『ジョーンズの世界』フィリップ・K・ディック著 2010
12/4
土曜日

 24作目を読了したフィリップ・K・ディックの作品。本作品は初期の長篇、二作目となるSF小説で、1956年作品ということは、54年前のことだ。発想は面白い。当時は、長篇ふたつの抱き合わせとしてダブルブックの片面として出版されたらしい。如何せん、古い本だから宇宙の解明状況や、技術的記述が陳腐的ではあるのだが、まだ僕の生まれる前の当時としては最先端なのだろう。ストーリーの脈略で、そんな簡単にはいかんだろう、はいつも通り彼らしい愛嬌で許そう。

 ストーリー上、ジョーンズは一年先までに起こることが確実に予測できるのだ。それ以上の未来は判らない。これってウラヤマシイ能力だと皆さんは感じとられるだろうか?そして、その状況は自分では変えることが出来ないとしたら・・・。実際、次に何が起こるのか当然のようにジョーンズには判っている。いつも彼は2度人生を繰り返し経験しているようなものだ。自分が死ぬことも一年前に判ってしまう。あらゆる面で幸せなことではあるまい。このような予知能力を授かってくれるとしても、僕はお断りするだろうね。(2010/12/04 16:19)

内容(「BOOK」データベースより)
医保安警察の捜査官がある日カーニヴァルで出会った奇妙な占い師。看板には「個人の占いお断り」とある。人類の未来だけを占うというのだ。この男がジョーンズだった。一年先までの未来を完璧に予知できる能力をもつ彼を、世界政府は即刻監視下におく。だがやがて彼の元に人々は参集し、連邦世界政府をおびやかす組織にまで発展する……。

出版社: 東京創元社 (1990/10)
ISBN-10: 4488696066
ISBN-13: 978-4488696061
発売日: 1990/10


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