■結論への飛躍とらえる
・結論への飛躍は、事実をすべて理解せずに推論や仮定をしたときに生じる思考の誤り
・人や出来事について推論や仮定をすることで、いきなり結論へと飛んでしまうことがある
・概して、抑うつ状態のときの推論は、通常ネガティブであったり、気分を害するものとなる
・躁病、あるいは多幸感な気分であったのなら、推論は過剰にポジティブになる可能性がある
・イライラしているときは、自分の推論で自分の怒りの炎をますます煽ってしまう
・人は通常、自分の気分に一致した結論に飛ぶもの
-不安に感じているときは、恐ろしいことを予測するもの
-嫉妬深くなっているときは、裏切りなど存在していない時でさえ、裏切られているように感じてしまう
-腹が立っていると、他人が何かネガティブな意図を持っているかのように予測してしまう
⇒結論の飛躍をめぐる問題は、それらの結論がしばしば正しくない、ということ
・早合点に従って行動すると、誤りを犯すことになる
◇結論への飛躍の仕方
読心術とらえる:他人が何を考えているか、またどのように感じているかを推測すること
ワークシート8.8に読心術の自分自身の事例を書き記してみよう
ワークシート8.8 読心術 |
読心術についての自分自身の例
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運勢判断とらえる:未来の出来事について予測すること
ワークシート8.9 運勢判断 |
運勢判断についての自分自身の例
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破局視とらえる:最悪のシナリオになりそうだと仮定すること
ワークシート8.10 破局視 |
破局視についての自分自身の例
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個人化とらえる:事実をすべて知りもせずに、何でも自分に関することと決めつけてかかること
物事を個人的に受け止めること
ワークシート8.11 個人化 |
個人化についての自分自身の例
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■結論への飛躍を防ぐ方法コントロールする
・結論に飛躍するとき、あなたは状況、問題、または人物について推測、または仮定をしている
・自分の仮定が正しいと確信していることもあるだろうが、感情が思考に影響を与えているとしたら、自分が間違っている可能性は十分考えられる
・誤りを犯すのを避けるために、自分に、または自分のまわりで起っていることに対して、ほかに考えられる説明を考慮し、もっとも理にかなった選択をする必要がある
・他人の言葉または行動をどのように理解していいのか確信がない場合は、結論を導き出す前に追加の情報を集めるか、あるいは自分の仮定が正しいかよく調べること
・気が動転していないときなら、おそらくこのことを自動的に行ってしまう
・しかし強い感情でいっぱいのとき、または状況に触発されて強い反応に出てしまいそうなときは、十分に間をおいて、より論理的に物事をじっくり考えてからでないと、正確な結論を引き出すことはできない
結論への飛躍のより一般的な形態をコントロールする方法
読心術に対してコントロールする
・うつ病、不安、イライラしているときには、気分のせいで、人が何を考えているのか、または感じているのかということについて、ネガティブな結論に至ってしまう
・自分の結論を支持する根拠について考え、反対する他の根拠はすべて無視してしまうことで、自分は正しいと容易に確信してしまうことがある
・読心術というのは、もしある人を十分によく知っていたら、ほとんどの状況についてその人がどのように感じるか、またはどのように考えるかを自分は理解しているという仮定に基づいている
・たまには仮定が正しいことがあるから、読心術に対して自信を持ってしまう
・読心術が問題となるのは、早合点してしまった結論が正しくないにもかかわらず、まるでそれが事実であるように行動してしまうこと
・直感が違っているとき、それに続く行動は自分をますます苦しませ、他の人とのトラブルをもたらす
・読心術は、言い争いを引き起こす一般的な原因となる
・イライラしているときは、ふと気付くと、質問もせずに人についてネガティブな仮定をしてしまうことがよくある
言い争いを触発しがちな読心術の言葉で一般的なものには、次のようなものがある
●あなたの考えていることはよくわかっている
●私が正しいことはわかっているはずだ
●あなたより私のほうがあなたのことをよくわかっている
●あなたが怒っているのはわかる
●あなたは自分がほかのだれよりも頭がいいと思っているんでしょう
●あなたは自分が完ぺきだと思っているんでしょう
誰に対して話しているかにかかわらず、これらは物議をかもしかねないような言葉である
読心術による言葉を口にする代わりに、質問してみること、代わりの言葉として考えられるものをいくつか挙げてみる
◎あなたは何を考えているのか
◎あなたは私の考えに賛成ですか
◎怒っているの?
