスト
T. F. 1.

双極性障害はうつ病と躁病の両方を引き起こすことがある

T. F. 2.

うつ病と躁病が同時期に現れることがある

T. F. 3.

薬は双極性障害の症状をコントロールするために必要である

T. F. 4.

良好な状態を保つためにすべきことは、毎日薬を飲むことだけである

T. F. 5.

いったんうつ病または躁病が始まったら、それをとめるために自分ができることは何もない

T. F. 6.

寝不足は躁病のエピソードの引き金となることがある

T. F. 7.

双極性障害に対処するには、人生のわくわくするような部分を断念しなくてはならない

T. F. 8.

病気を抱えているといるということは通常、キャリアの目標を断念することを意味する

T. F. 9.

自分の力でこの病気に対処することができるので、助けは必要ない

T. F. 10.

自分は双極性障害ではない、医師の診断が間違っている

★★回答は→こちら





■全体像の再検証


このワークブックは以下のことを行うための方法を伝えることが全体的な大きな目標

 ●うつ病、躁病の再発を防止する
 ●症状がぶり返しているとときに自覚する
 ●症状がうつ病と躁病の本格的なエピソードとなる前に、症状をコントロールするための行動をとる
 ●疾患によって引き起こされる思考の停止、行動の変化、および感情の混乱を修正、コントロールする

随時紹介されている介入部分は次の4点
  1.症状の出現に気づく
  2.予防措置を講じる
  3.症状を軽くする
  4.進行状態を把握する
について役立つことが目的


ステップ1:症状の出現に気づく

□症状を知るには?
 ライフチャート(第3章)と気分症状ワークシート(第4章)を用いる

□気分をモニターするには?
 気分と症状のグラフ(第4章)を用いる

□引き金を確認するには?
 ライフチャート(第3章)で引き金を同定する
 症状の悪化を招く事柄リストを検証する(第5章)




ステップ2:予防措置を講じる

□症状を悪化させないためには?
 十分な睡眠をとることを身につける(第5章)
 薬を忠実に服用する(第6章)
 症状を引き起こす引き金となることを避ける(第5章、第6章)

□ポジティブなことを加えるには?
 人間関係を強化することを学ぶ(第5章、第8章)
 個人的な目標を設定する(第6章)
 疾患に適用できるように取り組む(第7章)
 健康的な習慣を発達させる(第5章)

□ネガティブなことを減らすには?
 問題を解決する(第5章、第8章)
 心配したり深く思い悩んだりすることをコントロールする(第5章)
 過剰な刺激を避ける(第5章、第9章)



ステップ3:症状を軽くする

□無気力をとめるには?
 活動スケジュールを用いる
 分解し、引き受け、そして「Aリスト」/「Bリスト」を用いる(第5章)

□思考を変えるには?
 とらえ、コントロールし、修正する方法を用いる(第8章、第9章)

□精神的メルトダウンを一変させるには?
 速度をゆるめ、集中し、組み立てる方法を用いる(第10章)

□過活動を軽減するためには?
 過剰な刺激をコントロールする
 変化願望を把握しておく
 目標設定に関する活動を制限する
 睡眠をとる(第5章)

 

ステップ4:進行状態を把握する

□気分と症状の変化をモニターするには?
 気分グラフを用いる(第4章)
 気分症状ワークシートを用いる(第4章)
 他者からのフィードバックを得る(第9章)



■進捗を確認する

自分の目標と計画について具体的にし、うつ病と躁病の症状をコントロールするための方法を読んできた
これらの目的を達成するために、自分が既にやってみたステップ、これからやってみたいステップをワークシート11.2にメモしてみよう

ワークシート11.2 私の双極性障害計画

私が自分の弱さ、長所、および症状をよりよく知るようになった方法、そして、自分自身と自分の疾患についてもっと学ぶための計画




このワークブックで説明されてきた、自分の疾患を管理するためのスキルを実行し、強化する方法についての自分の考え




次回に備えて気を付けるべきことを学ぶために、疾患の各エピソードからどのようにして学ぶか




前に向かって踏み出し、好ましい状態を維持するためにできることは全て行い、自分の生活を営むために、双極性障害であるということの受け入れに関して取り組む必要のあること




