・うつ病と躁病の症状が重篤なときには、はっきりしているため簡単に認識することができるが、通常は人の目に付くようになるよりもずっと前に、気分が変わりつつあることを示す微妙なサインが存在する
・【目標】微妙な変化をできるだけ早く認識できるようになること
【それにより】早く気づけば気づくほど、より素早くそれらを阻止するための行動をとることができる
■躁病の躁状
表4.1 躁病の一般的な症状 |
軽度の様相
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中程度の様相 |
重度の躁病症状 |
何もかもが苦闘のように感じる/短気または不安
通常よりも幸せである/明るい展望
より饒舌になる/ユーモアのセンス向上
より思考的になる/精神的に鋭敏で俊敏になる/集中力がなくなる
いつもより自信が高まる/悲観的でなくなる
創造的なアイデア/新たな関心/変化に対して肯定的
落ち着きがない/爪を噛むといった神経質な行動
仕事の能率が悪くなる/仕事に専念するのが難しい
ほかの人といて居心地が悪い
性的な関心が高まる
音や煩わしい人が気になる/思考のつながりを失う
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怒りやすい
笑いと冗談が増える
社交的で、ほかの人との話をしたい気分
支離滅裂な思考、集中力に乏しい
利口な気分になり挑戦を恐れない、過剰に楽観的
変化を起こそうと計画する/行動が支離滅裂になる/飲酒または喫煙が増える
落ち着きがない、座った活動よりも動いているほうを好む
課題をやり遂げない/仕事に遅刻する、他人に迷惑をかける
疑い深い
性的な夢、性的刺激を求める、または気に留める
物音がより大きく、色がより鮮やかに感じられる、心が直ぐに彷徨ってしまう/思考に集中するためにより静かな環境が必要になる
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イライラ
多幸的気分/最高の気分
強制されたように、または早口で話す
疾走する思考
誇大感(壮大な幻想)
支離滅裂な行動/1つのことが終わらないうちに別なことを始める
精神運動性の焦燥/じっとしていられない
通常の仕事または家庭での活動をやり遂げることができない
パラノイア(妄想症)
性衝動が高まる、性的活動を求める、性的により無分別になる
注意散漫(思考に集中するのにかなり努力が必要である、または思考にまったく集中出来ない)
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■うつ病の躁状
ベッドから出たくなくなるほどうつ病が重篤になる前に、もっと軽い症状が現れるもの
・社交的な機会を断っていた
・通常の活動を不快に、または苦痛に感じるようになった
・テレビを観たり本を読んだり、といった単独で行う活動への興味が高まる
・家事がおろそかになる
・身嗜みにさほど時間をかけなくなる
・全体的に動作が遅くなる
表4.2 うつ病の一般的な症状 |
軽度の様相
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中程度の様相 |
重度の躁病症状 |
憂うつな、落ち込んだ、または平坦な気分
社交的な気分ではない
いつもの活動が思ったほど楽しくない
物事がうまくいかないと、簡単に自分を責める/自分自信の欠点に目を向ける
普段ほど空腹を感じない/ときどき食事を抜いても空腹に感じないことがある
洋服が若干、緩くなる/大きく体重が減るわけではない
眠ってもさほど休まらない気分がする/就寝時にあれこれと思い悩む/就寝までに多少時間がかかるようになる
読むなどといった課題への興味が薄れる/長ったらしい仕事に苛立つ
自分の動作が緩慢に感じられる/精神的な俊敏性に欠ける
苦痛が消えてくれることを願う/逃げ出してしまいたいと思う/悲観的
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泣きやすい
他人とあまり関わらない
活動が終わるまでは楽しい
自己批判的
食事をしてもさほど楽しくない
目立つほどの体重の減少
眠りに落ちるまでに、より長い時間がかかる/夜中に短時間目が覚めてしまう
文章を読み直す/考えにうまく集中出来ない
動作の緩慢さが他人の目に明らかになる/質問に答えるまでに長い時間がかかる
人生は生きるに値しないかもしれないという思考/絶望的/気分が良くなるなどは想像できない
低い自己評価/外見を嫌う/失敗者のように感じる
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深刻な悲しみ
普段の活動に関心がない
喜びが減る
過剰で不適切な罪悪感
食欲の減退
著しい体重の減少
不眠症(なかなか眠りに落ちることができない/夜中に目が覚め、眠りに戻れない)
物事に集中出来ない
精神運動性の抑止
自殺念慮または自殺企画/自分は死んでも構わないと思う
自分は価値がないと感じる
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■自分の気分症状
目的は、うつ病の症状と躁病の症状を区別し始めるのを手助けするため
まずは、記入してみよう
ワークシート4.1 気分症状ワークシート |
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分類
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躁病のとき |
うつ病のとき |
大丈夫だと感じられるとき
(症状が見られないとき)
-寛解期- |
気分
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自分に対する姿勢 |
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自信
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通常の活動
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社交活動
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睡眠習慣
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食欲/食事習慣
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集中力
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思考の速度 |
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創造性
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楽しむことへの関心
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落ち着きのなさ
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ユーモアのセンス
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エネルギーレベル
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物音による影響
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将来の見通し
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話し方のパターン
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決断力
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他人への関心 |
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死生観
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機能能力
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ほかの分野
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※私の追加分野としては
外観(お洒落)
SEX
マスターベーション
仕事の能率
動作
体重
運動(散歩等)
TV
読書
夢
食欲
買い物
電話
メール
などを追加した
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■本当の自分とは?
<寛解状態の自分>
長年にわたって気分の変動と格闘してきたとしたら、何が自分で、何がこの疾患なのか、わかりにくいと感じるだろう
自分では大丈夫だと感じているとき、つまり鬱でも躁でもないとき、自分がどんなふうか考えてみる
双極性に関係のない技能、才能、関心、物事に対する考え方、習慣があるだろう
目的は、本当の自分を固定する上で役立てること
ワークシート4.2 本当の自分 |
普段の睡眠パターンはどうか
普段どのように時間を過ごしているか
普段どれほどうまくストレスに対処しているか
普段、感情は傷つきやすいか
ほかの人は普段、自分をイライラさせているか
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<症状の再発時の変化(サイン)>
調子が悪く(躁状態⇔寛解期⇔抑うつ状態)なってきているとき、どのような行動をとっているか判断する
いつもと違う行動をとっているとしたら、もっと普段の自分のように物事に対処することで変化させていくために、自分の症状をコントロールするための行動をとり、さらに症状の大きな展開をコントロールするために医師の指示に従う
表4.3 症状の再発時に自分が経験する変化 |
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躁状になりつつあるとき |
うつ病になりつつあるとき |
あなたの普段の睡眠時間のパターンはどうですか
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あなたは普段どのように時間を過ごしていますか
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あなたは普段どれほどうまくストレスに対処していますか
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あなたの感情は傷つきやすいですか
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あなたはほかの人とどれほど上手くやっていますか
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ほかの人に対して、普段イライラすることがありますか
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