◎私はあなたのことをよく知っているから、きっとあなたはこう感じていると思うんだけど・・・、私の考えは正しいかしら
◎ときどき私は、あなたが自分を私よりも賢いと思っているという印象を受けることがあって、それが本当に煩わしいの
◎あなたはこのことに気付いていないのかもしれないけれど、あなたが私を批判するとき、まるであなたが、
自分は完璧で私はひどい、と言っているように聞こえるんだけど、あなたはそう思っているの?
運勢判断についてコントロールする
・運勢判断の誤りを避けるには、次に起こると予測したことによって激しく感情がかきたてられるからといって、その予測が正しいという意味ではない、ということを覚えておくと役立つ
・多くの人は、最初に考えたことには状況についての自分の直感が反映されていると考える
・動揺しているときに自分の直感が頼りになると考えたら、心に思い浮かぶ最初の考えにしがみつくだろう
・しかしながら、最初に考えたことだからというだけでは、それが正しいということにはならない
・ストレスの多い出来事に対して反応した最初に考えたことは、たいてい、感情でいっぱいである
・そして感情があなたの考えを歪めてしまうこともある
・もし何か良くないことが起こるだろうと早合点してしまい、この最初の印象に従って行動したとしたら、簡単に間違った道へと進んでしまうかもしれない
・運勢判断の問題を解決するには、最初の推測でやめてしまうのではなく、可能性のあるほかの成り行きを検討すること
・ストレスの多い状況に反応して結論に飛躍してしまっている自分に気付いたら、最初に思い浮かんだ結果だけ考えてやめてしまうのではなく、可能性がある他の結果についてよく考える
破局視についてコントロールする
・破局視は、考えられる最悪の結論に飛躍してしまう運勢判断を極端にしたもの
・不安と心配は破局視へと駆り立てる
・破壊的なことが起るだろうと信じてしまうと、不安はますますひどくなる
・このような状態に陥ると、パニックになり、その出来事の成り行きを変えることに無力感を感じてしまう
・心配するとだれもが破局視するわけではないが、破局視する人は、自分にはよくそういうことがあると思いがち
・破局的な思考を減らすためには、状況を正しく認識し、起ることがどのようなことであれ事前にそのための計画を立てておくことが必要
・何かを正しく認識するということは、それをあるがままに捉える、過大視しない、結論へ飛躍しない、そして不正確な仮定をしないこと
・どういう結果となる可能性が最も高いかがわかっていれば、あらかじめそのための計画を立てることができる
・その結果をコントロールすれば、結局、自分が考えているほど悪い結果にならなかったということもある
・あるいは、状況があまり良い結果にならないだろうということが確実にわかっていれば、少なくとも、その成り行きに対処するために前もって計画を立てることができる
破局視をコントロールするためにワークシート8.12の一連のステップを最後までやり遂げてみよう
ワークシート8.12 破局視を脱する |
自分の思考の破局視を脱する方法
1.もし自分が何かについて破局視している可能性があると思う場合は、起こるだろうと想定することを書きだしてみよう
(心の中に状況を思い描くことができれば、それが役立つ)
2.あながた想像した災難が起こる可能性はどれほどか、自分に尋ねてみよう
それは100%確実だろうか
50%の可能性だろうか
恐れていることだけではなく、真実だとわかっていることに基づいた数字だけ選ぶこと
私が恐れる災難が実際に起るだろう可能性は パーセントだ
3.あなたが想像した結果以外に、ちょうど同じくらいの確率で起きそうだと思われる他の結果はあるか
もしあるなら、どのような選択肢が考えられるか、挙げてみよう
a.
b.
c.
d.
e.
f.
4.3つの中から最も起きそうにない可能性を選び、その記号を書いてみよう
この中にはあなたの当初の恐怖も含まれることがある
5.残っている項目のうち、最も起きそうな結果を選んでみよう
この状況の結果として最も可能性が高いのは
6.結果より良いものにするために、あなたにできることがあるか
その状況の成り行きを改善させるようなことで、ほかの人にできることはあるか
もしあるのなら、どのようなことが考えられるか
7.もしあなたの考えが正しく、結局その状況は悲惨な結果となったとしたら、どのように対処するか
その後の状態の対処するために、どのような準備ができるか
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個進化に対してコントロールする
うつ病のとき、またはイライラしているとき、物事を個人的に捉えてしまいがちな傾向が自分にあることがわかっているのなら、過剰な反応をしてしまう前にそのことを考えてみよう
自分が物事を個人的に受け止めているのに気付いたときに考えてみるべき質問は、
●それは本当に私に関することなのか
●ほかの説明は考えられないか
●時分とまったく関係がないという可能性はあるか
●それはほかの人に関することか
●それは心配するに足るほど重要か
●話し合うに足るほど重要か
●最高の気分ではないために、神経質になっているだけなのか
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