再発の危険を避けるために自分ができるとわかっていること




私が従っていけるくらい無理のない投薬計画をどのようにして見つけるか







このワークブック全体を通じて強調される目標は、以下の通り

 ●自分自身、自分の長所、自分の症状をよく知る
 ●このワークブックで説明されてきた、自分の疾患を管理するための技能を実行、強化する
 ●次回の備えて何に用心したらいいかを知るために、自分が経験する疾患の各エピソードから学ぶ
 ●前進し、好調な状態を維持するために自分ができることをし、自分の生活を続けていけるよう、
  双極性障害であることの受け入れに取り組む
 ●再発のリスクを避ける
 ●無理なく従えると思える投薬計画を見つける


■自分の気分をモニターする

・うつ病と躁病の症状を認識し、毎日の気分の変化をモニターするための第4章で学んだ方法は、自分の進捗を確認するうえでも役立つ
・気分グラフ(ワークシート11.3)で定期的に自分を評価してきた人にとって、その目で確認したいと望むことは、時間の経過に伴った自分の着実な進捗と気分の安定性の向上だろう
・つまり、毎日、自分の気分を評価してグラフ上の点を結んだときに、ほんとうに-1と+1の間で揺れ動く中央を通る線が見えてくる、ということ
・気分がうつ病方向へ落ち込んだときや、躁病へ抜かって上昇したとき、それらの変化が2、3日以内に正常の状態に戻るのを確かめたいと思うだろう
・そしてワークブックで学んだ新しいツールをできるだけ頻繁に活用すれば、評価が+2より上、もしくは-2より下となる日はますます少なくなるはず 

ワークシート11.3 気分グラフ
   年   月/第    週

(記入のポイント)
・毎日、自分の気分を最もよく表している評価の点を○で囲む
・(気分の変動を確かめるために)週末に、それらの点を線で結ぶ
・下段枠に、気分の変化と関連があると思われる状況をどんなことでも記録する

↑重度の躁病(+1~+5)
良いとも悪いとも言えない(0)
↓重度のうつ病(-1~-5)

計 画

↑躁病
+5

眠っていない
精神病的

病院に行く

+4

躁病
判断力の低下

+3

軽躁病

医師に連絡

+2

興奮しやすい

行動をとる

+1

幸せ
気分の高揚

注意深く観察

正常

-1

元気がない
憂うつ

注意深く観察

-2

悲しい

行動をとる

-3

塞ぎ込む

医師に連絡

-4

動けない

-5

↓うつ病

自殺の恐れ
がある

病院に行く

気分の変化を起こした原因は?








・気分グラフを毎日はつけない、と決めた場合でも、自分の状態を確認するために定期的にグラフを活用することができる
・例えば、自分は冬にうつ病になり、春の間は躁病になる傾向がある、とわかっているならそれらの季節の直前に記録をつけ始めてもいい
・その症状が増加傾向にあることがグラフに認められたら、その症状の進捗を止めるために学んだ方法を用いてみよう
・それでも毎日の評価が改善しない、症状がますます自分の手では扱いにくいものになっていることが認められたら、医師に連絡しよう


■適応と受容

今日、どの段階にいるか認識できるか否かを確かめるために、適応の各段階(ワークシート11.4)に関連する思考と行動を再度、検証してみよう
その回答をワークシート7.1デジ分が回答した内容と比較してみよう  

ワークシート11.4 双極性障害への適応の諸段階

段階

自動思考 行動

否認

・私は双極性障害ではない。医師が間違ったのだ。
・私がお酒を飲み過ぎていたことから、そんな診断をされたに違いない。
・その診断は間違っている。

・セカンドオピニオンを受ける。
・症状に対するほかの説明を探す。
・知立OUの勧めを無視する。

怒り

・私がこんな疾患になるなんて不公平だ。
・今はこれに対処してなどいられない。
・どうして私なのか。いったい私が何をしたというのか。

・アドバイスに耳を傾けようとしない。
・疾患について話し合おうとしない。
・医療関係者、薬局、誰だろうと治療に関係するほかの人に対して、癇癪を起こす。

取引

・行動を自粛する。
・お酒を飲むのを止め、時間通りに起きるようにする。運動を始め、もっと良い仕事を見つける。そうすれば大丈夫だろう。
・自然療法を試してみよう.私にはそれほど薬は必要ない。

