『混合状態』というカオス 2011
8/28
日曜日

 先日(2011.8.11)、カミングアウトした双極性障害の話題、ラミクタールの薬の話題(2011.8.24)、今日は『混合状態』の話をする。

 休職(病休)となってから、自分の病気を客観的に知るために2冊の専門書を読んだ。<下段参照> (抑うつ状態での読書は非常に苦痛だったが・・・) ひとつは精神病理学を専門とする内海健氏が記した『うつ病新時代-双極Ⅱ障害という病-』だった。その一節にヘッドラインの話題がある。

 「本来、プラスとマイナス、N極とS極、あるいは冷と熱、乾と湿といったような物理的には両者が同時に存在することはありえず、たちまち中和されるものだ。しかし、躁鬱病ではこうした区別できる基本系(躁状態か、抑うつ状態かのどちらか)以外に躁性興奮と抑うつの間に多くの移行があるものがみられる。この病気の個々の発作は決していつも一定の色彩をもっているとは限らないのである。」と。

 もう少し、噛み砕いて言うならば、「ひとつの状態からもうひとつの状態に移行するとき」であって、「これはしばしば何週間も何ヶ月にもわたることがある」 これらは、躁→うつ、うつ→躁に極性が変化(移行)する際に総称して『混合状態』といわれている。私の場合も過去の自分の病状から顧みると、この『混合状態』は存在し、まさに今がその『混合状態』ではないかと思われる節がある。

 クレムリンという人は、「躁鬱のそれぞれの状態が、「思考」、「気分」、「意志」の三要素からなる」とされている。「これらの要素が、病相の移行期に同期することなく、遅速を伴って移行するとき、ちぐはぐな状態が生じる」のだと。わかりやすく例えるとサインカーブの3つの波がそれぞれ少しずつ位相差をもっているようなイメージである。つまり三要素がすべて+(プラス)ならば躁状態、すべて-(マイナス)ならば抑うつ状態ということになる。

 三要素の組み合わせは2の3乗で8通りの状態が生じうる。完全な躁状態、完全な抑うつ状態を除く、6パターンが「混合状態」に相当するものとなる。クレムリンは緻密な臨床観察によって、8パターンを分類しているのには敬服させられるが、患者は症状が緩和(悪化)したのか、復活の兆しなのか、迷走状態で混沌とした状態のままなのだ。

 今日の私のコンディションは、「思考」+、「気分」-、「意志」-で、頭ははっきりしているにもかかわらず、気分は低調で、何かスーパーへ買い物に行こうかどうか、などと決定する意志は決められず悩んでしまうのだ。8月上旬から服用し始めた「ラミクタール」が効いているのか、まさに躁状態へ遷移する移行フェーズなのか、定かではない。(2011/08/28 12:21)

【私が読んだ参考文献】

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※参考
 双極性障害(ウィッキペディア)
 躁うつ病 (双極性障害) とつきあうために(日本うつ病学会双極性障害委員会編)

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