『贖罪』イアン・マキューアン 2010
10/18
月曜日

 今朝方、悪寒がしてゾクゾクするので大事をとって一日お休みを頂いた。ベッドに潜り込んでいたのだが、昼前大分調子もよくなり、残り少しとなっていた下巻の『贖罪(しょくざい)』を読了した。以前、観た映画「つぐない」の原書を読んでみたいと思い2年近くストックしていた本だ。この作者は英国の小説家でブッカー賞も受賞する著名な作家だ。他の作品も機会があれば読んでみたい。

 少女プライオニー・タリスの頑ななる想い・信念?から、姉セシーリアの恋人となりつつあったロビーを収監させてしまう。彼の人生を狂わせてしまうわけだ。その後、刑を終えたロビーは歩兵としてフランスへ赴き、ダンゲルクへの撤退戦の行軍に参加する。ここの描写が誠に生々しく圧巻である。彼を待つ姉は家族と縁を切り、看護師となっていた。セシーリアの妹、プライオニーも見習看護師として戦場で傷ついた兵士達の世話をする。しかし作家の夢は断ち切れないでいた。なかなか心理描写や情景描写が一級品で、読ませる小説だった。

 でもね、映画より本書を手にとって読んだ方がリアリティの点では数十倍の密度があるのは否めないし、やはり映画製作の限界も感じてしまう。(2010/10/18 18:22)

贖罪 上巻(1) (新潮文庫)
イアン マキューアン Ian McEwan
4102157239
贖罪 下巻 (2) (新潮文庫)
イアン マキューアン Ian McEwan
4102157247
文庫: 318ページ
出版社: 新潮社 (2008/02)
ISBN-10: 4102157239
ISBN-13: 978-4102157237
発売日: 2008/02
文庫: 325ページ
出版社: 新潮社 (2008/02)
ISBN-10: 4102157247
ISBN-13: 978-4102157244
発売日: 2008/02

内容(「BOOK」データベースより)
(上)現代の名匠による衝撃の結末は世界中の読者の感動を呼び、小説愛好家たちを唸らせた。究極のラブストーリーとして、現代文学の到達点として―。始まりは1935年、イギリス地方旧家。タリス家の末娘ブライオニーは、最愛の兄のために劇の上演を準備していた。じれったいほど優美に、精緻に描かれる時間の果てに、13歳の少女が目撃した光景とは。傑作の名に恥じぬ、著者代表作の開幕。

(下)夕闇に「彼女」を襲った男は誰だったのか。時は過ぎ、男はダンケルクへの泥沼の撤退戦を戦っている。見習い看護婦のブライオニーは作家への夢を紡いでいる。恋人たちは引き裂かれ、再会を夢見ている。彼らの運命は?真の犯人は?1999年、すべての謎は明らかになるが―。いつしか怒涛と化した物語は、圧巻の結末へと辿り着く。世界文学の新たな古典となった名作の、茫然の終幕。


Copyright (C) 2010 Shougo Iwasa. All Rights Reserved.