・自分で薬の用量を調整する。
・薬を飲む時間を変更する。
・作用力のある薬を「自然療法」に切り替える。
・睡眠薬を服用するのを避けるために遅くまで寝ないで起きている。
・不安を和らげるためにアルコールを飲む。

抑うつ

・私は普通の生活を送ることはないだろう。
・誰も私のことなど求めないだろう。
・私は自分が大嫌いだ。

・事故は快適な行動をとる。
・医師、雑誌記事、ほかの何であろうと、疾患を思い出させるものを避ける。
・ほかの人から引きこもる。

受容

・私はこれに耐えて進んでいくことができる。
・何もこれが世界の終わりではない。
・薬を飲まなくてはならないからといって、何もかも諦めなくてはならないというわけではない。

・治療に忠実に従う。
・薬を止めてしまう前に、医師と治療の選択肢について話し合う機会をもつようにする。


 


■ひとりで行う必要はない


双極性障害に詳しいセラピスト、カウンセラーに一緒に取り組んでもらえば、大きな助けになるだろう


■治療目標の達成を妨げる障害

・疾患の経過を変えるというのは、途方もない注文であり、ほとんどの人が、うつ病や躁病の時期がもっと少ない生活を築くことなど自分にできるのだろうか、と疑問に駆られる
・これは生涯にわたる闘いであるから、その道のりで気力を消耗し、諦めてしまおうと思いがちになる
・ここで、双極性障害の症状をコントロールすることについて、人が共通して抱く思考の例をいくつか挙げて紹介しよう
・加えて、これらの思考が目標の達成を妨げることがないようにするためのアドバイスも示そう


「私は予防策を講じたくない」

・規則正しく睡眠をとり、自分の症状をモニターし、過剰な刺激を制限することによって予防策を講じることが、自分の生活があまりにも大きく制限されてしまうように聞こえたら、そんなことはしたくないと思うかもしれない
・確かにあなたは、自分の好きなようにし、自分が望む危険を冒すと共に、その後にどのような結果が続こうとも、それに対処する権利がある
.ワークブックのガイドラインに従うか、従わないか、セラピスト、カウンセラーのアドバイスに従うか、従わないか、医師の指示通りに薬を服用するか、しないか、はあなたの決断
・もしあなたがひとり暮らしで、ほかの人に対して責任を負っていないというのなら、予防策を講じなかったとしてもその犠牲になるのは自分だけだろう
→それなら別に大した問題ではないかもしれない
→しかし、ほかの人があなたを頼りにしており、あなたのうつ病または躁病が再発すること、その人たちの生活にも影響が及ぶとしたら、おそらくその人達のことも考慮して決断を下すべきでしょう

・予防策を講じるということを”全か無か”の見方で捉えることのないよう、くれぐれも気を付けよう
 →「全面的制限 対 全面的自由」という事柄ではない
・自分の疾患にもっとよく適応するように自分の習慣をいくらか変えることもできるし、自分の生活スタイルによってはどうしてもそれが無理なときもあることを踏まえ、できる限り頻繁に予防策を講じるように試みることもできる
・家族、医療関係者が推奨する変化を生活習慣に加える心の準備があなたにできていない可能性も考慮すべきこと
・とはいえ、来月、来年、あるいは次回症状が現れたときにも、今以上の準備はできていないということではない
・自分自身をケアすることは、いつ適切な行動を採り始めるかに係わらず、常に好ましいことである
→今すぐ実行できない場合は、一旦ワークブックを本棚に戻し、後でもう一度、目を通してみよう
→生活環境はたちまち変化するだろうし、自分の症状をコントロールできる新しいチャンスがきっと生まれてくるだろう


「役に立たないだろう」

・「役に立たないだろう」は、”結論への飛躍”の良い例
・自分の感情を信じる代わりに、客観的になろうとしてみよう
・試してみることにより、それは役に立たないとするように自分の考えをテストしてみることだ
 →自分が間違っていて、このワークブックが役立つことに気づくかもしれない


「私には無理だ」

・ワークブックですぐに気分が改善しなかったら、即座に断念してしまうかもしれない
・進捗はめざましくても、最初は小さいこともある
・もし、長い間自分に対するネガティブな見方にしがみついてきたとしたら、そうではないと納得するのにかなりの取り組みが必要だろう
・自分の過剰にネガティブな考え方を評価、修正するための方法を継続的に実行することで、思考過程を再教育する必要がある
・練習すれば変化は永遠のものになるだろう

