「ゴキちゃん」が・・・ 2011
9/24
土曜日

出た。

熟成したデッカイいヤツではなかった。
体長が1cm位のかわいげのある「ゴキ坊」だった。
心苦しかったが、殺生させていただいた。
成仏せんことを。

ここに初めて入居した早早、「長老ゴキ」に歓迎された。
どうも村長か、酋長か、親分肌の「ゴキ親分」だろう。
めっぽう成長した全身が黒光りしたヤツらだった。

私の部屋は男としては綺麗な部類に属する(はずだ)。
食べ残しを無造作に放置することもなく、
(言い添えるのなら食べ物を粗末にできる余裕はない)
片付け後の水回りは、布巾で水分を拭き取ることは忘れない。
週に一回は部屋の掃除をする。
天気がよければ布団を干すことも欠かさない。

然るに、初めてソヤツたちに歓迎された時、
こちらに非があるような原因は思い当たらなかった。

間違いなく「自責」ではなく「他責」だ。
どこかに「ゴキ様御一行」の進入経路があるはずだ。

あった。

キッチンの配水管が床の部分で交差する部分だった。
周回部分に8mm程の隙間があったのだ。
その間隙を縫っておいでなすったのだ。
”動かぬ証拠”を掴んだ。

推測するに隣の部屋か、その隣の部屋が小汚いに違いない。
「ゴキ養殖場」、もしくは「ゴキ生産一大拠点」と考えるのが妥当ではないか、と。
(現場をガサ入れしたわけではない、既に当時の住人は引越し、証拠物件は隠滅した)

特急で粘土を買い求め、棒状に伸ばし隙間を埋めた。
効果覿面だった(はずだ)。

少なくとも9年間は一度たりとも「ゴキ様」に歓迎されたことはなかった。

もしかすると「ゴキ達」は、突破口を見出すため新たな進入経路を
探し求め、日々精進しながら掘削作業に邁進していたのかもしれない。
厳かに「開通式」が執り行われた。

「ショーシャンクの空に」のアンディ・デュフレーンや
「モンテ・クリスト伯」のエドモンとフェルナン牧師のように。

不思議に思うが「ゴキ達」は、何故私を開通式に招待しなかったのだろう。
隣近所としてお付き合いをしていく良いきっかけとなったのに。
そちら様がその気なら、こちらも徹底抗戦する以外に活路はない。

更なる進入経路の探索を開始することにした。(2011/09/24 9:38)



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