・「そんなことは自分には無理だ」と考え、フラストレーションを感じている自分に気づいたら、ちょっと休憩し、そのあと、また挑戦してみよう
・あまりにもすぐに諦めてしまっては、ネガティブな思考に拍車をかけるだけだから


「今は薬が効いているから挑戦する必要なない」

・たとえ薬が有効に作用しているときでも、さまざまなことからうつ病や躁病は再発する可能性がある
 (アルコール、違法薬物の使用は症状を招くおそれがある)
・数日間にわたり睡眠不足が続くと、躁病の再発を招くことがある
・人生における大きな喪失、危機や苦しみ、それが原因でうつ病が再発することもあるだろう
・季節の移り変わりによってさえ、症状がぶり返すこともある
・たとえ双極性障害の薬を服用していても、重大な医学的疾患、自動車事故、または出産といったすべてが再発を招く可能性がある
・事故や怪我を防ぐためにできることは何もないかもしれないが、再発の危険に自ら晒す恐れがある自分自身の行動をコントロールすることならできる
・『薬は治療に不可欠』である
 →しかし治療に100パーセント有効な訳ではない
・薬をどのように、いつ服用し、自分の生活スタイルをどのように管理するか、また症状がぶり返したときにどのように反応するか、これらの全てが自分の疾患をコントロールする方法となる


「いずれにしても症状は戻ってきてしまった」

・双極性障害は再発する疾患であるので、症状が戻ってくるときがあることをあらかじめ承知しておいたほうがいい
・なかには、僅かだが適切な薬を見つけ、指示通り薬を服用して、再発しない幸運な人もいる
・残念ながら、そのような人は多数派ではない
・双極性障害を管理するという目標は、うつ病と躁病のエピソードの回数をできる限り減らし、エピソードとエピソードの間に続く可能性がある軽度の症状を取り除くと共に、もし実際に再発があったらできる限り素早くそれらを捉え、食い止めること
・こうして疾患をコントロールすることについてより多く学ぶにつれ、気分良く過ごせる時間が増え、調子の悪いときが減っていくだろう


「それはやる価値がない、私は止める」

・「そんなことはやる価値がない」といった言明からは、双極性障害をコントロールしようと試みることと、気分の好調さに伴って得られる利益を秤にかけ、精神的な健康によって得る利益よりも努力によって支払われる代償のほうが大きいと判断したことが窺える
・従って、その努力にはあなたが手にする利益ほどの価値はない、というだろう
・これはネガティブなことを過大視し、ポジティブなことを過小視するという思考の誤りとみなすこともできるだろう
・或いは実際、そのとおりなのかもしれない
・もし必要としているものが薬物治療、心理療法から得られていないとしても、断念してしまうのではなく、むしろ別の治療方法に変える時期に来ているのかもしれないと考えるべきだろう
・その犠牲と努力に見合うだけのものを見つけるまで、薬や医師、セラピストを変えるのはよくあること
・もしあなたの治療方法が自分の疾患により適合するものであれば、おそらくそれはあなたにとってそれだけの価値あるものとなるだろう


「努力するにはうんざりだ」

・うつ病、薬の副作用、さらにお金は無くなり、ほかの人からプレッシャー、これらすべてから、治療などをやめてしまいたい気持ちになるだろう
・うつ病によってエネルギーは乏しくなり、動機は失われ、精神的に鈍く、絶望的になる
・そのせいで、薬を飲まず、医師の診察に行くのも止め、自分の疾患をコントロールしようなどという果てしない闘いに見切りをつけてしまったほうがましだろうと思い込んでしまうこともあるだろう
・疾患を管理するのに必要な努力のせいで、時には精神的にも感情的にもヘトヘトに疲れ切ってしまうこともある
・これらの感情に対処するために、自分の疾患をコントロールしようとするのを一時的に休む人もいる
・2~3日間は自由な感覚を味わえるだろう
・しかし、残念ながら、症状は戻ってしまう
・努力するのはもううんざりだから止めてしまいたい、と思うのは正常な感情である
・仕事にもウンザリしたとき、学校が嫌になったとき、小さな子どもの世話にほとほと疲れてしまったとき、借金から抜け出そうとするのに疲れたとき、相応しいパートナーを見つけようと努力するのにウンザリしたとき、人はそのように感じるものである
・自分の疾患をコントロールしようと努力する一方で、このように生活に四苦八苦しているとしたら、特別に疲れ切ってしまったとしても当然
・生活は非常に大変なものになる
・これらの時期に対処するには、あらゆるネガティブなことと帳尻が合うように生活にポジティブなことを加える必要がある
・何か楽しみにする好ましいこと、あなたを喜ばせてくれる、微笑ましてくれる人、仕事で長い一日を終えて急いで家に帰る必要があれば、それらを支えにも持ち堪え、自分の最好調の状態でいるために努力をすることができるでしょう
・生活の中にポジティブなことがないならば、今からそれらを加えていこう

 


■目標達成に向けた計画づくり


・第6章「薬物療法の効果を最大限に得る」では、行動契約を紹介したが、治療目標の達成を妨げるおそれがある障害に対して、事前に計画を立てるための方法として採り入れたものである
・しばし時間をとり、このワークブックの目標の達成を妨げている恐れがあることについて考えてみよう

それらをワークシート11.5に書き記してみよう

このワークブックの方法を用いれば、あなたが練習することで次のことをできるようになると気づくでしょう

 ●症状の出現に気づく
 ●予防措置を講じる
 ●症状を軽くする
 ●進行状況を把握する

うつ病、相貌、軽躁病、混合状態を経験するたびに、自分の新しいツールを試し、それらの正確さを評価し、今後に備えてそれらを改善する機会を得られるということを覚えておいてほしい

ワークシート11.5 改善を妨げる障害を克服する

目標:うつ病とそう病の再発を予防する
この目標の達成を妨げる可能性がある障害





これらの障害を克服するために私にできること





目標:症状がぶり返してきているときに自覚する
この目標の達成を妨げる可能性がある障害





これらの障害を克服するために私にできること





目標:症状がうつ病と躁病の本格的なエピソードとなる前に、症状をコントロールするために行動をとる
この目標の達成を妨げる可能性がある障害





これらの障害を克服するために私にできること





目標:疾患によって起こる思考問題、行動の変化、精神的動揺を修正、コントロールする
この目標の達成を妨げる可能性がある障害





これらの障害を克服するために私にできること










これで、第一章(導入分)をを除く第2章から第11章までを要約してきた。
双極性障害の症状がないかたには、意気消沈であったろうが、私には残りの人生のガイドラインなる貴重な勉強となった。


【バイポーラ(双極性障害)ワークブック 全トピックス】 ※新しいページで開きます
「DSM-IV-TR」と「ICD-10」の分類・定義
第2章(抜粋) 今一度知る双極性障害の『大うつ病エピソード』-Major Depressive Episodes-
第2章(抜粋) 今一度知る双極性障害の『躁(そう)病エピソード』-Manic Episodes-
第3章 今一度知る双極性障害の『自分の経緯を図式化する』
第4章 今一度知る双極性障害の『早期警報システムを発動させる』
第5章-1 今一度知る双極性障害の『自分自身を強化する(前編)』
第5章-2 今一度知る双極性障害の『自分自身を強化する(後編)』
第6章 今一度知る双極性障害の『薬物療法の効果を最大限に得る』
第7章 今一度知る双極性障害の『「否認」の壁の克服』
第8章-1 今一度知る双極性障害の『思考の誤りと認識と把握』
第8章-2 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「誤認(過大視・過小視)」』
第8章-3 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「結論への飛躍」』(読心術、運勢判断、破局視、個人化)
第8章-4 今一度知る双極性障害の『思考の誤り「視野狭窄」』(選択的知覚、心理的フィルタリング)
第8章-5 今一度知る双極性障害の『絶対思考(白黒思考、レッテル貼り、すべき思考)』
第9章 今一度知る双極性障害の『感情的な思考をコントロールする』
第10章 今一度知る双極性障害の『精神的メルトダウンを反転させる』
第11章 今一度知る双極性障害の『改善に向けた変化』







(2011/12/28 21:45)


Copyright (C) 2011 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.